歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

大数の法則

今回は、「「大数の法則」がわかれば、世の中のすべてがわかる!」(2018年)と行動経済学~経済は「感情」で動いている」(2006年)を読み、「大数の法則」と「少数の法則」は生活の中でも意識して考えるようになりたいなと思ったので、まとめたいと思います。

 

 

 

大数の法則

大数の法則」を生み出したのは、ヤコブ・ベルヌーイという数学者です。

ある出来事が起きる確率を理論的に計算し、実際の経験と比較したとする。経験数が少ないうちは理論上の確率は当てにならないが、その出来事の経験数が増えれば増えるほど、経験上の確率は理論上の確率に近づいていく

というもので、病気や死、交通事故、災害などの起きるかどうか分からないことについて、確率論により計算される理論上の確率が有効かどうか判断する時に使われます。「大数の法則」が働くための条件には「独立性(お互いに無関係であること)」「同一性(お互いに同じような分布をしていること)」が必要です。

生命保険の例が分かりやすかったのですが、戦争などで「独立性」が担保できない場合には大数の法則が働かず、生命保険会社が倒産してしまいます。なので、免責事項に必ず書かれているそうです。また、特定の人が大きすぎる金額をかけると「同一性」が失われるので、掛け金の上限が定められています。そして、「大数」でない場合、つまり、数が少ない場合にも大数の法則が働かなくなりますので、保険会社同士で再保険という制度を使って「大数」を確保しているのだそうです。

 

 

小数の法則

一方、「小数の法則」とは、ダニエル・カーネマンが名付けた行動経済学の用語であり、サンプル数の少ない偏った情報を、過大評価して一般化してしまう認知バイアスのことを指します。

例えば、少人数のクラスで教員が成績の良い生徒と悪い生徒が一様に分布していると思いこむこと、これまで出会った男性が「ダメ男」だったために世の中の男性全てが「ダメ男」だと判断すること、20回のコイン投げの途中で5回連続〔表〕だったら、次は〔裏〕になる確率が高いと判断してしまう(ギャンブラーの誤謬)などがそれに当てはまります。

 

 

読書で活かす

ビジネス書に「成功者が書いた自己啓発本」は読むなと書かれていることがありますが、これは小数の法則のことだなと分かりました。どこかのカリスマ社長がうまくいった方法と同じことをしても、うまくいくか、うまくいかないかは当てにならないということです。

子育て本でも同じですね。子どもを東大に行かせたママの本よりも、子育て支援や塾などで何百人という子どもたちを見てきた方の言うことは理論的確率に近く、参考にできるかもしれません。一方で、自分自身が育てる子どもは少ないので、「小数の法則」が働きます。確率的には良い方法だと考えられても、上手くいくかもしれないし、いかないかもしれない。やっぱり、子育てって難しいということですね(涙)

 

 

歯科衛生士の保健指導で活かす

歯科衛生士が行う保健指導ではどうかな?と考えてみました。個別指導ではもちろん小数の法則の方を考えないといけませんので、何をしても上手くいくかもしれないし、いかないかもしれません。しかし、多くの歯科衛生士で情報を共有すれば、理論上うまくいく確率の高いものを見つけられるかも知れませんね。そのような成功事例をとにかく沢山集めて、AIを使って最も効果的な保健指導を選択するという未来も可能なのではないかと考えました。タブレットに好きなキャラ(イケメン、美少女、モフモフ系など)を選んで属性を入力すると、そのキャラがその人に最適な保健指導をしてくれるというのが私の想像する未来の歯科保健指導です。未来の歯科衛生士はチェックと必要時に直接介入するといった裏方に回るのではないかと思っています。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

まとめ

情報が氾濫するハイパー情報社会の中で、「大数の法則」と「小数の法則」は情報を取捨選択する際の強い味方になってくれると思いました。「絶対に○○」や「○○すべき」といった情報には一呼吸置いて、それが「大数の法則」に当てはまるのか?「少数の法則」のバイアスではないか?常に考えていこうと思います。