今回は、「独身・無職者のリアル~果てしない孤独~」(2013年)を読みました。
「ニート」や「ひきこもり」は聞いたことがありましたが、スネップというのを初めて学んだので、まとめたいと思います。
前回の「兆人の考え方」との落差がすごいw
スネップ(孤立無業者)とは、20~59歳の、結婚したことがなく、学生でもなく、家族以外との人付き合いがない、孤立状態にある無業者のことです。大きな特徴は以下です。
(一)無業であることに加えて
(二)結婚したことがなく、友人とも会わずに孤立している
推定約162万人と言われ、増加傾向にあるそうです。突然の解雇や心身の病にかかったり、親の介護が必要になったことなど、原因は人それぞれです。
スネップについての論文を書いている玄田教授は、「社会関係の欠如は、無業者の就業や自立に対して重大な阻害要因となっている」と述べています。人間関係が失われた「孤立」状態が、人びとから働く意欲や希望を奪い、「無業」状態にとどめさせる要因になっているということです。
男女別では女性よりも男性のほうが、年齢別では20代よりも30代以降のほうが、学歴別では高校卒業以上の学歴よりも中学卒の学歴のほうが、いずれも孤立しやすいということでした。
そして、本書ではどのようにして人々が孤立しているのかを、社会環境の変化をもとに説明しています。
- 農村での暮らし
地域社会の中で血縁や地縁を大切にしながら支え合って暮らしている。「人とのつながり」は、「絆」であると同時に「しがらみ」でもある。 - 集団就職~高度経済成長
「金の卵」と呼ばれた中学や高校を卒業したての若者たちが「生まれ故郷での人とのつながり」から、社縁(言い換えれば「安定した雇用」に支えられるようになる。家族賃金モデル、および年功賃金、終身雇用に特徴づけられる日本型雇用が整備される。人びとが”よりどころ″にすべきつながりは、学校、社会、家族の3つに限定されていく。 - 無縁社会化
景気が悪くなると、非正規雇用の緩和が行われ、戦後循環モデルの柱だった「社縁(男性の安定した雇用)」が大きく崩れる。社縁の崩壊は未婚率の上昇につながっている一方で、男女ともに「結婚後の生活は男性が支える」という価値観を変わらず持っているそうです。 - 自宅に要介護者
独身のまま高齢化していく男女が増加し、親の介護が重なると、仕事を辞めて介護にかかりきりとなる場合もあります。過去記事「ビジネスケアラー」ですね。これから高齢者がますます増えてきますのでこの問題の無視できません。
「学校」から「社会」へのパイプラインが崩れてしまった現代では、どれだけがんばっても「安定した雇用」を得られない人々が出てきます。また、家族に頼れない若者が仕事を失うと、あっという間に孤立しますし、孤立から抜け出すことをサポートする社会的なしくみが整っていないと著者さんは述べます。
本書では、スネップやスネップ予備軍を取材したリアルも書かれていますが、「コミュニケ―ションに向かう意欲」や「努力する意欲」というのは、本人の気合でどうにかなるものではなさそうです。人とのつながりの中でエネルギーをもらい、成功体験を積み重ねることで生まれてくるものだと分かります。著者さんは、孤立した人のつながりを広げる支援を通して、もう一度この社会に自分なりの仕方で関わり、自分の居場所を見つけていった人たちもたくさん見てきたそうです。
人間は社会的動物だと言われますが、人とのつながりが絶たれ、孤立すると、どこかに出かけたい、美味しいものが食べたい、きれいな服が着たいといった欲求がどんどん失われるんだということが分かりました。それはつまり、仕事をしたい、お金を稼ぎたいと思わないということで、ますます孤立してしまいます。物欲にとらわれ過ぎる人もどうかと思いますが、無欲過ぎるのも良いとは言えないですね。
やっぱり、ネット、リアルを含めて、様々な繋がりを意識して作っていくことが大事なんだなと改めて思いました。最近会ってない友人に声をかけて、ランチにでも行こうかなっ。
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