歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

頑張れない非行少年

以前、「ケーキの切れない非行少年たち」(2019年)を読んで、そんな世界もあるのか〜と思ったものですが、今回は「どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2」(2021年)を読んで心が苦しくなってしまったので、ご紹介したいと思います。

 

 

 

ちょっと前までunlimitedでは読めなかったのに、読めるということはシリーズ新刊が出たということですね。レンタルDVDは旧作になるのを待ってから観るタイプです(笑)

 

ケーキの切れない非行少年

前書の「ケーキの切れない非行少年たち」では、少年院には認知力が弱く、「境界知能」と呼ばれる人たちが実は多くいること、反省では更生できない事情が紹介されています。

 

頑張れない人ほど、支援が必要

本書では、「頑張る人に支援します」という支援は「頑張れない人には支援しない」と言うのと同じであると指摘し、頑張れない人ほど支援が必要であることが説明されています。頑張れない人は、支援を求めないし、時には嘘をつき、暴言、暴力を振るうけれども支援が必要な人たちなのだそうです。

うーん、、、支援が必要なのは理解できますが、暴力を受けてまで支援したいとはとても思えないです。

 

頑張らなくていいも間違い?

頑張れないのなら「頑張らなくてもいい」、「勉強しなくてもいい」というのも間違いで、本人はみんなと同じになりたいと思っていて、適切な支援があれば頑張れるし、頑張らなかった結果辛い思いをするのは本人なので、するかしないかは本人が選ぶべきだ、機会の芽をつんではいけないというのです。

親が、支援者や周りの人が、良かれと思って言ってしまう言葉ですよね。一人ひとり違うでしょうし、難しいなと思いました。

 

親の支援も必要

往々にして「親の愛情不足」が原因と言われ、周囲に頭を下げ続けた親も自信を失っているので、保護者を支えることも大事だそうです。

前書でも、親にも認知的問題があることがあるという話だったので、親の支援でも専門的知識が必要だし、支援を求めない親や拒否する親もいるのだろうなと思いました。

それでも支援しようというモチベーションはどこから出せば良いのでしょうか。

 

支援者側の問題

本書では、支援者間のトラブルについても書かれていました。事例検討会が公開処刑の場になってしまうという話は、歯科衛生士も参加する地域ケア会議で、事例を出す地域包括支援センターのケアマネさんが大変だという話と同じだなと思いました。

心理的安全性」が大事ということは、過去記事でも学びましたが、支援者に関わらず、人としてのマナーや相手を重んじる心は大事ですよね。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

まとめ

世の中は多様性で成り立っていて、自然界の法則から考えても、何かを排除すれば良くなるという話ではありません。本書を読んでみて、頑張れない人にこそ支援が必要というのは分かりました。一方で、家族だったり仕事で関わらざるを得ない状況でない限り、わざわざ首を突っ込んでの支援なんて、とてもできないとも思いました。どのような声掛けが正解なのか、逆にやる気を失ってしまうのかなどかなり難しいと思いましたし、関わるのは恐ろしいと思うし、心が苦しいというのが正直な感想です。とても難しい問題ですね。