今回は、「世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル」(2023年)を読みました。
本書は、途上国・後発国の貧困と日本の貧困の違いについて書かれており、日本の貧困というものがよく分かる内容でした。そうなんだと勉強になったことをまとめたいと思います。
日本にスラムはありませんが、多くの都市にあるのがスラムです。スラムでは同じような境遇の人々同士で助け合いながら暮らしています。高齢の祖父母や子どもを預けたり、食べ物やお金でも協力し合って生きています。社会的な補償もなく、いつ政府の方針で自分達の家が撤去されるか分からないからこそ、人と人とのつながりが強く、お互いに助け合って生きているのだということでした。

一方、日本では貧困は個人の責任と考えられており、セイフティーネットが充実しているため、スラムのような人と人とのつながりはありません。行政に頼れば生活保護を受けることも可能であるのに、家族に自分の状況を知られるのが嫌でホームレス生活やネットカフェでの生活を続ける人もいます。スラムのように貧困者が同じ地域に集まっているということもない日本は、貧富がまじりあった「混在型都市」であり、相対的貧困に直面し、偏見や劣等感から自暴自棄になってしまうこともあるということでした。
スラムでは、温暖な気候で冷蔵庫なども持たないことから、臭みを消して長持ちするようカラカラになるまで揚げた貧困フードがよく食べられます。食事の内容は階層によって全く異なり、例えばお金を持っている人たちは魚の身の部分を食べるのに対し、貧困層の人たちは尻尾や頭を油で揚げて食べます。1日2食、食べられるかどうかといった生活で、栄養が足りず、衛生状態も悪いため、特に子どもは感染症で命を落とすことが多い状況です。

一方、日本では階層によって食べる料理が違うということはあまりなく、富裕層の人でもたこ焼きや焼きそばを食べますね。NPOなどが行う炊き出しも実績を競い合っていて、豪勢なのだそうです。そのため、栄養を摂れずに命を落とすことは基本的にありません。しかし、栄養バランスが偏っており、肥満やそれに伴う病気のリスクが高くなります。
スラムに住む人々が行っている仕事は危険なものも多く、収入も微々たるものです。そのため、子どもにも働いてもらわなければならず、学校にも通えない子が多いです。しかし、稼げば稼いだ分だけその人の収入となります。ひと工夫凝らして大金を手に入れ、貧困から脱したという話もよくスラムでは聞くことができるそうです。

一方、日本の低所得層の人々は非正規雇用が多く、衣食住は確保できるものの、給与額が決まっていて頑張っても上がりません。困窮した状況を打破できず、見通しがつかない生活がずっと続きます。希望が持てるという要素が社会の中にほとんどないため、心を病んでしまう人も多いということでした。
日本は島国であり、貧しいから比較的裕福な国外に出稼ぎに行くということも難しく、貧困スパイラルに入ってしまうと抜けられない国なのだということがよく分かりました。また、世界的に見ると決して貧困ではないのにもかかわらず、相対的に貧困を感じてしまい、偏見や劣等感から自暴自棄になってしまうこと、子どものいる母子家庭では、働くよりも生活保護を受けた方が生活レベルが高いという矛盾が起きてしまうこと、炊き出しが実績を競い合って豪華になっていること、刑務所に入れば快適でかつ三食たべられることなど、日本社会の歪みを知ることもできました。どちらが良いという話でもなく、一朝一夕に変えられることではありませんが、世界と比較して日本の現状を知るということは、大事だよなと本書を読んで思いました。
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