歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

スネップ

今回は、独身・無職者のリアル~果てしない孤独~(2013年)を読みました。

 

 

ニート」や「ひきこもり」は聞いたことがありましたが、スネップというのを初めて学んだので、まとめたいと思います。

前回の「兆人の考え方」との落差がすごいw

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

スネップ

 

スネップ(孤立無業者)とは、20~59歳の、結婚したことがなく、学生でもなく、家族以外との人付き合いがない、孤立状態にある無業者のことです。大きな特徴は以下です。

(一)無業であることに加えて

(二)結婚したことがなく、友人とも会わずに孤立している

推定約162万人と言われ、増加傾向にあるそうです。突然の解雇や心身の病にかかったり、親の介護が必要になったことなど、原因は人それぞれです。

 

 

人間関係の貧困

 

スネップについての論文を書いている玄田教授は、「社会関係の欠如は、無業者の就業や自立に対して重大な阻害要因となっている」と述べています。人間関係が失われた「孤立」状態が、人びとから働く意欲や希望を奪い、「無業」状態にとどめさせる要因になっているということです。

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男女別では女性よりも男性のほうが、年齢別では20代よりも30代以降のほうが、学歴別では高校卒業以上の学歴よりも中学卒の学歴のほうが、いずれも孤立しやすいということでした。

 

 

 

そして、本書ではどのようにして人々が孤立しているのかを、社会環境の変化をもとに説明しています。

  1. 農村での暮らし
    地域社会の中で血縁や地縁を大切にしながら支え合って暮らしている。「人とのつながり」は、「絆」であると同時に「しがらみ」でもある。

  2. 集団就職~高度経済成長
    「金の卵」と呼ばれた中学や高校を卒業したての若者たちが「生まれ故郷での人とのつながり」から、社縁(言い換えれば「安定した雇用」に支えられるようになる。家族賃金モデル、および年功賃金、終身雇用に特徴づけられる日本型雇用が整備される。人びとが”よりどころ″にすべきつながりは、学校、社会、家族の3つに限定されていく。

  3. 無縁社会
    景気が悪くなると、正規雇用の緩和が行われ、戦後循環モデルの柱だった「社縁(男性の安定した雇用)」が大きく崩れる社縁の崩壊は未婚率の上昇につながっている一方で、男女ともに「結婚後の生活は男性が支える」という価値観を変わらず持っているそうです。

  4. 自宅に要介護者
    独身のまま高齢化していく男女が増加し、親の介護が重なると、仕事を辞めて介護にかかりきりとなる場合もあります。過去記事「ビジネスケアラー」ですね。これから高齢者がますます増えてきますのでこの問題の無視できません。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

孤立は自己責任ではない

 

「学校」から「社会」へのパイプラインが崩れてしまった現代では、どれだけがんばっても「安定した雇用」を得られない人々が出てきます。また、家族に頼れない若者が仕事を失うと、あっという間に孤立しますし、孤立から抜け出すことをサポートする社会的なしくみが整っていないと著者さんは述べます。

本書では、スネップやスネップ予備軍を取材したリアルも書かれていますが、「コミュニケ―ションに向かう意欲」や「努力する意欲」というのは、本人の気合でどうにかなるものではなさそうです。人とのつながりの中でエネルギーをもらい、成功体験を積み重ねることで生まれてくるものだと分かります。著者さんは、孤立した人のつながりを広げる支援を通して、もう一度この社会に自分なりの仕方で関わり、自分の居場所を見つけていった人たちもたくさん見てきたそうです。

 

 

まとめ

 

人間は社会的動物だと言われますが、人とのつながりが絶たれ、孤立すると、どこかに出かけたい、美味しいものが食べたい、きれいな服が着たいといった欲求がどんどん失われるんだということが分かりました。それはつまり、仕事をしたい、お金を稼ぎたいと思わないということで、ますます孤立してしまいます。物欲にとらわれ過ぎる人もどうかと思いますが、無欲過ぎるのも良いとは言えないですね。
やっぱり、ネット、リアルを含めて、様々な繋がりを意識して作っていくことが大事なんだなと改めて思いました。最近会ってない友人に声をかけて、ランチにでも行こうかなっ。

 

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兆人の考え方

今回は、億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド(2025年)を読みました。

 

 

森永卓郎氏の「日本人「総奴隷化」計画 1985ー2029 アナタの財布を狙う「国家の野望」」(2025年)でも、「1億円の壁」というのがあり、年収が1億円を超えると所得税の収入に対する負担率がすごい勢いで下がっていくという説明がありました。

 

 

私は億なんて持ってないし、今後持つ予定も今のところありませんがw、億を超える資産を持つ兆人の考え方を学んだので、まとめたいと思います。

 

 

2つのタイプ

 

兆人には、2つのタイプがいるそうです。

金融エリート系

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中高生時代からエリートで、国内大学では東大、京大、一橋、東工大、慶応クラスの大学に進学。もしくは、高校や大学時代から海外留学を経験し、そのまま欧米の一流大学に進んでいることもあるそうです。その後、投資銀行や戦略コンサル会社を渡り歩き、富裕層となる人です。

彼らは今の仕事で蓄財したものを、無難にでもきちんと運用して大きくしているという「超王道」で成功しており、趣味と仕事の線引きが曖昧になっているのも特徴だそうです。

 

ベンチャー経営系

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金融エリート系に比べて若く、学歴や実家のレベルもまちまちです。富をつかんだきっかけは、起業後に上場したり、企業に買収されたりして大きく当てることで、ハイリスク・ハイリターンを実現させています。ベンチャー経営系には、筋のいいスタートアップへの投資話が舞い込むケースが増えるため、20~40代で億を手にして早々にリタイヤする人もいるそうです。でも、飽きて戻ってくるのがこのタイプのパターンかもしれません。

 

 

意思決定を他人に委ねない

 

「兆人」の特徴として、「意思決定を他人に委ねない」というのがあります。十分な材料集めまでは指示を出したり意見を聞くことをするものの、その材料をどう料理して食べるかはすべて自分で決めるということです。

決してプロの推薦するものだから、と自己責任を放棄して決めることはありません。

これは、ウォーレン・バフェットも言っていました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

 

即断即決と交渉力

 

スピード感のある意思決定をして、「確実にやる」と明言して実行するというのもありました。即決なら〇〇で買うと持ちかけ、提示額よりも安い金額で物件を手に入れるなど、即断即決は、交渉においても優位に進める手段になります。

富裕層は即断即決するので、ベンチャー系のスタートアップ投資同様、良い案件や投資の情報が集まりやすいそうです。つまり、売る側にとっては確実に買ってもらえるというメリットもあるという好循環が生まれるそうです。

 

 

誰が儲けるのか

 

労働力を切り売りして汗をかいた対価に対する税率がいちばん高いというのは、森永卓郎さんも言っていましたが、富裕層は、「誰が儲けているビジネスなのか」に敏感です。彼らは、誰かが不当に儲けていたり、変にお金が抜かれたりするようなビジネスにお金を使うことはありません。予約の取れない話題の少人数レストランに行ったり、○○ニュータウンや○○の丘といった大手不動産ディベロッパーのビジネスモデルが絡んでいそうな物件には手を出さないそうです。

 

 

まとめ

 

本書を読んで分かったのは、良い儲け話は一般人には来ないということです。自分が兆人のコミュニティに入っていないなら、それは詐欺だと疑った方が良いですね。過去記事かぼちゃの馬車事件」のことも書いてありました。

 

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うーん、お金って何なんでしょうね。億稼ぐまでは税金でむしり取られるし、騙される。でも、億稼ぐには、エリートになるか、高いリスクを取るしかない…。そして、兆人になれたとしても、生きている間には使いきれず、死んだ後には遺産で家族が揉める。あまり多くお金を持つのも大変だなと思いました。しかし、兆人のマインドから学ぶことも沢山あったので、参考にできるところは取り入れていきたいなと思います。

 

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伊庭貞剛

今回は、住友を破壊した男 伊庭貞剛伝(2019年)を読みました。

 

