今回は、「日本でいちばん大切にしたい会社2」(2008年)を読みました。
Kindle Unlimitedで読めるのが2からで、1を読めていないのですが、素晴らしい中小企業について紹介されており、感動するし、とても勉強になります。思わず著者さんの他の本を探したら、共著ですが「理想の会社をつくるたった7つの方法 (日本でいちばん大切にしたい会社・サーベイ編)」(2017年)を見つけたので、こちらを中心に学んだことをまとめたいと思います。
著者さんは中小企業の経営について研究しており、訪問した会社は8,000社にのぼります。その中から気づいたことは、社員や下請企業、外注企業をまるで虫けらのように扱う企業がある一方、逆に感動・感嘆・感銘するような愛情あふれる人間思い、社員思いの経営を行っている企業も存在しており、そのような企業は例外なく好業績をあげているそうです。そこで分かったのは、会社経営の最大・最高の目的・使命はその組織に関係する人々の幸せの追求・実現であり、関係する人とは以下の5人です。
- 社員とその家族
- 社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族
- 現在顧客と未来顧客
- 地域住民、とりわけ障がい者や高齢者
- 株主・出資者・関係機関
この話、実は耳にしたことがあって、昔歯科衛生士として勤めていた医療法人の理事長が言っていた言葉と全く同じでした。確実に坂本先生の講演を聞いたか、本を読んだかしたのだと思います。本書に載っていた事例のように、ボーナスは職員全員に手渡しされていたことも思い出しましたし、人を大切にする空気がありました。
過去記事「将来の日本」「将来の日本_2」でも書いたように、少子化に伴い日本人の人口は今後確実に、そして大幅に減少します。
人材を確保しづらい中小企業においては死活問題であり、本書でも社員の定着率が低い会社は伸びることはできないと述べられています。
これは、歯科でも同じで、歯科衛生士を確保するために何十万円もの募集費用をかけているのに来ないとか、かなり高い給料を提示しても歯科衛生士だけでなく、助手や受付でさえも来てくれないという話を聞きます。本書では人材を「人財」と書かれていますが、経営者が社員とその家族の幸せを目的・使命とするというのはこれからの少子化していく日本で残っていくために必須となる考え方なのではないかと思いました。
「良い会社サーベイ」は、著者さんのゼミ生25人とパソナキャリアによって行われました。そこで明らかになったのは、以下の7つのキーワードです。
1 社員の幸せが大切にされている
2 経営理念が実践されている
3 協力企業やお客様を大切にしている
4 理念採用をし、人財育成に力を入れている
5 話し合う風土がある
6 社内に一体感がある
7 納得性の高い人事評価がなされている
詳しい内容や事例は本書を読んでいただければと思いますが、特に印象に残ったのは、「納得性の高い人事評価」です。この「納得」というのは会社によって様々で、社員全員で異議が出なくなるまで話合って給料を決めるとか、新製品や改良品をどれだけ出せたかで評価するとか、年功序列ならぬ年齢序列とか、とにかく社員全員が自分の給料に「納得」しているかということです。
過去記事「「何もしないほうが得」という病」でもあったように、日本の人事評価には様々な問題がからみ合っています。
本書には「心理的安全性」という言葉は一言も出てきませんが、社員全員に納得してもらえる人事評価をするためには「心理的安全性」の存在が不可欠なのではないかと考えました。
「日本でいちばん大切にしたい会社」は本ブログ執筆現在、8まで出ていて、7までkindle Unlimitedで読めるので、今すぐ読もうと思います。
京セラ創業者の稲森和夫氏が言っていた「人間として正しいことを追及する」ということが経営の面においても正しく、研究によっても証明されているというのは、とても心が温かくなったし、人生悪くないなと思えました。このような会社が増えると日本はもっと良い国になりますね。