今回は、「仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?」(2017年)を読みました。
工学系の失敗を回避する方法をビジネスに応用して書かれているのですが、私が参考にしたいと思った部分をまとめたいと思います。
失敗やミスは、大きく分けると「知っていたのに起きた失敗」、「知らなくて起きた失敗」、「注意不足によるうっかりミス」に分けられるそうです。本書は、これらの失敗をどのようにすれば防げるのか、失敗できない仕組みをどうすれば作れるのか、工学の視点から様々なヒントが書かれています。
私が気になったのが「フォルト・ツリー・アナリシス」で、「起こってほしくない現象」がどうすれば起こるのかを書き出していく手法です。工学分野では、自分達の設計や製品製造法に問題がないかを分析するために使われる手法だそうです。
例えば、「得意先から一方的な取引中止を言い渡される」というシチュエーションを考えた際、様々な要因が考えられますよね。それらすべての考えられる要因を洗い出し、さらにその要因を作り出す可能性を考え、それぞれがどの位の確率で起こりそうかを考えます。そして、起こる確率の高そうな要因を潰していくという手法になります。
ビジネスにおいては、ネガティブに最悪の事態も想定できる人の方が成功すると聞いたことがあります。ただネガティブに考えればよいと言うのではなく、フォルト・ツリー・アナリシスを使って失敗を回避する方法を事前に考えるということが大事なんだろうなと思いました。
計画を立てる際には、限られたリソース(時間や労働力や協力者)を活用しなければならないので、自分や相手の実力を正確に把握する必要があります。さらに、どのくらいの力を配分して(100%は絶対ダメ!)、いつまでに終わらせるのかも決めます。大きな目標・計画の下には小さな目標・計画を設定して、随時進捗を確認しながらPDCAサイクルを回していきます。
良い計画を立てるためには、自分が仕事に「かかる時間」を正確に把握できるようになる必要があると思いました。いかに「目標を達成するための要件」を言語化できるかがカギになりそうです。
小さなステップが一つずつ項目化されているチェックリストを使うのも良いなと思いました。「目標を達成するための要件」を細かく分解して、1作業1チェックにすることで、どこまで仕事が済んだ状態なのかを確認できるし、次に何をしなければいけないのかも明確になると思いました。作るのは面倒そうですが。
ミスをしてしまった時どのように対処するのかはとても重要です。船場吉兆と赤福の事件が印象的でした。
船場吉兆は老舗の料亭で、産地偽装と製造日改竄が発覚し、「二度としないので信じて欲しい」と記者会見で訴えましたが、ついには廃業に追い込まれました。一方、赤福も製造日改竄が行われ事件となりましたが、製造日改竄を可能にしていた冷凍設備を壊し、中箱にも製造年月日を打つようにして二度と不正が起こせない仕組みにしたのだそうです。不正発覚から5か月後には復活し、売り上げも回復しています。
ミスや失敗が起きた時は、「今後気をつけます」ではなく、そのミスを「繰 り 返 せ な い」仕組みを考えなければいけないということが良く分かりますね。
本書を読んで、失敗やミスは必ず起きること、反省する(反省したようなフリをする)よりもミスを起こせない仕組みを考えることの方が大事だということが分かりました。私もフォルト・ツリー・アナリシスを使ってミスを事前に減らし、細かく目標を立てて失敗しない計画を立て、もし失敗しても同じ失敗ができない仕組みを作ろうと思いました。