 

前知識なしで読み始めたので、現代の三井住友銀行の広報部員話から、いきなり江戸時代の話になり、??と頭に疑問を浮かべながら読みました。伊庭貞剛(いば ていごう)という、住友グループが現代にまで反映する礎を作った男の話しで、知らなかったので、まとめたいと思います。

 

 

伊庭貞剛

 

伊庭貞剛とは、「住友中興の祖」とも言われる二代目の住友家総理事だった人物です。一代目は叔父の宰平で、銅山役人などから教えを乞い、独学し、学問を修め、たった11歳で勘定場という銅山経営の中枢で働いていたという、切れ者です。

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貞剛は、代官の子息でしたが、老いた行商の老人のために道を譲り、時には彼らの荷を担いでやることさえある心優しい若者でした。母親からは決して嘘をついてはならないと言われて育ったようです。

 

 

幕末

 

幕府による太平の世から激動の世に変わりつつある中、貞剛は長男にも関わらず、母親に「国のために尽くしたい、50歳になるまで戻りません」と言って家を出ました。色々あって(はしょりすぎ笑)、大政奉還の後は、函館裁判所で働きます。

 

 

住友入社

 

その後、叔父の熱心な勧めで、住友に入社した貞剛は、みるみる頭角を表します。そんな時起きたのが、銅の精製に伴う煙害問題です。銅の抽出には大量の薪や石炭が必要で、亜硫酸ガスを含む煙のせいで山は禿山となり、農作物も育たなくなっていました。樹木を失った山は大雨で崩れやすく、住民から幾度となく訴えが上がっていたものの、住友は山や周辺の土地を買い上げ、黙らせるという手法をとって、訴えを無視していました。

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銅の採掘・精製はやめられない、住民の訴えは強まるばかりという中、自ら手を挙げ対策に乗り出したのが貞剛でした。

おりしも、足尾銅山での鉱毒被害が大きな問題となっていた頃です。

 

 

叔父の追放

 

別子銅山の支配人となった貞剛は、自らの足で銅山を歩き、坑夫の生活や周辺にすむ住民の訴えを聴いて歩きました。そして、山に木を植え、銅の精製を海上の島で行うという考えに至ります。しかし、会長である叔父からは猛反発にあいました。

しかし、貞剛は、百年、二百年という日本の未来を見据えていました。住友を破壊するという決死の覚悟で叔父に依願解雇を迫り、辞任させます。

一企業の利益よりも、国家社会の利益、自然との共生などを優先するという考え方のもと、銀行を設立するなど事業を拡大していったということです。

 

 

 

「事業の進歩発達に最も害するものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈である。」

これは、貞剛の言葉です。そして、貞剛自身も58歳で引退し、40代の後任に後を譲っています。

本書ではそこまで語られてはいませんが、相当老害に苦しんだ人なんじゃないかなと思います。私も60歳を過ぎたら「長」と呼ばれる仕事はしてはいけないとずっと思っていて、もし、どうしてもそうせざるを得ないのなら、若い人の隠れ蓑という立場に徹しようと考えてましたので、すごくよく分かります。まぁ、雇われる仕事すら無理で、やめてしまいましたけど(笑)

 

 

まとめ

 

本書では貞剛を中心に書かれており、美化もされていると思います。銅の精製を四阪島に移しても、亜硫酸ガスは海に吸収されず、沿岸地域に被害が出たそうで、貞剛退任後、何十年もかけて解決したそうです。また、住友の礎を作ったと言っても、戦後の財閥解体では、また別の誰かが尽力したものと思います。

しかし、誰にでも分け隔てなく親切に接し、話を聴くこと、一企業の利益よりも、国家社会の利益、自然との共生などを優先することは、企業の理念にも深く浸透しているのだろうと思いました。住友グループへの就職を考えている人は、HPで企業研究するのも良いですが、本書を一度読んでみることをおすすめします。

 

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口に出してほめる

今回は、斎藤一人 ほめ道(2010年)を読みました。

 

 

小林正観さんの「五戒を言わない」と同じく、私自身なかなか身につかないのか「ほめること」です。本書を読んで、もう一度頑張ってみようと思ったので、まとめたいと思います。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

まずは挨拶と返事

 

ほめる前に、「こんにちは」「おはようございます」「いただきます」「ごちそうさま」といった基本的な挨拶から始めるといいそうです。

確かに、道端ですれ違う人に挨拶ってしないよな〜と思います。走ってる時は、明らかにランナーや、ウォーキングしている方ならできそうですが、バス停でバスを待っている人とかはちょっと…私だったら、挨拶されても「怖い」と思ってしまいますね…

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一方、「いただきます」「ごちそうさま」は1人でもできることなのに、1人だと、いや、普段もあまりしていなかったなと思います。こういうところから、ほめ道は始まるんですね。

 

 

長所は声に出す

 

次は、誰かの長所を見つけたら、声に出して伝えることです。本人に言えたら良いですが、周囲の人に伝えてもいいですよね。

息子の場合だと、欠点ばかりが目について、なかなか長所を見つけられないのですが、欠点探しをするよりも、長所探しをしたほうが楽しいのは間違い無いなと思いました。家族を含めて、出会った人全員の長所探しをやってみようと思います。

 

 

定型ほめフレーズ

 

著者さんは「いい笑顔ですね」を定型ほめフレーズにして、誰にでも、たとえムスっとした顔の人がいても言っていたそうです。

初級は、素敵だなと思ったことをそのまま口に出すこと、中級は、真顔の人をほめること、そして、上級がブスッとした顔の人に、「いい笑顔ですね」と言うことだそうです。

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自分が言いやすいセリフなら、何でも良いということでした。そして、ひとつのほめフレーズを口癖にして、貫くことが大事だったようです。一つの技も覚えていないのに、応用編を使おうとするからうまくいかないってですよ。

 

 

自己ー重要感

 

本書で何度も出てくるのが「自己重要感」です。社長が高いお金を出して銀座のクラブに行くのも、自己重要感を満たしてくれるからだし、勉強して大学に行きたがるのも、暴走族がバリバリ走っているのも、みな、自己重要感を満たすためです。「人を動かす」デール・カーネギーも言ってましたよね。

 

 

誰もが渇望する自己重要感をみたしてあげる、つまり、ほめることで、みんなが自分の味方になってくれるということでした。それは、心強いですね。

 

 

まとめ

 

本書を読んで、まずは挨拶で声をかけるのに慣れること、次に長所を見つけたら伝えること、そして、定型ほめ文を誰にでも言えるようになること。これらができれば、相手の長所を見つけてほめるという段階に至れるのだと分かりました。最初からゴールの状態を目指そうとするから、難しかったんですね。ひとつずつやっていって、相手の自己重要感を満たせる人になりたいです。

また、本書を7回読めということなのですが、そうするとブログが書けなくなってしまうので(笑)、ちょこちょこ読みたいなと思います。

 

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火山灰

今回は揺れる大地を賢く生きる 京大地球科学教授の最終講義(2022年)を読みました。

 

 

過去記事「2025年7月5日」のことがあったので、念のため警戒体制を敷いていた我が家でしたが、何事もなく良かったですね〜^ ^ 

 

ddh-book.hatenablog.com

 

とはいえ、日本は地震火山列島なので、常に災害への警戒と情報収集を忘れないようにしないとと思い、地震に関する本を読んでいました。特に、火山灰の被害について知らなかったことが多かったので、まとめておきたいと思います。

 

 

火山灰は細かいガラス

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火山灰には、鋭い破片を持ったガラスが含まれています。Webで調べてみると、鹿児島では火山灰は「克灰袋」に入れ廃棄しますが、火山灰が舞い上がらないよう少し湿らせてから、シャベルで集めるのだそうです。雨が降るとセメントや漆喰のように固まり、下水道が詰まってしまうそうで、雨の降る前に集めなければいけませんね。屋根にも積もり、そこに雨が降れば家が重さで押し潰されます。飛行機が張付いた火山灰の重さで傾いている写真もありました。富士山噴火によって仮に50㎝の火山灰が積もった場合、木造家屋の半数は倒壊するという予測もあるということです。

