歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

老子哲学

今回は、老子哲学に関する本「人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉」(2019年)を読んで、もっと老子について知りたいと思い、「新訳 老子(1998年)も読みました。「大器晩成」「柔よく剛を制す」といった言葉も、老子から来ていた言葉だということを知りました。

 

 

 

老子

老子」の著者が「老子なのですが、老子という人物は、漢の時代から謎の人物だったようです。老子は一人ではなかったかもしれないという説もあるようで、その人が生きた時代も曖昧のようです。「老」のイメージから仙人のようなおじいちゃんをイメージしてしまいますが、それも分からないですね。

老子

老子の時代

とはいえ、老子が生み出されたのは動乱の時代であり、弱者の立場に居直ることで乱世を生き抜くための知恵が詰まった本になります。

中国では昔から、孔子孟子を始祖とする儒家老子を始祖とする道家という2つの思想が対立していたそうです。儒家はエリート思想、道家は庶民思想だというところからも、老子哲学がしたたかな処世哲学だと言われるのもなんとなく分かりますね。

個人的にあまり好きではない部分もありましたが、以下に老子哲学から参考にしたいと思ったことをいくつか紹介します。

 

役に立たないものが最も重要

有の以て利を成すは、無を以て用を成せばなり。

ついつい「有」の価値に目が行くけれど、「無」には「無」の価値があるという話です。車輪の中央に穴があるから、車輪として使える、茶碗の中が空っぽだから、物を入れることができる、部屋は仲が空っぽだから、部屋として使えるというような例えがとてもしっくりきました。

無用だと思われていたことが実は有用だったという話は沢山ありますよね。

 

水のように生きる

老子の中には、「水のように」や「女性のように」といった言葉が良く用いられるようですが、「水のように」がとても好きだなと思いました。水は低い方へ流れていくことから、「謙虚」なあり方に学べと述べられています。また、水は最も軟弱であるのに、岩を砕くなど、強いものに打ち勝つとも述べられています。「柔よく剛を制す」ですね。

水は自然界にはなくてはならないものです。ある意味「最強」の存在であるにも関わらず、謙虚で柔軟に形を変えることもできる「水」ってかっこいいと思いましたし、水のような人になりたいと思いました。

 

道を体得した人

一、飾りけがなく質朴であること

一、無知に徹し知識をひけらかさないこと

一、多弁、能弁に堕さないこと

一、利益を独り占めにしないこと

一、一歩退いて人と争わないこと

こんな上司がいたら良いですよね。

「権力に翻弄されないための48の法則 上」(2016年)の中に「口は災いの元」を思い知らされる話があり、ついつい口に出てしまう悪い癖を直したいと思っていたところでした。

 

 

 

 

まとめ

過去記事で「普遍的に優れたリーダーシップの特性やスタイルは存在しないという」話を書きましたが、老子も乱世に必要なリーダーの一つのタイプだったのだと思います。

ddh-book.hatenablog.com

今の日本のリーダーに必要な哲学は、道家の「老子」ではなく、仁・義・礼・智を解いた儒家の方ではないかと思ってしまいます。