歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

人体は失敗作?

今回は、「人体 失敗の進化史」(2013年)を読んで面白かったのでご紹介します。

 

 

 

私は歯科衛生士なので、口腔の発生は学びますが、進化って詳しく学んだことがありませんでした。ダーウィンの進化論(猿から人間に進化する絵)くらいしか知りません。

進化論



人間の体は偶然の産物

本書では、5億年の時を遡りながら人体がどのように進化してそれぞれの器官が作られたのか分かります。二本足で歩くホモ・サピエンスになることを目指して魚が陸に上がったわけではなく、設計変更や勘違いやミスや失敗や偶然の重なりの上に今の人間が出来上がっているそうです。

 

人間の耳=ワニの顎

まず驚いたのが、耳にある耳小骨は爬虫類の顎の一部、蝶番の部分だそうです。ワニは顎で音(振動)を聞くけど、哺乳類は頭が上にあるので空気から音を集めざるを得なくなり5000万年くらいかけて進化したということでした。でも、それでは食物を噛めないので、同時に側頭骨と下顎骨の一部を変形して蝶番の役割を持たせたそうです。

わに



国家試験にも出る、ややこしい顎関節の解剖がサクサク頭に入ってくる(笑)

 

顎は鰓(えら)から進化した

さらに、顎は鰓から進化したと考えられており、耳小骨は最初は呼吸器官、顎をもつ魚の段階では咀嚼器官、哺乳類として発展する際に感覚器官と、5億年ほどの間に変化してきたみたいです。進化すごい!

 

左右非対称の失敗作

サメやもっと原始の生物は半分に切ると左右対称になるそうで、人間は左右非対照で美しくなく、無理矢理進化してきた末の行き詰まった失敗作だというのが著者の意見です。

 

妊娠・授乳で月経は少なかった

また、本書では哺乳瓶と授乳、月経の関係についても述べられています。本来、女性は妊娠・授乳で3年くらい月経は起きずそのサイクルが回るはずです。しかし、哺乳瓶の出現や社会進出、晩婚化など進化が想定する範囲を超えて高度な社会生活を営み始めたため、月経が毎月の当然の出来事となってしまっているのだそうです。

 

説得力がありますし、哺乳瓶の問題は歯科衛生士としても気になるところです。

 

まとめ

以前、狩猟最終民族の生活が健康に良いという本も読みましたが、進化を無視した人類の進歩にどう折り合いをつけていくのか、それとも自然淘汰されてしまうのか、気になりますね。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

まぁ、何回か生まれ変わらないとわからないことなので、5億年分の進化に感動しながら、今を一生懸命生きようと思います。