また、科学的に毒性はないものの、気管や肺を傷つけます。私のように喘息持ちの人は、火山灰が地面に5㎜積もると咳き込み始めるということでした。目に入れば痛くて開けられなくなるだけでなく、角膜の表面を傷つけてしまいます。火山灰が付いたまま車のワイパーを動かせば、すりガラスのようになってしまうということなので、注意が必要ですね。

有害な火山ガスが付着した火山灰が人体に入れば、神経障害を引き起こす恐れもあり、実際に家畜が火山灰を吸い込み、大量死したこともあるそうです。

 

 

植物への影響

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火山灰は葉の表面につくと、こびりついて落ちないため、光合成が妨げられ、生長が止まってしまいます。わずか2㎝の火山灰が降り積もっただけで、畑の農作物はほぼ枯れてしまうということでした。10㎝積もれば、森林が壊滅状態になると言われているそうです。

桜島がしょっちゅう噴火している鹿児島で農家さんはどうしているのかと検索してみると、ブロワーによる送風や高圧散水等によりビニールハウスや植物の除灰をしているようでした。

 

 

飛行機への影響

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火山灰は、航空機やヘリコプター、船舶のエンジンを止めてしまいます。エンジンの燃焼室の温度は1000℃ほどあるので、中に吸い込まれた火山灰は溶けてしまいます。そして、燃焼室から出ると一気に冷やされるため、今度は固まって燃焼ガスの噴射ノズルをふさいでしまうということでした。

1991年にフィリピン・ピナトゥボ火山が噴火したときには、風下の米軍基地が使用できなくなり、撤退を余儀なくされたそうで、火山灰が舞う領域は飛行禁止とする国際的な取り決めもあります。最近のニュースを見ても、新燃岳の噴火により、鹿児島空港の発着便はしょっちゅう欠航していましたよ。

 

 

電子機器への影響

 

火山灰の細かな粒子が電子機器の吸気口から吸い込まれるとコンピュータは誤作動を起こします。通信、運輸、金融をはじめ、官庁、企業に大きな影響が出る恐れがあります。とはいえ、鹿児島で影響はあるのか調べてみましたが、室内であれば窓を閉めれば問題はなさそうでした。防塵機能のないスマホやノートPCは、火山灰の降る屋外で使用すると、恐らく壊れてしまいますね。

そして、電車や新幹線も電子制御であり、九州新幹線ではギアボックスを完全密閉するなどの火山灰対策が取られているそうです。

 

 

まとめ

 

日本は地震の活動期に入っており、富士山もスタンバイ状態でいつ噴火してもおかしくないのだそうです。九州にはカルデラ噴火を起こした阿蘇山もありますし、火山灰対策については、噴火後長く影響が出ると考えられます。やっぱり、鹿児島で行われている対策を学ぶことが有効かなと思います。私としては、喘息が出ないような防塵マスクの準備と農作物への対策をもっと考えておく必要があるなと思いました。

 

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アーユルヴェーダ

今回は、新世紀のアーユルヴェーダ(2025年)を読みました。

 

 

著者さんは、過去記事ノマドワーカー」の著者さんで、海外をあちこち飛び回る生活で、慢性的な時差ボケに悩まされていたそうです。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

しかし、アーユルヴェーダの施術により解消し、インドやスリランカアーユルヴェーダ取材を通して本書を書かれています。

アーユルヴェーダって、なんか油を頭にかけるやつくらいしか知らなかったのですが、本書を読んで伝統的な「医療」なのだと知ったので、まとめたいと思います。

 

 

神様から伝承された医術

 

まず驚いたのが、アーユルヴェーダ古代インドに起源を持つ伝統医療であり、「神々から直接もたらされた贈り物」だということです。原初のアーユルヴェーダは、ヒンドゥー教聖典『アタルヴァ・ヴェーダ』の一部を成すものとして位置づけられています。

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およそ5,000年前にインドラという神さまから、ヒマラヤで修行をしていた仙人(リシ)たちが厳しい修行の末に、宇宙の根源的真理(ヴェーダ)とともにアーユルヴェーダの知恵を「聞き取った(シュルティ)」と考えられているそうです。

アーユルヴェーダの知識は、ただの医術ではなく「人間が本来の目的(ダルマ=宗法や精神修行)を全うできるようにする手段」と位置づけられ、ヨーガや占星術も含みます。

 

 

 

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インドでは、各地にアーユルヴェーダ大学が設立され、正規の教育課程でアーユルヴェーダ医師(ヴァイディヤ)の育成が行われています。2014年にはモディ政権で伝統医学を担当する省庁(AYUSH省)が設立され、AYUSHの頭文字であるアーユルヴェーダ・ヨーガ・ユナニ・シッダ・ホメオパシーなど伝統医療全般の振興策が強化されました。伝統医学の知見を取り入れた日用品や食品を販売する企業が急成長していたり、アプリを通じてオンライン診療(ビデオ通話による問診)を受けたり、症状を入力するとAIがアーユルヴェーダ的な体質診断やハーブ処方を提案してくれるサービスもあるそうです。

 

 

 

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スリランカでは仏教的な世界観がアーユルヴェーダと融合しています。心の乱れが病を招くという考えのもと、施術と並行して瞑想や精神修養が奨励され、そのため多くのアーユルヴェーダ施設では朝夕のヨーガや瞑想セッションが行われるそうです。土着のヘラヴェダガマ、タミル系住民のシッダ医学やイスラム系住民由来のユナニ医学、そして占星術や鉱物療法が統合しており、世襲制の伝統医により継承されています。独自の薬草学が発展し、ホロスコープ占星術)を見ながら投薬する「医療占星術」を用いたり、宝石の波動で心身を整える療法などがよく用いられるそうです。

パンデミックを機に、アーユルヴェーダ・ツーリズムも盛んで、各地にアーユルヴェーダリゾートができているそうです。

 

 

頭に油をかけるやつ

 

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わたしのイメージした「頭に脂をかけるやつ」は、シーロダーラ(Shirodhara)と言うそうです。受ける人のドーシャ(アーユルヴェーダ独自の生命エネルギーの概念で、体質や生理機能の表れを三つのエネルギー原理で説明する枠組み)に合わせたオイル選択が重要で、日本では1種類のオイルしかない施設もあり、それはナンセンスだということでした。本来、施術にはゴマ油(セサミオイル)をはじめ、体質に合わせてブラフミー(記憶力向上ハーブ)やシャタバリ(鎮静作用ハーブ)を煮出したオイル、あるいは薬草茶や牛乳などが用いられるそうです。

 

 

まとめ

 

アーユルヴェーダについて詳しく知りたいと思った方は、本書を一読されると全体像がわかるのでオススメです。チャクラとか、プラーナといった聞いたことのある言葉がアーユルヴェーダ由来だったことや、薬草のこと、詳しい施術の内容、現代医学やゲノミクスとの融合などすごく勉強になりました。スリランカへ本場のアーユルヴェーダ・ツーリズムに行くのなら、各施設の詳しい説明やオススメ情報まで書いてありましたよ。

私のドーシャはピッタかな。ヨガとも姉妹関係だそうで、すごくすご~く奥が深い世界なんだなということが分かりました。

 

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日本の貧困

今回は、世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル(2023年)を読みました。

 

 

本書は、途上国・後発国の貧困と日本の貧困の違いについて書かれており、日本の貧困というものがよく分かる内容でした。そうなんだと勉強になったことをまとめたいと思います。

 

 

人と人とのつながり

 

日本にスラムはありませんが、多くの都市にあるのがスラムです。スラムでは同じような境遇の人々同士で助け合いながら暮らしています。高齢の祖父母や子どもを預けたり、食べ物やお金でも協力し合って生きています。社会的な補償もなく、いつ政府の方針で自分達の家が撤去されるか分からないからこそ、人と人とのつながりが強く、お互いに助け合って生きているのだということでした。

