今回は、「すごい言語化―「伝わる言葉」が一瞬でみつかる方法」(2023年)を読みました。
私も教育に携わっていたので、他人に言葉で伝えると言うのは本当に難しいことを実感しています。教科書や写真、動画など駆使して使っても、大体3〜4割しか伝わらないと思っています。本書では自分の感覚の5%しか言語化できないということで、どのように言語化していくと良いのかについて詳しく書かれていて勉強になったので、整理したいと思います。
言語化とは、「自分の頭の中にあるものを、言葉に置き換えて、『誰か』に理解してもらうこと」だそうです。そして、自分で自分を理解しようとするときも、言葉にしなければ理解することができません。
やや哲学的な表現になりますが、自分の思考も言葉で行うため、言葉を使わずに私たちは考えることができないということです。それなのに、 自分の感覚の5%しか言語化できていないというのは、私たちはいつも色々なことを考えているつもりで、案外何も考えることができていないのかもしれませんね。
トヨタ生産方式では、「なぜ」を大体5回繰り返せば大体の原因が突き止められるとされています。
しかし、本書では正しく「なぜ?」を繰り返していかないと方向性がズレていってしまう、なぜを繰り返せば本質に辿り着けると考えるのは誤解であると説明しています。原因の中で妥当なものに目が向いていなければ、考えを進めたところで意味がないということです。
では、どうすれば良いかと言うと「だとしたら、どういう変化を相手に起こせる?」と自分に問いかけることが思考を変えるのに有効だということでした。ことビジネスにおいて、顧客は自分で欲しいものがわかっていません。自分の感覚を明確に言葉で認識している顧客は少ないので、「現状のこんな状態を、このように変えることをご希望でしょうか?」など、価値を例示する言葉を出し、認識を揃えることが必要になるということでした。
本書では、言語化の手順を以下の4つの法則を用いて、1から順番に考えていく方法が事例を交えて丁寧に説明されています。
過去記事「ジェイ・エイブラハム」の「ハイパワーマーケティング」にあったようなUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)もキャッチコピーも必要ありません。
価値を言語化し、その価値がどのように実現されるかを言語化しなければいけないということでした。 言うは易く行うは難しですね…(笑)
本書を読んで、看護関係の論文には必ず「用語の定義」があることを思い出しました。自分の使う言葉を定義することの大切さが分かり、それをきちんと行うことで、自分自身の思考も論旨もより深まるのだと思います。
日本語は世界の言語の中でも難しいと言われますが、誰かに正確に理解してもらえるような言葉を使っていけるようになりたいと思いました。