歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

インドの佐々井親分

今回は、「世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う」(2019年)を読んで、こんなすごい日本人がインドにいたのか!と、とても驚いたので、紹介したいと思います。

 

 

佐々井秀嶺(ささきしゆうれい)

インド仏教1億5千万人を率いる実質上トップであり、インドの首相も恐れるお坊さんです。なぜインドに日本人のお坊さんが?という疑問はぜひ本書を読んで下さい。彼の人生がぶっ飛び過ぎていて、とても、とても筆舌に尽くし難いのです…。

 

インド仏教

仏教の創始者ゴータマ・シッダールタはインドとネパールの国境付近の小国の王子であったので、インドは仏教の聖地で仏教徒も多いのかと思いきや、そう言えば、ヒンズー教の国でしたね。

インドにはカースト制度というものがありますが、奴隷カーストにすら入れないダリットと呼ばれる不可触民は、最底辺のアウトカーストであり、インド全体の約2割いて、ひどい差別を受けていたそうです。仏教に改宗した多くの人は、カーストのない仏教に望みをたくした不可触民の人々であり、佐々井さんが訪れた時には寺の一つもなかったそうです。

カースト制度は知っていましたが、アウトカーストの人達がさらに貧しい生活をしていたというのは、知りませんでした。龍樹が夢枕に立ち、導かれて佐々井さんは誰1人知り合いもいないナグプールに1人赴いたのですが、8日間の断食をして死にかけたりしながら徐々に民衆の信頼を得て、各地に寺を建て、皆を団結させ、僧を育て、差別と闘うよう指導したそうです。

 

ガンジーとアンベードカル

ガンジーは世界的にも有名ですが、本書によると仏教に改宗した不可触民にはあまり好かれていないようです。ガンジーヒンズー教徒であり、カースト制度を容認していた為だそうです。一方、アンベードカルは不可触民出身であり、インドの仏教を広め自立を促した人物と書かれていますが、Wikipediaによると、インド憲法の父として、宗教の自由や被差別カーストに対するアファーマティブアクションも規定に加えた、ガンジーと同時期にインドを変えた人物のようです。

本書を読む限り、アンベードカルという人物も佐々井さんもお釈迦さまに導かれてインドで不当な差別を受ける不可触民たちのために遣わされたのではないかと思いました。

 

仏教遺跡

佐々井さんは、龍樹に言われた「南天鉄塔」を探すうちに、仏教の遺跡を見つけます。しかし、よく思わないヒンズー教徒から常に狙われていて、その番人として近くに住わせたのはアングリマーラさんという、元スリの大物で30人もの敵を殺した殺人犯というのだから、驚きです。

佐々井さんは、とにかく男前で親分肌なんです。みんな、佐々井親分がすることならデモでも座り込みでも子分達ががどんどん集まるし、絶対に権力には屈せず突き進むので、首相にも恐れられるという訳です。

 

まとめ

「人は行動が全て」と言いますが、佐々井さんは行動が評価されてインドの人達の信頼を得ていることが分かりました。また、何度も死にかけて、命を狙われても無事なのは、この世での使命がまだあるからとしか思えません。

佐々井親分には長生きして、仏教でインドの人々を導いて欲しいです。