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一方、日本では貧困は個人の責任と考えられており、セイフティーネットが充実しているため、スラムのような人と人とのつながりはありません。行政に頼れば生活保護を受けることも可能であるのに、家族に自分の状況を知られるのが嫌でホームレス生活やネットカフェでの生活を続ける人もいます。スラムのように貧困者が同じ地域に集まっているということもない日本は、貧富がまじりあった「混在型都市」であり、相対的貧困に直面し、偏見や劣等感から自暴自棄になってしまうこともあるということでした。

 

 

食事

 

スラムでは、温暖な気候で冷蔵庫なども持たないことから、臭みを消して長持ちするようカラカラになるまで揚げた貧困フードがよく食べられます。食事の内容は階層によって全く異なり、例えばお金を持っている人たちは魚の身の部分を食べるのに対し、貧困層の人たちは尻尾や頭を油で揚げて食べます。1日2食、食べられるかどうかといった生活で、栄養が足りず、衛生状態も悪いため、特に子どもは感染症で命を落とすことが多い状況です。

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一方、日本では階層によって食べる料理が違うということはあまりなく、富裕層の人でもたこ焼きや焼きそばを食べますね。NPOなどが行う炊き出しも実績を競い合っていて、豪勢なのだそうです。そのため、栄養を摂れずに命を落とすことは基本的にありません。しかし、栄養バランスが偏っており、肥満やそれに伴う病気のリスクが高くなります。

 

 

仕事

 

スラムに住む人々が行っている仕事は危険なものも多く、収入も微々たるものです。そのため、子どもにも働いてもらわなければならず、学校にも通えない子が多いです。しかし、稼げば稼いだ分だけその人の収入となります。ひと工夫凝らして大金を手に入れ、貧困から脱したという話もよくスラムでは聞くことができるそうです。

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一方、日本の低所得層の人々は非正規雇用が多く、衣食住は確保できるものの、給与額が決まっていて頑張っても上がりません。困窮した状況を打破できず、見通しがつかない生活がずっと続きます。希望が持てるという要素が社会の中にほとんどないため、心を病んでしまう人も多いということでした。

 

 

まとめ

 

日本は島国であり、貧しいから比較的裕福な国外に出稼ぎに行くということも難しく、貧困スパイラルに入ってしまうと抜けられない国なのだということがよく分かりました。また、世界的に見ると決して貧困ではないのにもかかわらず、相対的に貧困を感じてしまい、偏見や劣等感から自暴自棄になってしまうこと、子どものいる母子家庭では、働くよりも生活保護を受けた方が生活レベルが高いという矛盾が起きてしまうこと、炊き出しが実績を競い合って豪華になっていること、刑務所に入れば快適でかつ三食たべられることなど、日本社会の歪みを知ることもできました。どちらが良いという話でもなく、一朝一夕に変えられることではありませんが、世界と比較して日本の現状を知るということは、大事だよなと本書を読んで思いました。

 

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心の鍛え方

今回は、どんな逆境でも、最高のパフォーマンスを発揮する 心を「道具化」する技術(2024年)を読みました。

 

 

本書の著者さんは防衛大学校を出て陸上自衛隊で師団長をし、幹部学校の学校長、西部方面総監をされていた、自衛隊でもエリート中のエリートのようです。過去記事でも読んだ日航機墜落事故では情報小隊長としてNHKニュースを見た30分後には現場に向かったそうですし、阪神淡路大震災では災害派遣に従事し、熊本地震ではJTF(総合任務部隊)の指揮官として指揮を執っていたそうです。

 

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自衛隊活動

 

災害派遣現場では、PTSD心的外傷後ストレス障害)を発症する(あるいは、それに近いような状態になる)ことがあります。著者さんはそのような現場に派遣されるとき、予想される惨状を頭の中で繰り返しイメージするのだそうです。そして、一緒に行動する部下たちにもこのイメージを共有します。

心の準備をするということは、精神的な危機を乗り越えるためのテクニックの一つであり、予防注射やショックアブソーバー(振動する機械構造や建築物の振動を減衰する装置)のようなものだということでした。

 

 

合氣道の教え

 

著者さんは防衛大学校で合氣道部に入ったそうで、私の大好きな、過去記事で何度も取り上げている中村天風先生の直弟子でもある佐々木将人師範に稽古をしてもらったのだそうです。

 

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合氣道では、自分の心身をリラックスさせて心と身体をコントロールする力(心身統一道)を鍛えます。この鍛錬によって、著者さんは、

  • 嫌なことや思いもよらない出来事があっても、心が大きく揺さぶられないよう、心をコントロールする力が身に付いた。
  • 「自分でないもの」を「自分」だと勘違いしないようになった。

と述べています。自衛官としてのポストや階級はいずれ返納するものであり、「自分」ではありません。また、「心」も自分だと勘違いしてはいけません。嫌なことがあったり、失敗したり、苦手な人のことを始終考えている「心」は「自分自身」ではありません。要するに、嫌なことではなく、自分の好きな人や憧れる人のことを考えるといったように、「心」は「自分自身」によってコントロールすることができるということです。

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これは、過去記事「トールの目覚め」エックハルト・トールが言っていたことを全く同じでした。そして、著者さんは、このことを「心を道具化する」と言っています。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

心のトレーニン

 

私たちは、植物に対しては適度な水と肥料を与えますが、それは、成長には時間が必要で、多すぎる肥料は返って植物を枯らしてしまうと知っているからです。ところが、相手が「人間」になると「適度」が分からなくなる人がいると著者さんは述べます。自分自身も含めて「人間」を育てる際には「植物」を育てる意識で、急速な成長を期待せずに行った方が良いということでした。要は、時間をかけてコツコツと継続することが大事だということですね。

では、どのようなトレーニングを行い自分の心を鍛えるかというと、

 

「心の準備」⇨行動

例えば、信号待ちの状態から歩き出す時、「自分はもう歩いている」とイメージしてから歩き出すというトレーニング法です。「すでにその動作をしている」と意識することで、「静」と「動」との間に差がない状態、合氣道で言うところの「静動一致」の状態となるよう「心の準備」を行います。普段何気なく無意識で行っている動作を意識的に行うことで、無駄のない洗練された動きを習得できるということでした。

 

「本当のリラックス」状態

「折れない腕」という実験では、意識的に腕を曲げないよう抵抗した時よりも、力を抜いて手を伸ばすことに集中した時の方が腕が折れないという体験をすることができるそうです。(息子としてみましたが、ふざけるのでうまくできませんでした。)スポーツなどでも、力が入った状態では良い動きはできませんよね。

心も同じで、自分の意志(目的・目標)を明確にすることで、「強くて折れない心」ができます。「自分以外の何か」に意識を向けるのではなく、「困難やプレッシャーとは勝負しない」と決めてしまえば、心はリラックス状態になります。「折れない腕」の実験と同じように、「自分が今やるべきこと」にひたすら集中するということです。

 

瞑想

著者さんも毎日瞑想を実践されており、心のトレーニングにも効果的です。呼吸の長さや丹田の正確な位置など細かいことは気にせず、自分の良いように集中すればよいそうです。また、意識を広げたり、苦手な人や嫌な人を思い浮かべて、好きな人やペットで心をいっぱいにするトレーニンも心を鍛えるには良さそうです。

 

木刀を使った鍛錬なんかもありましたが、ちょっと家には木刀がないので、スルーしちゃいますね(笑)

 

 

まとめ

 

過去記事「五戒を言わないと決意しました」で決意したにも関わらず、本当に毎日挫折、挫折で心折れそうだったんです。でも、本書を読んで、何年もかかると覚悟して折れずに継続することが大事なんだと気づき、何度でも頑張ろうと思えました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

その言葉を発する前に、「これがこの人との最後の会話になってもいいのか?」と心の中で聞くという、「後悔先に立たず」作戦もやってみようと思います。実践すること、継続することが大事だということなので、気長に頑張ります。

 

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健康でいる理由

今回は、癒しのマスター・キー(2021年)を読みました。

 

 

過去記事「セスは語る」でも言っていますが、スピリチュアル系の本って長いんですよ…

 

ddh-book.hatenablog.com

 

