今回は、1)「ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える」(2021年)、2)「たった4年で100店舗の美容室を作った僕の考え方」(2023年)を読んで、未来に生き残っている仕事や未来の働き方について考えたので、整理したいと思います。
1)の著者さんはビル・ゲイツの元で働いた経験もあるプログラマーであり、エンジニア目線から日本の終身雇用や解雇規制、日本企業の働き方や天下りについてぶった切ります。Zoomを使ったビデオ会議ですら「時間を奪う」無駄ばかりであり、SlackやTeamsで十分だと述べます。
私の職場でもコロナ禍を経験して、働き方は大きく変わりました。Teamsを使うようになってから、情報共有が一段とスムーズになっています。私もTeamsで十分だと思っていて基本的に著者さんと同じ意見なのですが、如何せん、職場の比較的ご高齢の方々はTeamsになじめません。Teamsの投稿をまず見ませんし、もちろん反応もありません(涙)。メールの方がまだ見てくれますが、直接資料を手渡ししないと「聞いてない」と怒り始める始末です。…Teamsをチェックすればいつでもどこでも見れるのになぁ。
終身雇用と解雇規制はどこかで解消しなければ、このような問題はなくならないのかなと思いました。一方、そのせいで困る方も多いと思います。それは後述するベーシックインカムとセットになるのかなと思います。
事務職やサービス職はAIやロボットに仕事を奪われると言われる仕事の代表とも言えますが、1)の著者さんは
世の中の2割の人が働いて価値を生み出し、残りの人たちは働かなくてもよい、という時代が来る
と述べています。また、一方で、ロボット化のできない介護などの仕事はしっかりと給与の払われる社会システムになっていく必要もあるとも述べています。
私は歯科衛生士なので、歯科衛生士の仕事が無くなることはないと思っていますが(「歯科の未来を想像してみる」参照)、働きアリの話(よく働くアリが2割、普通に働くアリが6割、働かないアリが2割に分かれる)と同じように、人にも単純労働が向いている人(普通に働く6割)、経営者が向いている人や専門的イノベーションを起こせる人(よく働く2割)がいると思うのです。
そこで面白かったのが、2)の美容室の経営について書かれた本です。
美容師さんというのは、国家資格を持つ専門職ですが、当然、全員が経営者に向いているという訳ではありません。美容院は歯科医院と同じくコンビニよりも多いと言われ競争が激しい業界です。そのため、上昇志向が強く経営に向いている著者さんがマニュアル作成や顧客集めを行い、経営で失敗した美容師さんや子育て中などでバリバリ働けない(働きたくない)女性美容師さんを採用して順調に店舗を拡大しているという話でした。直営店には店長すら置いていないのだそうです。
歯科衛生士の場合は、歯科医師が経営者になりますので同じように考えることはできませんが、常にスキルアップしたいタイプの人と、勉強会などは嫌でマニュアル仕事だけでいいというタイプの人はいます。後者を集めて、スキルアップや集客は一切求めず、マニュアル通りに働いてもらうというのも一つのやり方なんだなと思いました。
専門職においても、働かないアリや普通に働くアリを上手く活用する2割の働くアリが富を生み出していく。近い将来、このような構造がもっと増えてくるのではないかと想像しました。
コロナ禍中、竹中平蔵氏が言及し話題になったベーシックインカムですが、Wikipediaには以下のように概説されています。
国民の生存権を公平に支援するため、国民一人一人に無条件かつ定額で現金を給付するという政策構想。包括的な現物給付の場合は配給制度であり、国民全員に無償かつ定期的に現金を給付するため社会主義的・共産主義と批判されることがあるが、ベーシックインカムは自由主義・資本主義経済で行うことを前提にしている場合が多い。
財源が問題(年金が消える)ではありますが、資本主義経済の中では2割の働きアリが莫大な富を生み、ますます貧富の差は広がるばかりです。これも一つの考え方なのかなと思います。終身雇用と解雇規制の撤廃とセットで行う必要があると思いました。
先日、ガストに行ったのですが、ネコのロボットが食事を運んでくれました。24時間、365日働いてくれ、人を雇う人件費よりも安く済むのだそうです。今後はレジ打ちや事務、ウェイターはバイトもままならないなと肌で実感しました。
今後は高い学歴ではなく、専門職を目指す学生が増え、専門職の中でも雇う側と雇われる側に二分化していくのかなと考えました。