今回は「コア・バリュー・リーダーシップ 組織を変えるリーダーは自己変革から始める」(2019年)と「一生食べられる働き方」(2012年)を読んで、これからは自分の価値を考えて生きなければいけない時代だよねと思ったので、ご紹介します。
コア・バリュー経営とはざっくり言うと、「私たちの会社は、何を大事にしているのか?」を明確にしようということです。日本語では「中核となる価値観」と訳されるそうです。
ネットで靴を販売するザッポスという会社は、コア・バリューを「会社の全員で日々実践するもの」として「お客様をハッピーにすること」と定めました。すると、1秒でも早く電話を切ろうとする従来のオペレーターとは違い、ザッポスのオペレーターは皆一様にいつも朗らかで、顧客との会話を楽むのだそうです。ザッポスのサイトで見つからない商品があれば、他者のサイトを探してくれたり、お店で買って届けたりもしたそうです。決して「ノー」と言わない企業文化が生まれました。
本書では日本企業の例も紹介されています。
コア・バリュー経営を行うためには、会社の大多数を巻き込んで自社のコア・バリューを決めること、企業理念に共感する人を採用すること、企業文化の育成・維持に充分な時間をかけることが大事なのだと理解しました。
さらに、コア・バリューを推進するコア・バリュー・リーダーには一貫性のある徹底した考え方や行動が求められるます。
- ライフ・パーパス(人生の目的)
- ライフ・バリュー(人生の中核となる価値観)
- ライフ・ビジョン(人生の未来図)
の3つの角度から自己創造のプロセスを行い、「自分はどんな人間なのか」「何のために生きるのか」「どんな生き方をしたいのか」という問いかけと向き合い、自分の歩むべき方向性を明確にする覚悟が必要なのだそうです。
さて、「一生食べられる働き方」の著者さんは、Google米国本社副社長兼日本法人社長をされていた方です。Googleのミッションステートメント、つまり、Googleがこれしかやらないと宣言しているのは、「世界中の情報を整理して、世界中の人がアクセスできて、使えるようにすること」と「そのサービスを無料で提供すること」だそうです。
Googleでは、社員一人ひとりが自分が何をすべきなのかしっかりと把握しており、ミッションステートメントに反しない限り、勝手放題に仕事を進めていけることが強みだということでした。
私はGoogleという会社や働き方が大好きなのですが、分かりやすいコア・バリューがあるからこそ、社員がのびのびと働けるんだろうなと思いました。
そして、これから生き残れる企業は「モンキートラップ」に陥らない企業だと言います。モンキートラップとは以下の寓話だそうです。
猿の手がやっと入るくらいの小さな口の容器にエサを入れておくと、猿がやってきて手を入れて、エサを握る。エサを握りしめた猿の手は容器から抜けなくなる。エサを離せば、手は抜けて逃げられるのに、せっかくのエサを握りしめて離そうとしないばかりに手が抜けなくなり、猿は捕まってしまう。
要するに、成功体験から脱却できないとかえって身を滅ぼすということです。
私はこの話を聞いて、「待ちぼうけ」の歌が頭に流れてきて、「チーズはどこに消えた?」だなと思いました。
視野を広く持ち、視点を高くしておくように心がけることが大事かなと思います。
著者さんは自分のキャリアを「転社はしましたが、転職はしていません」と表現するそうですが、転社しても通用するプロとして独自にキャリアを積み重ねていくことがこれからは大事になってきます。
好きなことを仕事にするというだけでなく、どんな仕事でも面白くしてしまうこと、自分に与えられた役割を考え、チームに貢献することで、見栄えがするだけの職務経歴書ではなく、実質のある職務経歴書を作っていきなさいということでした。
これからは日本でも「○○会社の■■です。」ではなく「これまで△△を専門に~~をしてきました。」といった自己紹介が当たり前になっていかなければいけのかも知れませんね。