歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

思いどおりにならないことへの耐性

今回は、「これでいい」と心から思える生き方(2013年)を読みました。

 

 

本書では「思考は現実化する」とか「引き寄せ」みたいなことは全否定していて、人生は思い通りにいかないものだから「思いどおりにならないことへの耐性」を獲得する必要があると解きます。

 

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私としては、上記も好きな考え方なのですが、本書を読んで確かにそうだなと思ったことをまとめたいと思います。

 

 

乳児期に獲得する万能感

 

人は乳児のとき、母親との一体感の中で生きています。泣いたらお世話してもらう中で自分と母親の明確な区別はなく、「自分が願ったことは何でもかなう」という万能感を持つのだそうです。これは、子どもが自分自身や世界に対する基本的信頼感を獲得していくうえで欠かせないものになります。

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愛とためらいの哲学(2018年)においても、何か特別なことをしなくても自分が生きている、存在しているということを他者から認められていると思えることは、自分に価値があると認めるための重要な出発点であると述べられており、幼児期に万能感を獲得するのは大事なことだということは明らかです。

 

 

三つ子の魂百までですね。

 

 

自分は万能ではないことを知る

 

しかし、人はどこかの時点で幼児的な万能感を手放し、現実が思いどおりにならないものであることを受け入れる必要があります。「万能であることをあきらめる」ことを指す「去勢」は、人が自我を確立していくうえで不可欠なプロセスであり、また、心理的に大人になるために必要な「通過儀礼(イニシエーション)」でもあります。挫折を経験せずにエリートコースを歩んできた人が一度の失敗で立ち直れなくなったという話も聞いたことがあります。かわいい子には旅をさせろですね。

 

また、去勢を経ることで、他者と助け合い、協力し合っていこうとするようになります。本書では「健康的な依存」について以下の4つの要素を挙げていますが、一方的に依存する関係ではなく、相互に依存し合う関係というのが大人になる上では望ましい人間関係であると言えます。

  1. 持ちつ持たれつの相互依存であること
  2. お互いが相手の境界に侵入しないだけの自立を保っていること
  3. 依存していることに自覚があること
  4. 自分で決めることができること(相手の価値観や心理状態に振り回されない)

 

 

 

青い鳥症候群とは、現実の自分の状況や環境を受入れられず、「自分が心から満足できる職場があるはず」「自分の能力を最大限に発揮できる仕事があるはず」と理想を求めて転職を繰り返す人の心理状態を言うそうです。近い概念には「永遠の少年」なんて言葉もあります。

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このような人の特徴として、過干渉あるいは過保護な親に育てられ、心理的に母親(もしくは母親的)な存在から自立していないということがあるそうです。幼児性や潔癖性が残っていて、現実から逃避しがちであり、「思いどおりにならないことへの耐性」が弱く、すぐにイライラしてしまったり、相手を是正しようとしたり、相手をコントロールしようとしたり、時には怒りを爆発させてしまうこともあります。これでは周囲の人は離れていってしまいますね。一方、「思いどおりにならないことへの耐性」が強い人は、思いどおりにならない状況の中でも相手のことを尊重しながら、対話の努力を建設的に続けていくことができるそうです。

現代人は、この耐性がかなり脆弱化しているとのことですが、努力にも限度があるし、私なら、その人との関係性によってはさっさと離れるかなと思いながら読みました。

 

 

父性の役割

 

何不自由ない便利で快適な環境で育つ現代の子どもたちにとって、「思いどおりにならないことへの耐性」を身につけさせるためには、親が基本的な生活習慣に関するルールを子どもに与え、それを守るようにすることが大事なのだそうです。つまり、子どもに去勢をもたらすのが父性(父性=父親、母性=母親ではない)であるということです。父性とは高圧的、強権的な態度で子どもに接するというのではなく、親として判断すべきことはちゃんと引き受けて判断し、「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を切り分けて、それを子どもにはっきり伝えるということです。

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厳しい環境の中で揉まれて、他人や自然は「思いどおりにならない」ことを学ばせることが子どもには必要なんだなと思いました。私は嘘つき男と泣き虫女(2004年)のキャメロンの話を読んでから、脱ぎ散らかした靴下は本人の枕元に置くことにしますと息子達に宣言したのですが、断固として実行しているので一定の成果が得られています(笑)。

 

 

恐らく、ガミガミ言うけど結局手を出して片付けてしまうという状況では、去勢をもたらす父性にはならないのだと思います。

 

 

まとめ

 

私は一人っ子で甘やかされて育ってきたので、「思いどおりにならない」を強烈に経験したのは、やっぱり子育てです。だから、スーパーやバスなどで泣き喚く子を見ると、お母さんがんばれ!と心の中で応援してしまいます。

過去記事「インドの佐々井親分」のように、いつ本人が生きるべき道を見つけるのかは分からないけれど、親として子育てを通して勉強させてもらいながらも、子どもに教えるべきことは教えていかないといけないなと思いました。

 

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