なので、スピ系の本は読むのにとても忍耐力を使います(笑)そして本書は、なが~いスピリチュアル系の本の中でも、私が以前挫折した「奇跡のコース」を何度も引用しています。とはいえ、病気と健康について書かれていて、要は「病は気から」なのですが、そうだよね、そういう見方もあるよねと学んだのでまとめたいと思います。

 

 

病が消える

 

過去記事「アニータ・ムアジャーニの臨死体験でもあったように、一夜にして病が消え去るということは現実世界で起き得ます。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

本書でも、依存症を治癒したり、過去記事「宇宙の構造」でも取り上げた二重人格者のオレンジアレルギーの話が載っていました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

これは、今体験している現実は自分が選択できる唯一の現実ではないと理解し、どの現実を生きるのか選択できることを知り、自分にとってより好ましい現実に浸かることでその現実を近づけることができるということでした。

 

 

不健康がもたらすメリット

 

また、自分自身の中にある、不健康により得るもの(メリット)にも気づく必要があります。

  • 仕事や学校に行かなくて良い
  • 嫌なことをしなくて済む
  • 関心や同情を得ることができる
  • 何かもらえる

などなど。これも分かる気がします。

健康でありたいと思うのなら、自分を犠牲者だと受け入れる前に、まず自身が病気を選択したのかも知れないと、その理由について深く内省する必要があるということでした。

 

 

病に注意を向けない

 

医師は患者に対して病名というラベルを貼りますが、患者自身がそのラベルを受入れ、自分を病人とみなす必要はありません。「私はガン患者です」というように自分自身をラベル付けしてしまうと、それは潜在意識にも刻まれてしまいます。

過去記事「天風哲学」中村天風先生も言っていたように、病を忘れること、病に囚われないことが病から癒えるには大切な要素になります。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

限界はない

 

私たちの魂に限界はありません。なので、自分自身に対する限界を決めてはいけない、いつ何時も完全で、豊であることを知らなければいけないということでした。

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ここで、大いなる存在や神と自分は切り離せないといった話になるのですが、要は自分で限界を決める必要はない、自分には奇跡を起こす力があると信じていればよいということなのかなと思います。

 

 

偽物のヒーラーに注意

 

本書では、医者や治療を避けた方が良いとも書かれていませんし、スピリチュアルヒーラーを頼れとも書かれていません。お金儲けをしようとする医者やヒーラーがいるので、注意しましょうという話です。

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患者の過去や病歴にフォーカスせず、今ここで癒し、患者を新しい可能性へと導くのが本物のヒーラーであり、彼ら自身はなにも欲しないのだということでした。

 

 

まとめ

 

病気には理由がある。それは、自分の生き方を見直すためだったり、本当はやりたくないことから逃れるためかも知れません。そして、それは、健康でいるというのにも理由があるということだと思いました。自分の魂が生きたいように生きている時、「愛の変換ゲーム」にあるような宇宙意志の求める存在であるときには、必然的に健康なのだと思います。

 

 

私は今健康ですが、もし病が見つかったら、このブログを読み直して病の理由や病から何を得ようとしているのかを考えようと思います。

とは言え、穴の開いたむし歯が一夜で治るなんてことはないよ~と「限界はない」を受け入れられない歯科衛生士の自分も確実にわたしの中にはいます(笑)

 

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アリとキリギリス

今回は、仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える(2017年)を読みました。

 

 

本書は働くことと生きることについて歴史的に、哲学的に考えていく内容で、少し難しいな~と感じたのですが、最後の方にあった「アリとキリギリス」の話が面白かったので、まとめたいと思います。

 

 

イソップ物語「アリとキリギリス」

 

子どもの頃に誰しも絵本で読んだことのある「アリとキリギリス」ですが、原話はギリシヤの「セミとアリ」だったそうです。北ヨーロッパにはセミがいなかったため、セミがキリギリスに置き換わり、それが十六世紀後半にイエズス会宣教師によって日本に伝来したのだそうです。

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私たちが「アリとキリギリス」により植え付けられている、勤勉で計画的なアリと後先考えず遊興にふける愚かなキリギリスのイメージは、改変版によるものであり、本来の寓話はもっと違った内容なのだということでした。

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子供向け絵本やディズニー版では、アリがセミに食糧を分け与えてあげたりと、さらに結末が改変されています。

 

 

セミとアリ」

 

冬のある日の事です。
 アリたちは貯めてあった穀物(こくもつ)が湿ったので、家の外で乾かしていました。
 そこへ、お腹を空かしたセミがやって来て、
「何か、食べ物を下さい」
と、頼みました。
 アリたちは、
「あなたは、どうして夏の間に、食べ物を蓄えておかなかったのですか?」
「ひまがなかったのです。きれいな歌を歌うのに忙しくて」
 アリたちは、せせら笑って言いました。
「なるほどね。しかし、夏の間、歌を歌っていたのなら、冬は踊りでも踊ったらどうです」

 このお話しは、つらい目や危ない目に会うのが嫌だったら、どんな時にも、いざという時の備えをしなければいけないと教えています。
福娘童話集より引用)

 

これだけを読むと、「アリとキリギリス」とそんなに違わないよねと思いますが、アリの偏狭でケチな性格がイソップ物語の「蟻」という話から知ることができます。

 

 

「蟻」

 

現在の蟻は昔は人間でした。そうして農業に専念しましたが、自分の労働の結果では満足しないで、他人のものにまで羨望の目を向けて始終隣人たちの果実を盗んでばかりいました。ゼウスは彼の慾張りなのにお腹立ちになって、その姿を蟻と呼ばれているこの動物にお変えになりました。しかし彼はその姿を変えてもその気質は変えませんでした。というのは今日に到るまで彼は田畑を這い廻って他人の小麦や大麦をかき集めて、自分のために蓄えるのですから。

この話は、生まれつき悪い人々は非常にひどく懲らしめられても、その性格を変えない、ということを明らかにしています。

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う~ん、これは、アリのイメージが大きく変わる話ですよね。イソップ物語では、アリの性格は共通しているということで、こうなると、「セミとアリ」がまた違った話のように見えてきます。著者さんも、

このようなアリ信仰は、禁欲的に労働して未来に備えることを過度に賛美し、その反作用として「今を生きる」「生きることを楽しむ」ことを良からぬこととして捉えるような、倒錯した価値観を生み出しました。

と書いており、働きすぎる日本人にも苦言を呈していました。

 

 

生きる意味

 

「人生が好転する100の言葉 頑張らずに楽しく生きる」(2022年)でひろゆき氏は、世間に何かの価値を残しても、人類に貢献することができても、生きる幸せが実感できるかはわからないので、人生の価値や意義とか、考えなくてもいいんじゃないでしょうか。と、書いています。

 

一方、国立がんセンター精神科医清水氏は、「もしも一年後、この世にいないとしたら。」(2019年)で、誰かの役に立ちたいという気持ちは生きる原動力になるようだと述べています。

 

本書の著者さんは、

人間は、生きることに「意味」が感じられないと、生きていけなくなってしまうという特異な性質を持つ、唯一の動物です。

と言っており、人は人生のどこかで「自分の生きる意味」を考え、答えを出していかなければいけないものなのかも知れません。そして、アリではなく、キリギリスやセミよのうに楽しく生きるというのが自分の生きる意味でも何ら問題ないし、むしろ健全なのではないかと思いました。

 

 

まとめ
 
「アリとキリギリス」の話から、「キリギリス(セミ)が象徴している芸術家のような存在が、何か不真面目なものであるかのように貶められてしまっている」という視点は面白いなと思いました。
本書の内容は、海外の哲学者や文献の話ばかりだったので、やっぱりキリスト教の仕事観の影響が強く出ているように思います。著者さんには、日本の神話の神様のことや、日本人の宗教観(禅道)や文化(学校の掃除など)も加えて、論じてみてほしいなと思いました。
 

五戒を言わないと決意しました

今回は、すべては見方次第 小林正観さんから教わったこと(2015年)を読みました。

 

