歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

エゴと今ここの瞬間

今回は、「「今この瞬間」への旅 新訳版」(2022年)を読みました。

 

 

本書はスピリチュアルな目覚めのためのガイド本です。神とか、キリストとか、ブッダとか出てくるのですが、著者さんはもともと無宗教だったということもあり、他のスピリチュアル系の翻訳本に比べて日本人にも入ってきやすい内容でした。本書を通して「今この瞬間」にあること、エゴの動き、感情を味わい尽くすことについて学んだので、まとめたいと思います。

 

 

プレゼンスとマインド

 

プレゼンスとは、今この瞬間に在る意識のことです。日本語では「臨在」「現存」と訳され、過去も未来もないこの瞬間の自分以外には自分という感覚がないという状態になります。

もう一つの世界では、私たちは自分のマインドの中にあります。そこは幻想の世界であり、過去か未来のどこかにいて、今ここにはいません。このマインドの世界には過去の苦しみのすべてが収められており、エゴは私たちを守ろうとしてマインドの世界に閉じ込めようとします

過去記事「脳内にいる4人の自分」でも学んだように、今ここを生きる、右脳を使って生きるということが本書でいうプレゼンスの状態にあることがスピリチュアルな目覚めであるということだと理解しました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

 

エゴの献身

 

私たちがマインドの中にいる時、エゴに支配されている状態になります。エゴの支配から解放されるためには、自分のエゴに気づき、エゴを認め、打ち明けなければならないということでした。

エゴは幼い頃に私たちの守護者として現れました。欲求、痛み、怒りなどの苦しみと不快感、不安感を伴うすべての感情を抑えるために、人生のあらゆる側面をコントロールしていました(きっと、今もしていますね)。しかし、エゴがコントロールできるのは、すでに知っていることだけであり、過去の記憶と未来の想像に基づいています。エゴは決してこの瞬間に在ることができないのです。

そのため、私たちがプレゼンスに入ろうとすると、エゴは自分が消えてしまうと感じ、時に激しく抵抗します。抑圧された感情をありのままに感じて、「私は今〜と感じている」と言語化することで、プレゼンスに長くいることができるようになる、つまり目覚めに近づきます。エゴと敵対するのではなく、これまで自分を守ってくれたエゴの献身に感謝して、エゴを無条件の愛で受け容れることが大事なのだということが分かりました。過去記事「トラウマの乗り越え方」のパーツと同じ概念なのかなと思います。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

 

湧き上がる感情を味わい尽くす

 

過去からの抑圧された感情は、今ここの瞬間の体験までも歪めてしまう力があります。アンガーマネジメントでも怒りは二次感情だと言いますよね。最初に感じた感情(一次感情)は『悲しみ』『虚しさ』『苦しみ』『心配』『さみしさ』などであり、それが無意識のうちに怒りに変わってしまっている場合もあります。本書でも、ヒーリングセッションやワークの中で自分の抑圧された感情を解き放ち、味わい尽くすよう導くことで、その時の状況を話させて、たちまち克服した事例がいくつも紹介してありました。そして、その抑圧された感情は幼少期の記憶に留まらず、胎内記憶や過去世の記憶にも及びます

エゴがこれまで必死に隠してきた激しい感情やそれが起きた背景、状況をしっかりと味わい尽くし、言語化し、客観的に思考し、今ここの自分に起きていることではない、過去記憶によるもので、今の自分は安全だということを認識することで、エゴを受け容れ、プレゼンスの状態に近づけるということだと思います。

 

 

まとめ
 
著者さんは6回にも渡って段階的に目覚めを経験されているそうです。著者さんが体験した強烈な体験ではなく、ゆるやかに目覚めていくだろうということなので、まずは抑圧した感情を空っぽにして、今この瞬間の感情を味わえるようになりたいと思いました。私には幼少期の辛い経験やトラウマなんて特にないと思っていたのですが、胎内記憶や過去世に引きずられているかもしれないというのは、とても厄介なことですね。本書には瞑想については全く触れられていませんが、瞑想を通して自分の感情を眺めて、受け入れるというプロセスも効果のある方法だろうなと思いました。