歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

GoogleのITエンジニア

今回は、世界一流エンジニアの思考法(2023年)を読みました。

 

 

過去記事「チームの心理的安全性」では、Googleの働き方について学びましたが、本書では、Microsoftではどのようなタスク・労務管理をしているのか、そして、日本や日本の会社組織が変わらなければいけないところを学んだので、まとめたいと思います。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

ITエンジニアの働き方

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ITエンジニアというのは、コンピューターを動かすためのシステムを設計する仕事です。著者さんは、日本でITエンジニアになった後、起業(コンサルタント)を経て、米国Microsoft社に入社しITエンジニアをしているという変わった経歴の方です。日本とアメリカの両方でITエンジニアとして働いた経験から、米国での働き方や日本でIT分野が発展しない理由についてnoteやブログに書いていたところ、文藝春秋の方の目にとまり、この本が生まれたということでした。

 

 

Microsoftの企業文化

 

Microsoftでは、インターナショナルなITエンジニアと一緒に働く訳ですが、「より短い時間で、価値を最大化できる」ことを常に考えて動きます。

  1. 一番重要なものを1つだけピックアップし、残りはスルーする。
  2. 決めた時間でできる範囲の中で、最大限バリューが出ることにフォーカスする。
  3. 常に「会議の場」だけで完結する。準備はしない。
  4. 定例ミーティングで、2週間のタスクをマネージャーと見直し、重要でないものをどんどん減らす
  5. Fail Fastーまずやってみて、早くフィードバックを得て、早く間違いを修正していく。
  6. 納期に間に合わないものはそのリリースに入れずに次に回すか、もしくはやめる

また、Googleでもそうだったように2枚のピザを分けられるくらいの人数でチームを組み、それぞれの裁量権が大きく、意思決定のスピードがかなり速いというのも特徴です。マネージャも日本のようにマイクロマネジメントは行わず、いかにメンバーたちが幸せに働けるかに高い関心を寄せ、エンパワーしようとします

 

 

日本の批判文化

 

上記を読んだだけで、日本のやり方とは違う、違いすぎるよ!と言いたくなりますが、著者さんは日本の批判文化に対して、これこそ日本でITが衰退してしまう原因なのだと説明します。

コロナ禍で、日本で接触確認アプリCOCOAがリがリリースされ、大バッシングを受けていたのは私も記憶にありますが、著者さんは、一部の瑕疵を棚に上げてアプリを全否定し、開発者たちの人格否定までするツイートが大量に拡散されたのを見て涙したそうです。全く知りませんでしたが、もともとは、日本マイクロソフトの廣瀬一海さんが会社の仕事とは一切関係なく個人で始めたものだったそうです。さらに、理念に共感した各国から集まった仲間のコミュニティで、オープンソースのプロジェクトとして進められていたのを、日本政府が買い取ったようです。

このようなバッシングは、アメリカではまず発生しないし、日本のSNSをみて、開発者たちはみな心が折れてしまったと言います。

世界から見たときに、こんな文化圏の国民を進んで助けにいこうと思う技術者たちがいるだろうか?

優秀な人ほど、日本から出ていってしまうのは止められないのかも知れません。

 

 

 

アジャイルagileとはソフトウェアの開発手法のことで、ソフトウェアを機能ごとに小さく分割し、優先順位の高いものから「要件定義・設計・実装・テスト→リリース」を行き来しながら、一つのサイクルを短いスパンで頻繁に行う手法です。そして、アジャイル開発の手法の一つにスクラムというものがあり、5~10名(ラグビースクラムにちなんだ人数)のメンバー全員がオーナーシップを持って開発を進めます。Microsoftでの著者さんの働き方がまさにスクラムであり、今やアメリカのソフト開発分野では「常識」なのだそうです。

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この「スクラム」という働き方は、まさに私の考える歯科医院の働き方と同じだと思いました。院長が全て指示を出し、指示されたことを行うのではなく、勤務医も、歯科衛生士も、歯科助手も、受付も、みんなが裁量権を持って「患者さんが喜ぶこと」をそれぞれ考えて行う。マネージャ(院長でなくても良い)は、業務内容とチームの方向性を常に確認し、いかにメンバーたちが幸せに働けるかを念頭に、定期的に1on1でミーティングをして、エンパワー(よい日本語が見つからない(T_T))する。こんな歯科医院が増えたら、キラキラした歯科衛生士が増えて、歯科衛生士になりたいと思う学生さんも増えるんだけどな…と思います。

 

 

まとめ

 

本書を読むと、ことソフト開発においては日本の悪い部分が全面的に悪影響を及ぼしているんだなということがよく分かりました。日本はお客様至上主義に固執し、働く人が身を削ってでも納期を守り、仕様を完璧に入れようとします。また、顧客も失敗を許容せず、SNSでバッシングし、炎上すればワイドショーが取り上げ、さらに煽る。何だか、現在行われている2025大阪・関西万博もそうだよなと思ってしまいました(「みゃくみゃく」はさすがの私も気持ち悪くて好きではありませんが…)。世界の方々はこれを見てどう思っているのでしょうね…。

仕事をする上で、メンバーがお互いに幸せであることって大事だと思うし、不要な仕事はそぎ落とし、最も価値のある仕事に注力したほうが生産性が高いというのも間違いないと思います。一方で、日本のおもてなしというのは、そういった部分から来ているものでもあるので、日本流のみんなが笑顔になる働き方を模索していけたら良いなと思いました。

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