 

本書は、小林正観さんの講演を多数主催し、小林正観さんの教えを伝える「正観塾」師範代でもある著者さんが、小林正観さんの教えをまとめた本です。

過去記事「子育てのモヤモヤ」で、

 

ddh-book.hatenablog.com

 

不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わずに生きたいのですが、なかなか…。

なんて書いていましたが、それじゃあダメだ!五戒を言わないというのを徹底して実行しなければと思い直しましたので、まとめたいと思います。

 

 

受け入れる

 

思いどおりにならないこと、事故や病気、お金や人間関係の悩み、日々の出来事や現象に対して、「受け入れる」ことを小林正観さんは何度も説きます。そしてそれは、「五戒」を実践することで受け入れ度は33%、「う・た・し」を実践することで、受け入れ度は66%、さらに、「感謝」することができたら、99まで受け入れが到達するのだそうです。ただひたすらその3段階を繰り返すことが、現実と精神をつなぎ、人格を高めて能力を開くことにも通じるということでした。

 

 

実践の三段階

 

第一段階:五戒

五戒の実践とは、不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わないということです。そして、幸せな人生への実践は「不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わない」ことからスタートするということでした。

わたしはこのスタートの段階でつまづいていた訳ですが、まずは「言葉を変える」ことだと正観さんも言っており、著者さんも、五戒が頭の中に浮かんでも、絶対に口には出さないということだったので、ここは諦めずに、わたしも口に出さないを頑張ってみようと思いました。

 

 

第二段階:う・た・し

「う・た・し」とは、目の前の現象を「うれしい・たのしい・しあわせ」という見方でとらえるという実践です。「コップに水が半分もあってうれしい、たのしい、しあわせ」と受け取るようになることが、第二段階の実践となるということでした。

第二段階に関しては、これまでも意識していたことなので、大丈夫かな。

 

 

第三段階:感謝

第3段階の「感謝」は、日々起きる出来事に対して「ありがとう」と感謝するという実践になります。「何者かがコップに水を半分も残してくださっていた。ありがとう」と心から感謝できるようになるということでした。

これは、反抗期息子に「うっさい!」とか言われても、「あ〜元気で健康に育ってくれて、ありがたい」と心から感謝するということですよね。まだまだ修行が必要です…また、「ありがとう」を口にするだけでも良いということで、寝る前のありがとうをもっとたくさん見つけて言うようにしたいと思いました。

 

 

残りの1%

 

上記三段階の実践をした結果、人から感謝されたり、喜ばれたりしたときに、最後の1%がプラスされて100%になるそうです。最後の1%は、自分以外の力でもたらされるものなので、コントロールはできません。

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つまり、私たちにできることは、99%に到達できるよう、日常生活の中で実践するだけだということです。上記の三段階を毎日ひたすら実践する、これが悟りの修行になるということで、正観さんのようになれるのかも知れません。

 

 

きそわない・くらべない・あらそわない

 

「正しい」世界は自力でがんばる世界、「楽しい」世界は自分以外の力も受け入れながら進む世界です。

著者さんは、「きそわない・くらべない・あらそわない」というテーマを正観さんからもらい、会社を立ち上げ、実践されているそうです。

わたしも「ただしい世界」ではなく、「たのしい世界」の住人になりたいですね。

 

 

まとめ

 

やっぱり、何度読んでも小林正観さんの話は心に響きます。そして、今回は、小林正観さんのお弟子さんが書かれた本ということで、また違った面から見た気づきもありました。反抗期息子のいる家で五戒を言わないなんて、ムリゲーだと思っていましたが、これは、私への神様からの挑戦だと解釈を変えて、ゲームクリアを目指して頑張ってみようと思います。特に、頭の中で考えたとしても、口には出さないを実行していきます!

 

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不自由な脳

今回は、貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」(2024年)を読みました。

 

 

本書は、これまで貧困ルポを書いてきたフリーライターの著者さんが、脳梗塞を発症。自身が高次脳機能障害となったことで、これまで取材してきた当事者の声を見直し、「働かない脳」という視点から当事者の声を翻訳し直すという本です。本当に行政や医療福祉に関わる人は全員、絶対に読んだ方が良い内容です。貧困当事者の怠けているとしか思えない行動が、脳の機能障害により起きていて、必死に頑張っているけどできないという状態なのだということがとてもよく分かったので、整理して書いておきたいと思います。

 

 

ワーキングメモリ

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ADHD(注意欠如・多動症)の特性の一つに、ワーキングメモリ(作業記憶)の弱さというのがありますが、高次脳機能障害になった著者さんも、著しいワーキングメモリの弱まりを感じるそうです。レジで値段を見ても、小銭を数えているそばから金額が脳内から消え去るし、仕事の約束も、公共料金の支払いも、次の瞬間には一切消えてしまい思い出せないというので、かなり困難な生活になると想像できます。そして、それは一般的にだらしないと思われる行動となり、以前はできていたのにできないという焦りから、パニックになるというのもよく理解できました。

 

 

脳性疲労

 

ADHDASDでは、過集中とその反動として、疲労感や注意力の低下があることが知られていますが、「脳性疲労」というのは、思っていたよりも深刻な症状のようです。脳梗塞発症から9年経った著者さんにとっても脳性疲労は生活上で最も支障をきたす症状のひとつだということでした。突然、猛烈な頭の重怠さが現れ、頭が締め付けられ、脳に濃い霧が降りてきた感じとなり、

文字が読めなくなる、本が読めなくなる。文章を読んでも意味が頭に入らず、読んだ文字が頭から流れ出していくように感じる。他者の話についていけない、言葉の意味を聞き取れない。考えをまとめようと頑張っていると過換気の発作を起こす。

といった症状を起こします。そして、この症状は著者さんがこれまで取材してきた貧困当事者の中でも、精神疾患を抱える当事者や、発達特性を理由に失職したり社会からドロップアウトした人々から、かなり共通して聞き取ってきたことだったそうです。

 

 

事務処理能力

 

障害や貧困の場合、行政のセーフティネットがあるはずですが、役所の申請書類ほど不自由な脳にとって難しいものはないそうです。騒がしい役場の記入コーナーでは、話し声といった妨害情報が入るたびに頭が真っ白になります。そのため、記入用紙を何度も頭から読み返すことになり、

自身の住所の番地や郵便番号、携帯電話番号などまでもがわからなくなり、免許証を見たりスマホで確認したり、記入しても最後に確認すると全然違う数字が書かれていたりという異様な事態に陥ってしまう

ということでした。

記入箇所ごとに指をさして、何を記入すれば良いか教えてもらえれば書けるそうで、軽度認知症の人に対する対応と同じだなと思いました。そして、それは簡単に騙されてしまう人とも言えますね。

 

 

供述弱者

 

さらに、自己説明的、弁解・弁明などのコミュニケーションが非常に困難になるため、『まず相談を受けてから申請』という流れにも大変な困難をきたします。「なぜ自分が思うように働けないのか」「なぜ期待通りに働くことができないのか」「なぜ約束や納期を守れないのか」「なぜ仕事を請けられないのか」。そうしたすべてを職場や仕事のパートナーに対して論理的に説明することができず、当事者をとことん追い込んでしまうのだということでした。

 

うちの息子もこれはすごく苦手で、聞くわたしもいつも「返事してよ」「はっきり言ってよ」とイライラしてしまっていました。トレーニングとして話をさせようとするのは良いとして、イライラや失望が態度に出るのはダメでした。猛省します。

 

 

不安スイッチ

 

ネガティブな感情、特に「不安の感情」への過集中症状を著者さんは「不安スイッチ」と呼びます。「不安スイッチ」がONになると、自分でリセットできないばかりか、そのこと以外を考えられなくなってしまうそうです。脳の認知判断機能を著しく奪い、脳性疲労と同じ状態になってしまいます。すると、まさにいま手元で進行しなければならない喫緊の課題まで、全く手に付かなくなってしまうということでした。

