今回は、「トッケイは七度鳴く」(2020年)を読みました。
本書は、放送作家の主人公が、祖父の手記をもとにビルマ(ミャンマー)のミイトキーナという場所で起きた激しい戦闘と熱烈な恋物語の真相を追うという小説です。実際に著者さん自身も放送作家さんみたいで、こうやって番組が作られるのか~というのも参考になりました。最後の方はもう涙が止まらなくて、ズビズビだったので、電車内など人の多いところで読むのはご注意くださいね。学んだこと、感想をまとめたいと思います。
ミイトキーナはビルマ戦線における重要な戦略拠点の一つでした。連合軍は、ビルマの補給路を断つためにミイトキーナを占領しようとしました。一方、日本軍はこの拠点を維持し、補給路を確保することが戦局の維持にとって重要でした。最終的に、連合軍はミイトキーナを占領し、日本軍は敗北を喫したのですが、その戦場にいたのが、本書の主人公水車誠太郎の亡くなった祖父水車勘助です。
本書の終盤では、撤退命令が出て今夜中にイラワジ河を渡れなければ死ぬという追い詰められた状況になるのですが、本当に描写がリアルで、手に汗握る思いでした。イラワジ川を検索してみると、川幅が2㎞(雨季は5㎞)もあるような濁流の川ですよ。このような過酷な状況から生き延びた人というのは、神様から「生かされた」としか考えられないような偶然が重なった結果でしかないと思ったし、私を含め戦争を知らない若者には想像もできないような話でした。
そして、勘助の熱烈な恋のお相手はミイトキーナで慰安婦をしていた夏子です。本書では、現代軸で慰安婦問題にも迫る内容となっており、日本に自虐史観が植え付けられた背景についても詳しく書かれています。過去記事「日本の天皇」で学んだ内容だったので、ここはすんなり入ってきました。
慰安婦についても、
・慰安婦は日本軍によって強制連行されたのではなく、慰安婦の多くは家が貧しくて借金のカタに売られたか、女衒(ぜげん:女性を遊廓など、売春労働に斡旋することを業とした仲介業者)に騙された。
・日本軍は悪徳女衒の取り締まりを行っていた。
・慰安婦の月収は兵士よりも高く、高給取りだった。
ということが書かれていて、Webで調べてみた限り様々な証言や新聞記事等の裏付けがある話みたいです。韓国がこの慰安婦問題を何度も蒸し返して反日を煽ってくるのを見ると、言ったもの勝ちのシナ文化が頭をよぎりましたね。
さて、このような祖父と慰安婦との恋物語を終戦特番として企画した著者さんですが、そこには偉そうな番組プロデューサーが立ちはだかります。いやいや、これ実際に言われたでしょう(笑)と思いながら、過去記事「同じこと考えてた」の鈴木おさむ氏のことを思い出さざるを得ませんでした。
最後は、この番組プロデューサーも「いいやつ」だったのですが、放送作家さんというのはどれだけ調べて、話を聞いて回ってと時間と労力をかけても、番組にならなければ一銭も入らないシビアな世界なんだなと思いました。また、ディズニーの行き過ぎたポリコレが話題になっていますが、テレビの審査団体や世間に問題視をされてしまうと、番組プロデューサーは一発で出世コースから外されてしまうため、無難な内容になってしまうという現状もよく分かりました。
本書の帯にもあるように、本書の後半以降は衝撃の展開が待っています。先述したように、涙があふれて止まらない状況になりましたので、できれば1人で読むことをおススメします。トッケイとは何なのか?も最後の方で分かりますよ。
太平洋戦争時、ビルマ(ミャンマー)での戦いとしてはインパール作戦が有名ですが、ミイトキーナの戦いというのを今回初めて知りました。20代前半の若い兵士たちが殺し合い、次々に命を落とす、このような戦争はもう起こしてはいけないと思いましたし、このような戦争があったことは子ども達にもちゃんと伝えていかなければいけないと再認識しました。こんな過酷な戦場に放り出されたら、今の子どもたちはすぐに死んでしまうと思います…。
ぺにょは、イラストACで歯科のイラストも投稿しています!
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