歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

進化心理学で少子化を考える

「だまされ上手が生き残る~入門!進化心理学(2010年)によると、進化心理学では生存上必要がないものは突然変異によって、やがては失われると考えます。至近要因ではなく究極要因論で考えるということです。

 

 

 

進化については、自然淘汰と人為淘汰」「人体は失敗作?」でも書いていますが、大変興味があります!

 

ddh-book.hatenablog.com

 

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水生類人猿仮説

例えば、体毛は男性ホルモンにより生えるのに、頭髪だけは女性ホルモンによります。これを究極要因論では「水生類人猿仮説」で説明できるそうです。陸地が乾燥し食料不足になったため水中で生活をはじめ、頭部を出したまま直立歩行するようになり体毛を減少させたのだという仮説です。水生類人猿のメスは、子どもを髪の毛につかまらせて泳がせたため、水面に広がる長い髪の毛をもったメスほど子育てに有利だった為、髪は女性ホルモンによって生えるよう進化したのだと考えられるそうです。

 

究極要因論における感情

究極要因論では協力するとか、裏切られたといった感情レベルでも同様の考え方になります。協力することで生き延びれば、互いに協力する集団になっていきますし、協力が生存に関係無ければお互いに協力するという気持ちは失われていくはずです。

 

クオリアの役割

人間は未来を想像する能力を得ましたが、想像と現実を区別するためにはクオリア(自覚的に感じること)が必要であり、意識がクオリアをもつことによって、自分の感じていることは他者も感じているだろうという「共感」がひき出され、共感によって社会的関係が築かれ、コミュニケーションが支えらえていると考えるのだそうです。

 

進化心理学の視点で見れば、自分自身の感情ですら過去の人類が生き延びてきた手段や結果だったのだと思うと、意識や感情は本当に自分のものなのか、私たちが信じる道徳や倫理って何なのか、だんだん分からなくなってきますね。

 

少子化を考える

では、究極要因論で現代の日本の少子化はどのように考えられるのか考察していきたいと思います。子孫を多く残すために進化してきたはずなので、少子化は人類の異常事態であると言えます。私は、時代の流れが早過ぎて、進化が間に合わない為に少子化が起こっていると考えました。

 

草食系男子

狩猟採取から農耕になり、集団での協力や協調が必要になり争いを防ぐために一夫一妻制になると、男性が草食系になっていきます。さらに、文明社会になると、それまで男性から享受されてきた資源を女性が自分で働いて確保できるようになってきています。男性は女性化し、女性は男性化した方が子孫を残せるという構図になっているように思います。

 

タツノオトシゴ男子

本書には男性が自分の遺伝子を残してもらうために、孔雀のオスのように着飾り化粧して女性にアピールするようになるかも知れないと書かれていましたが、私は、今後は子育てができる男性が女性に選ばれ、子育てできない男性は子孫を残せずに淘汰されていくのではないかと思いました。オスが子育てをするタツノオトシゴのような男子が多くの子孫を残すと考えられるからです。

 

孔雀男子

しかし、ロボット開発が進んで、ドラえもん」のような子育てロボットが普及すれば、どうでしょうか?タツノオトシゴ男子は不要ですね。そうなると、やはり見た目にも生殖能力に優れた男性が選ばれるでしょうから、そうなれば今度は孔雀のように化粧をしたり着飾る男子がより子孫を残せるようになるのではないかと思いました。

 

まとめ

結局のところ、テクノロジーの変化に進化のスピードはいつまでも追いつけないので、少子化はなかなか解決できない問題なんじゃないかなと思ってししまいました。政府や自治体も少子化対策としてただお金をばら撒くのではなく、進化の視点から政策を考えてみると、何か良いアイディアが思いつくかもしれませんね。

進化は資本主義経済にも近いなと感じました。