歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

税金のグレーゾーン

今回は、貧乏はお金持ち「雇われない生き方」で格差社会を逆転する(2011年)を読んで、税ってグレーゾーンが多いんだな、歯科の世界と一緒だなと思ったのでご紹介します。

 

 

マイクロ法人

 

マイクロ法人とは株主兼取締役社長一人で運営される、1人会社のことです。本書ではサザエさんのタイムラインから10年後の世界で、マスオさんが「サラリーマン法人フグタ」を作ったら?という設定で、どのように家計が変わるのか説明していきます。面白いですね。

 

マイクロ法人化のメリットは、以下の3つだそうです。

①隠れていた人件費を顕在化することで収入が増える。

②厚生年金・組合健保(協会けんぽ)から脱退し、国民年金国民健康保険に移ることができる。

③法人を利用した節税やファイナンスで家計を効率化できる。

極端な話、株式を持ち合うことでいくらでも資本金を膨らませられるため、ネットカフェ難民を資本金ゼロでマイクロ法人化することも可能だということでした。

 

 

法人は人であり人でない

 

詳しいことは本書を読んでいただければと思いますが、「法人」というものが人であり人でない、まるで半人半獣のスフィンクスのような存在であると説明します。

法人には個人の尊厳(プライバシー権知的財産権著作権、可能な限りの基本的人権が認められている代わりに、納税の義務社会的責任を負っています。

となると、二つの人格を上手く使って、合法的に税務上の所得を最少にしつつ会計上の利益を最大化することが可能になります。著者さんは「金回りがいいひと」の大半が、自営業者か中小企業経営者であると述べます。

 

 

税金のグレーゾーン

 

合法的に納税額を抑えるのは「節税」、税金を逃れるために意図的に法律を逸脱するのは「脱税」と呼ばれますが、両者の境界線上は広大なグレーゾーンが存在します。本書で紹介されている「毎日かあさん」の作者さんが書く脱税できるかなの内容は衝撃的でとても面白かったです。

 

 

申告納税制度では、個人・法人にかかわらず納税者自らが収入(益金)と経費(損金)を記帳し、課税所得を計算します。ちゃんと説明でき、税務署が否定できなければ(社会常識の範囲内であれば)申告どおり認めざるをえないということでした。例えば、マスオさんが結婚記念日に、サザエさんを連れて海外旅行に出かけ、「事業視察の後に取引先のホームパーティに呼ばれていて、夫婦同伴でなければならなかった」と説明できるなら、二人分の旅費は全額経費として認められるということです。

 

 

歯科のグレーゾーン

 

歯科治療にも同じくグレーゾーンが存在します。例えば、歯科衛生士は歯科医師の指導の下、歯科診療の補助を行うことができると歯科衛生士法に記載されていますが、そもそも「診療の補助」の範囲が学会によって違うんです

「絶対的歯科医行為」は、何があっても医師、歯科医師以外がやってはいけないことですが、「相対的歯科医療行為」は、歯科医師の監視下であれば歯科衛生士が行っても良いとされています。例えば、抜歯を歯科衛生士が行うことはできませんが、注射はグレーゾーンです。技術と経験があれば(認定衛生士制度を持つ学会もあり)良いとされています。レントゲン撮影(照射のボタンを押す)は歯科衛生士にはできませんが、準備(位置付け)はできます。先生はボタンだけ押しに来るのですが、なんか変ですよね。

また、患者の口の中に手を入れる業務(歯石取りなど)は歯科衛生士には認められていますが、国家資格のない歯科助手にはできません。できないはずなのです。

しかし、患者さんから指摘されない限り、レセプト上からは違反を見つけられないという訳です。監査を受けても説明できればOKというのは、税金と同じだなと思いました。

マネーリテラシー同様、患者さん側のリテラシーも大事ですね。

 

 

まとめ

 

本書を読むと、サラリーマンが馬鹿らしく思えてきます。インボイス制度が話題になっていますが、マイクロ法人はますます増えるのかな?と思いました。何にせよ、よく勉強しないといけないですね。松下幸之助のように「お金の哲学」を持って誠実にまっとうに生きたいなと思いました。