不安を伴う課題を直視すると脳がフリーズするし、しまいには、「不安を想起させるもの」を見たり聞いたりするだけでも思考停止してしまいます。そのため、不安から目を逸らすしかないのだと言います。借金の督促状を開封しなかったり、ギャンブルや薬物に依存してしまう、せざるを得ない状況なのが今ならよく分かるということでした。

また、著者さんは奥さんが隣にいてくれるだけでこの「不安スイッチ」が入らず、目の前の課題をちゃんと行うことができることにも気づいたそうです。ただ信頼できる人が側にいるだけでいい、それが支援になるのだということを学びました。

 

 

できることを知る

 

著者さんが難しいと感じるのは、外部の情報を取り込んで処理判断する作業で、子ども向けの折り紙教本が読めなかったり、集金袋を作ることができなかったりしました。しかし、これまで培ったものはこれまで通りできます。著者さんは脳梗塞発症後12日で最初の闘病記『脳が壊れた』の企画書を担当編集者にメールしており、本書だって書ける訳です。

1人ひとり経験も異なるし、後天的なものなのか、先天的なものなのかでできることは全く異なります。当事者本人も支援者も、何ができるのか、できることを知ろうとすることが大事なんだと分かりました。

 

 

まとめ

 

怠惰・怠慢にしか見えなかった行動が、実は脳の不自由さによるものかも知れないというのは本当に新しい気づきでした。そして、脳に障害が起きていると言われるようなもの、例えば被虐待児、精神疾患ADHDASD認知症脳梗塞などで共通してみられる症状である、共感の声が多数寄せられているというのは、自分も他人事ではないということを示しています。ノーマライゼーション、誰もが同等に生活ができる社会を目指すという考え方においても、本書で学んだような脳性疲労や極端に少ないワーキングメモリで苦しんでいる人々にも優しい社会になるよう、考えていかなければいけないなと思いました。

 

成功する歯科医院

今回は、成功する歯科医院経営 88の法則成功している歯科医院は何をしているのか(2014年)を読みました。

 

 

本ブログのカテゴリーを見てもらえると分かるのですが、わたしはビジネス書が大好きです。でもふと、あれ?歯科医院経営の本って読んだことなくない?と思い、(少し古いですが)本書を読んでみました。統計的にそうだと言っている訳ではなく著者さんの主観であろう点には注意しつつ、本書の中で気になった法則をいくつかピックアップしてまとめておきたいと思います。

 

 

「匂い」は大切

 

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「歯医者さんのにおい」ってありますよね。あれは、根管治療に使うFC(ホルムクレゾール)のにおいだと本書には書かれています。歯科医療用薬剤の独特のにおいは、患者さんを心理的に歯科医院から遠ざけてしまうそうです。なので、アロマを用いるなど、自院のにおいを気にしている歯科医院は成功しているということでした。もちろん、トイレも清潔でキレイであることは言うまでもありません。

これは、高齢者施設でも同じことを聞いたことのある話です。良い施設は、部屋に入ってもオムツのにおいやクレゾールなど消毒薬の独特のにおいがしないのだそうです。また、毎日しっかりと口腔ケアがされているため、口臭が部屋に充満しているなんてこともありません。

 

 

医院のストーリーを発信

 

「ストーリー(物語)」を作るというのは、その医院がどういった方向を目指していて、最終的なゴールがどこにあり、そのゴールを目指すためにどのような設備があって、どういう治療ができるのか、を患者さんに分かりやすく見せることだそうです。

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院内の掲示物やHP、最近ではSNSでの発信になるのではないかと思います。正直、人によって向き不向きがありますし、仕事としては歯科治療がメインなわけで、院長先生が一人で頑張るとか、歯科衛生士、もしくは受付の方にお願いするなんてのは、よほど暇な歯科医院でなければ難しいと思いました。

 

 

24時間予約システム

 

本書は10年以上前の本ですが、以下のように書かれています。

これから成功する歯科医院には、「24時間予約システム」が必須であると言わざるを得ません。

この根拠としては、エステサロンや美容室で最も新規予約の多い時間帯が19時~24時だからだそうです。これは、私も大体その時間にWeb予約しているので、納得感がありました。特に若い人はますます電話が嫌いになっている傾向があるので、都会の、若い人が多い地域はまさにそうだと思います。一方、地方の高齢者の多い地域では結局口コミが一番だし、導入したところで使い方が分からない!となるので、電話でも良いかも知れませんね。

 

 

親に話すように説明する

 

目の前の患者さんを、かけがえのない自分の親だと想像して話すと、自費の成約率が上がるのだそうです。ちょっと下衆な書き方ですね。しかし、過去記事「営業テクニック_4つの壁」でも、自社のデメリットをこちらからうまく伝えることで誠実さを伝えることが大切だと述べられていたように、自分の親になら、「こんなデメリットがあるけど、こちらのメリットはそれを上回るのでおススメだよ」という説明になると思います。

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やっぱり、患者さんが大事にしていることを大事にできる治療を選んでもらって、喜んでもらうというのが大切なのではないかなと思いました。

 

 

変化を恐れない

 

常に新たな時代に合わせるには、「常に新しいこと」をし続けなければいけないと著者さんは述べます。新しい機器だったり、新しい治療法だったり、新しい考え方、新しいスタッフもそうでしょうか。「コントロールのきかないスタッフ」は躊躇なく切るというのもありました。

「未来は、リスクを冒す人の手の中にしかない」のだそうですよ。

 

 

感謝の気持ち

 

成功している歯科医院は、「愛と感謝の心」を大切にしているそうです。医院内部における感謝の数が増えなければ、患者さんが先生やスタッフに対して感謝してくれる数も増えません。そして、院長が、スタッフが「その人の存在を認め、その存在を愛を持って愛おしく感じること」が必要だということでした。

これは、言葉ではなく、行動で示す必要があると思います。ただ、標語のように院内に「愛と感謝の心」と貼り出してもなんの意味もありません。

 

 

まとめ

 

著者さんは、歯科医療はもっと多くの人々を幸せにできると述べていて、私もそう思います。しかし、資本主義に侵食され、お金が全てになってしまっている歯科医院も多のを残念に思います。

また、歯科衛生士がもっと幸せに働けるようにならないと、患者さんを幸せにできないとも思っています。以前、知り合いの院長先生に、「結局愛なんだよね。スタッフを大事にしたり、患者さんを大事にしたり、愛があれば患者さんは来てくれるし、スタッフ(歯科衛生士)も辞めないんだよ」という話を聞いたことがあるのですが、本書の著者さんも全く同じことを書かれていました。歯科衛生士の離職率の高さと人手不足が問題となっていますが、「叱咤」と「金銭」だけでは、人は努力したり、自らを成長させようとはしませんし、それは、幸せではありませんよね。成功する歯科医院に必要なのは、あふれるほど大きな愛と、お互いを思いやる心なんだよ~!と声を大にして言いたいです。

 

トールの目覚め

今回は、エックハルト・トール《今を生きる》 マインドを超えた意識の目覚め(2025年)を読みました。

 

 

実は、このブログは今回で470回目となるのですが、この中で1番読まれているのが「ライトボディは全12レベル」なんです。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

しかも、スピリチュアルガチ勢の方が読んだら怒るような…本の内容にツッコミを入れている感じでですね…なぜ読まれるのか分からないのですよ…

しかし、本書はこれがプレゼンスの状態か〜と納得する内容だったので、エックハルト・トールの言う深化の段階とどのような気づきがあるのかをまとめたいと思います。

 

 

初期の兆候

 

1. 思考の観察能力の向上

2. 「今」という瞬間への気づきの増加

3. 内なる静寂の体験

4. 感覚的な知覚の鮮明化

5. 自然との深い繋がりの感覚

 

 

エックハルト・トールは、思考と自己を明確に区別することが重要だと説きます。

あなたが『私の思考』と言うとき、それは既に思考と自分自身の間に距離があることを示しています。思考があなたであるなら、『私の思考』とは言わないでしょう。単に『私』と言うはずです。

そして、思考を観察することを繰り返しトレーニングします。この、観察する意識こそが、トールが言う「存在」や「プレゼンス」の状態なのだそうです。

 

