歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

日本の戸籍制度と終身雇用

今回は、「働き方2.0vs4.0 不条理な社会人生から自由になれる」(2019年)を読んで、日本の働き方と海外の働き方の違いについて学んだのでご紹介したいと思います。

 

 

本書の著者さんは、過去記事言ってはいけないの著者さんで、データや文献を引用しながらロジカルに文章を書かれるので、わかりやすくて好きです。

 

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戸籍制度は日本だけ

これは、本書を読んで初めて知りました。日本では個人ではなく「イエ」単位で考えますが、世界的には消滅してしまったやり方のようです。確かに、パートタイムの年収130万円問題や社会保障制度は「イエ」単位で考えられている制度ですね。離婚が増えるなど家族の形が変わったり、寿命が延びて定年後の期間が延びたり、女性が働ける(働かなければならない?)環境になったりと、時代とともに変化しているにもかかわらず、変わらない戸籍制度の弊害に気づかされました。過去記事最高裁判所のお仕事」で出てきた夫婦別姓問題もそうですね。

 

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イエと定年

定年制度も「イエ」という枠組みで作られてた日本型雇用の形ですが、こちらも弊害が出てきていることが分かりました。同一労働・同一賃金と言われていますが、「働かないおじさん」のような人は、日本型雇用(終身雇用、定年制度)により生まれてしまいます。近年、日本では定年を伸ばしたりしていますが、そもそも定年制度は海外では年齢差別に当たると考えられるのだそうです。年齢に関わらずその仕事に合ったスキルを持っている人に仕事をしてもらうというのが今後の働き方なのかなと思いました。

 

終身雇用のタコツボ化

では、「イエ」制度も日本型雇用も変えたら良いじゃないかと言うと、最も反対するのは定年が近いオジサマ連中や正規雇用の人達なのだそうです。日本では正規雇用、非正規雇用が問題となっていますが、海外では日本のような正規雇用、非正規雇用といった待遇や身分の違いはないのだそうです。新卒一括採用も日本独特のやり方で、高度経済成長期にはそれでよかったものの、経済が停滞する今では、若い人を安い金で働かせるブラックな側面を持つようになってしまっています。一方、一定以上会社に奉仕し、勤め上げると自分の労働以上の収入が得られるようになる仕組みなので、その身分をはく奪されるのにはそりゃぁ抵抗しますよね。

 

スペシャリストとバックオフィス

特に本書を読んでいて不安になったのは、過去記事「頑張れない非行少年」のような他人から求められるスキルがなかなか得られない人や、バリバリの競争社会で働きたくない人はどうしたらいいのだろうかということです。

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それについては、バックオフィスという仕事が紹介されていました。本書によると、「会社組織」自体は無くならないそうです。クリエイティブな仕事の裏には、必ず書類の作成や関係機関との調整といった決まった仕事を決まった手順で行う仕事があります。管理職の下でマニュアルに沿った仕事に従事するバックオフィスが向いている人や責任のない働き方を望む人はそのような仕事を選ぶだろうということでした。

 

まとめ

本書を読んで、働き方改革などと言っていますが、そもそも戸籍制度、「イエ」の考え方から変えていかなければいけないということが分かりました。一方、世界のリベラルな人たちが「差別だ」と訴える内容の中には疑問を感じるところもあり、平等な働き方を規定するのは難しい問題だなと思いました。

とにかく今の日本の制度では世界についていけないし、経済成長は難しいなということは分かったので、息子たちにも日本の働き方がスタンダードではない、将来通用しなくなるということを教えておきたいと思います。