歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

アーノルド・ベネット

アーノルド・ベネットの本をいくつか読んできました。

 

 

 

訳者さんは全て同じ方なのですが、とにかくアーノルド・ベネット愛に溢れています。そして私は、過去記事「暇と退屈」の影響で、本書は退屈を起こさないための方法としか読めませんでした。

 

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今回は、アーノルド・ベネットについてまとめたいと思います。

 

 

アーノルド・ベネット

 

Wikipediaで調べてみると、

英国の小説家、劇作家、評論家である。『二人の女の物語』やクレイハンガー三部作をはじめとする「5つの町」シリーズやフランス的な自然主義的作風で知られている。これらの作品によって20世紀初頭の英国で名声を博したが、後年その作風や創作態度は議論を呼ぶことになる。

と書かれており、彼は小説だけでなく、自己啓発書も多数発表した多作の作家として知られているそうです。後年の議論と言うのは、恐らく贅沢で派手な生活を送っていた為に、その生活を維持するために、くだらないといわれるものを書いたという批評があったということではないかと思います。高級ホテルに滞在し作品を書いたり、ヨットで豪遊することもあったそうです。うらやましい(笑)

 

 

朝の1時間は夜の2時間に匹敵する

 

『自分の時間』では、1時間でも良いから早起きしましょう勧めます。 朝の1時間は夜の2時間に匹敵するそうです。確かに、朝活もまだまだ流行っていますね。

あなたのエンジンを日常の仕事に使う前に(あとではない!)、まずそれ以外の何かに使うのだ。

ということで、早起きしてお茶を飲むだけでも良いので、仕事以外の時間として使いましょう。私なら、カフェラテかな。

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内なる1日をつくる

 

充実した1日を送りたいならば、1日の中にもうひとつ別の1日を設けるようにしなければならないと述べます。知的な能力は、絶えざる激しい労働にも耐え得る、言わば力の源になります。今日は疲れたなんて言ってはいられませんよ。

[24時間]-[移動+仕事10時間]=14時間はすべてのものから解放された内なる時間です。とはいえ、睡眠時間も大事ですし、家事をしたりしなければいけないこともありますよね。ベネットが言うのは、

ひと晩おきに1時間半、何か精神の向上になるような意義のあることを、継続してやってみてはどうだろうか

ということです。「週3回の夜の90分間」を、1週間の全時間の中で、最も重要な時間になるようにして、何がなんでも確保するのです。

 

 

思考を支配する訓練

 

では、確保した時間に何をするかと言うと、

たとえばマルクス・アウレリウスとかエピクテトスのような名著の、短い1章に集中してみるというのは、どうだろうか?

と提案します。自分の思考をいかなるときでも、いかなる場所でも、思いのままに支配できるようになるよう、訓練するのです。

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過去記事「ローマの衰退史」で、マルクス・アウレリウスについて学びましたが、確かに彼の『自省録』は含蓄ある本です。

 

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物事の原因と結果に深く思いをめぐらせていれば、人生の苦悩は減り、他方、人生はより味わい深く、豊かなものとなるということでした。

 

 

自分の気質に合った生き方

 

また、『自分を変える』では、

われわれには皆、持って生まれた気質があり、その気質にたえず左右されている。

と述べられており、気質というのは生まれた瞬間に決まっていて、変えようとするのは徒労に終わるとも忠告します。気質は、抑えつけても好き放題にさせてもろくなことはなく、理性でコントロールしなければいけません。

もちろん、充実した人生を送るためには、気質に合った生き方をしていることが大事です。習慣の奴隷になって抜け出せなくなっている人は、満足な人生を送ることはできないのだということでした。

 

 

本物の幸福

 

『賢者の習慣』は、上記2書を合わせたような内容なのですが、幸福と快楽を履き違えていませんか?というのが印象に残りました。

本物の幸福は、単なる快楽からも、また、満足感と諦観からも得られはしない

ということで、流行の後ばかりを追う女性について書かれています。彼女(追っかけ蝶)は誰からも軽蔑され、非難されている一方、ほとんどすべての人間の羨望の的にもなっているという不思議な存在だそうです。今で言うインフルエンサーのことだと思いました。

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追っかけ蝶は、世間の流行に乗り遅れないことが生きる目標となってしまって、自分と自分の生活を失いながら、真面目に、気晴らしにしかすぎない快楽をひたすら追いかけ回します。追っかけ蝶がイキイキしているのは、人の目にさらされている時だけであり、決して幸福とは言えません。幸福の意味を子どもっぽく誤解して、快楽に興奮し、神経が麻痺しているに過ぎないということでした。

このブログを読んだインフルエンサーさんに怒られそうですが(汗)、アーノルド・ベネット氏が言っていることですからね。

 

 

まとめ

 

アーノルド・ベネットは忠告好きでお説教、おせっかい好きだったそうです。田舎出身で満足な高等教育を受けていなかったにも関わらず大成功しており、そのコツを教えてくれようとしている本だということが読んでいても伝わりました。彼自身数多くの本を出版していますが、当時は全て手書きだったことを考えると、かなり勤勉で、不断に書き続けたのだということも分かります。

自分自身とよく向き合って、自分の気質に合った生き方をすること、良い本を読んで一人で考えを思考する時間を持つことが大事なんだということが分かりました。