 

深化の段階

 

1. エゴとの同一化の弱まり

2. 「痛みの体」の解放

3. 無条件の受容の増加

4. 無条件の愛の体験

5. 存在としての自己の直接認識

 

「私」という感覚の多くが、実は「エゴ」と呼ばれる偽りの自己同一性なのだそうです。

エゴは常に自己を定義し、防衛しようとします。「私はこういう人間だ」「私はこれが得意だ」「私はこれが苦手だ」といった自己定義や、「私の」職業、「私の」所有物、「私の」意見、「私の」信念などを通じて、エゴは自己の存在感を強化しようとするのです。

「エゴ」それ自体は悪いものではありません。私たちがエゴと完全に同一化し、それが自分の全てであると錯覚することが問題なのだということでした。

また、「痛みの体」の解放に関しては、過去記事「洗脳から身を守る方法」で紹介した、催眠術の授業で教わった柔軟の自己催眠を思い起こしました。

 

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継続的な深化

 

さらに、目覚めは一度達成されたら終わりというものではなく、継続的に深化していくプロセスです。

1. 日常生活への統合…あらゆる状況でプレゼンスの状態を維持できるようになる

2. 挑戦の中での維持…困難や挑戦に直面した時でもプレゼンスの状態を維持できる

3. 他者への自然な拡張…他者との関わりの中で、プレゼンスの状態を共有し、それによって他者の目覚めを促進する

4. 継続的な解放と拡大…目覚めのプロセスに終わりはない。解放と拡大が継続的に起きる

 

自分のプロセスを他者と比較したり、特定の体験や段階を「達成すべき目標」として求めるのではなく、自分自身の旅を尊重し、各瞬間に意識的に存在することが大事なのだそうです。また、より多くの人が目覚めることで、集合意識(人類全体が共有する意識の場)を通して、「エゴ」によって支配されている分離、恐怖、欠乏感、競争、支配欲から人々が解放されるということでした。

 

 

まとめ

 

「初期の兆候」を読んだとき、天風先生の瞑想法が一番に思い浮かびました。

 

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Youtubeで天風先生のブザーが流れる動画を流しながら、時々瞑想しています。

本書にはプレゼンスの状態になる瞑想?が多く説明されていますが、信号の待ち時間といった短い時間でも、呼吸に意識を向けたり、「今」感じている感覚に意識を向けるというのは今すぐできそうだなと思います。禅の修行みたいですね。

 

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また、感情が動いた時も感情と自己を同一視しないよう、感情を観察する意識として存在しようとするというのも、気を付けて身に着けたいなと思いました。集合意識を通して全人類を幸せにするというのはさすがに話が大きすぎますが、家族や自分と関わる人を幸せにするために、意識してエゴと自分を切り離し、今を大切にして生きていきたいです。

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人材育成

今回は、「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト(2010年)を読みました。

 

本書では、世界規模で「同一スキル、同一賃金」が実現するという展望のもと、人材育成の必要性や具体的な方法を説きます。歯科衛生士の育成にも役立つのではないかと思ったものをまとめたいと思います。

 

 

人材の3タイプ

 

積極的学習者(全体の10%)

プロとしての自覚を持ちつつ、習慣・本性・欲望として物事を学ぶ人です。「拡張的知能観(growth-mindset)」を持ち、学べば学ぶほど、自分の能力が高まることを実感するタイプです。成長の実感はそれ自体が喜びであり、その喜びを得たくてさらに学ぶという好循環を生み出すということでした。

 

消極的学習者(全体の60%)

消極的学習者は、役に立つことが明らかだったり、十分な報酬があったりするような場合だけ気まぐれに学習を行います。学びはあくまでも個人的な目的を達成するための手段であって、彼らはできれば学習は避けたいと考えています。「固定的知能観(fixed-mindset)」を持ち、自分の能力は基本的に変わることはないと信じているところがあります。

 

学習拒否者(全体の30%)

学習拒否者は創造的なことがキライで、言われたことだけを過去の習慣どおりにこなしたい人々です。目の前にある問題の原因はつねに自分以外の他人にあると考える傾向があり、そもそも問題を問題として認識していないことも多いそうです。

著者さんも、こうした人々が全人口の30%もいるとは思えないとは言うものの、社内における学習拒否者は常識的な予想を超えてはるかに多く存在すると考えるべきだとも述べています。

 

 

伸びる人材の共通点

 

伝説の打撃コーチ高畠導宏氏が語った、野球だけでなく人生で伸びる人材の7項目というのが以下です。

◯素直であること

○好奇心旺盛であること

○忍耐力があり、あきらめないこと

○準備を怠らないこと

○几帳面であること

○気配りができること

○夢を持ち、目標を高く設定することができること

 

生まれつきの素質というか、性格の影響も大きそう…

 

 

クラス別育成法

Aクラス人材は、自分からどんどん学んでいくため、関与も指示もほとんど必要ありません。権限を委譲してしまうのがWin-Winで、調子が悪そうな時にフォローするくらいでOKです。

 

スキルは高いのに、やる気を失ってしまっているBクラス人材には、そこそこの指示と高い関与が求められます。やる気が生まれてくれば、この人材はAクラス人材にランクアップできるということでした。

 

一方、やる気はあるのに、スキルがついてこないBクラス人材には一番手がかかります。多過ぎる指示は本人のやる気を失わせてしまう反面、十分な指示によりスキルをしっかり身につければ、「スキルはあるがやる気を失っている人材」にランクアップするそうです。部下のやる気を犠牲にしても、ある程度は仕事を強制的に教えなければいけない時期があるというとこでした。そして、この時期にはガス抜きが必要で、笑う機会を増やすようにすると良いそうです。

 

スキルもやる気もないCクラス人材には、関与ではなく、指示です。与えられた指示に従って仕事の結果が出せるようになれば、やる気を回復し、「やる気はあるのにスキル不足なBクラス人材」にランクアップできるということでした。

 

 

バックワード・チェイニング

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充実感を持って経験させるためには、「つねにゴールテープを切る」という成功体験を積ませつつ、徐々に難易度を高めていくやり方(バックワード・チェイニング)が効果的だそうです。営業であれば、アポ取りからするのではなく、最後の入金確定から経験させ、徐々に売買契約の締結、見積もりと経験させるということです。

これは、歯科衛生士のメインテナンスで言うと、最後のフッ化物塗布から経験させて、最終的には全工程が1人でできるようになるというイメージでしょうか。また、教えることが1番の学びになるというのは、その通りだと思いました。

 

 

具体例

 

著者さんが実際に行い、効果のあった具体例が詳しく書かれており、勝手に使って良いということなので(笑)、歯科医院でもやってみるといいんじゃないかな、と思うものを書いておきます。

 

  • 読書手当「道真公の愛」

著者さんの会社では、月1万円を上限として社員が購入した本の半額を補助しているそうです。しかも、給与明細に「道真公の愛」と記載されるそうです。

面白いですね。Kindle Unlimitedのサブスク費用でも出してくれますかね?

 

  • 将来の自分への手紙

新入社員と途中入社の社員には、入社時に3ヶ月後の自分に、他の社員には、1年後の自分に向けた手紙を書いてもらうそうです。この手紙は自分以外の誰も読めない仕組みで、こうありたい、こういうことに悩んでいるということを言語化できる機会になっているということでした。

 

 

まとめ

 

少子化がますます進む中で、今いる人材を育成することができれば、少ない人材で生産性が上がることは自明ですね。しかし、著者さんも言うように、人材育成は成果を数量的に評価することが難しいという面があり、費用対効果を確認できない、つまり、経営者がお金をかけたがらないという問題があります。

法律上、なかなか雇った人を辞めさせられない日本では、お金と労力をかけるべき人を見極めながら、資源を投資して、地道にAクラス人材に育てていくしかないよねと思いました。リクルートや大手コンサル会社のように、育てた人材に固執しない、どんどん送り出すというのも、優秀な人材の確保と学ぶ雰囲気の醸成にいい方法だと思います。

 

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