発達性トラウマとは、子ども時代に負ったわけトラウマのことです。今回は「発達性トラウマ「生きづらさ」の正体」(2023年)を読んで、ストレスとどう生きるか考えたので、ご紹介します。
発達性トラウマの症状
発達性トラウマによって生じた症状は、複雑性PTSDと呼ばれるそうです。まだ研究途中ではありますが、ストレスが強いとADHDや発達障害を疑われるような能力低下を起こすことがあるそうです。フラッシュバックや過覚醒、過緊張、対人コミュニケーションにおける障害や脳へのダメージなどが起きますが、その核心は「自己の喪失」だということでした。
ストレス障害としてとらえる
生物はことのほか想定外のストレスや弱くても長く続くストレスに弱いのだそうです。また、ストレスを解消できない(感情を表出できない)とその影響が長く続きますし、日常生活のストレスは過小評価してしまい、より重大な発達性トラウマになってしまう可能性があります。周産期のストレスや家庭内での慢性的ストレス、学校でのいじめなど自覚できないストレスによってトラウマ症状に悩まされることもあるようです。
自閉症スペクトラム障害が症状の強いものから弱いものまで幅があるように、発達性トラウマもその影響の大きさに幅があるのだと理解しました。
発達性トラウマからの脱却する方法
発達性トラウマは「自己の消失」が起きますので、脱却の方法は自己を取り戻すということになります。具体的な方法としては以下の項目が掲載されていました。
①環境を調整する…家は必ずしも安全基地ではない
②身体(自律神経など)を回復する…栄養、睡眠の確保など
③自己(主体、セルフ)を再建する…感情を表現するなど
④記憶・経験を処理する…マインドフルネス、習慣形成など
⑤他者(社会)とのつながりを回復する…ゆるやかな関わりに触れるなど
「すべては自分の責任だ」と考える自己啓発や心理療法ではかえって悪化する場合もあり、エニアグラムのようにその人によって適した対処法は異なるのだなと思いました。
まとめ
以前、愛着障害により発達障害のような症状を呈することがあるという本を読みましたが、この発達性トラウマのことだったのだと思います。
生死に関わるような強いストレスだけでなく、予期せぬストレスや慢性的なストレスにしっかりと対処していく必要があるなと思いました。
一方、ストレスはない方がいいというのも間違いで、適度なストレスは必要だとも言われていますよね。これはストレスかな?あれはストレスかな?といちいち考えながら生活するのはかえってストレスが溜まるので、今に注目して、自分の心が楽しいと思うことを探して生きるのが幸せかなと思います。
楽しめない、周囲に振り回される、感情のコントロールが効かないなど、自己を消失気味だなと思われる方は、一度発達生トラウマを疑ってみても良いかもしれませんね。