歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

元首相暗殺事件を追いかける

今回読んだのは、銃弾の真実 アベ元首相暗殺の謎と隠された歴史の闇(2023年)です。

本書の著者さんは、過去記事「アマテラスの暗号」と同じ方です。アマテラスの暗号と同じく、史実をもとにハラハラドキドキの謎解きが進む小説なのですが、どの視点から歴史を見るかで全く見え方が違うというのを気づかせてくれる歴史書のようでもありました。

ddh-book.hatenablog.com

 

本書で学んだ歴史の闇についてまとめたいと思います。

 

 

オレンジ計画

 

Wikipediaによると、

戦間期1920年代から1930年代において立案された、将来起こり得る日本との戦争へ対処するためのアメリカ海軍の戦争計画である。

と書かれており、この計画内容は戦後50年たって、平成6(1994)年に公開されています。1906年版オレンジ計画には「日本に徹底的なダメージを与えて屈服させる」という一文があるそうで、第二次世界大戦も日本への原爆投下も全てアメリカの計画通りだったということでした。

日露戦争の前から、アメリカは日本を完膚なきまでに屈服させようと考えていたということが分かります。東京大空襲では多くの一般市民が犠牲になりましたが、戦争において一般市民を狙った攻撃は犯罪行為であり、冷静に考えると異常な行動に見えます。屈服させたいという思惑があったと言われると納得してしまいます。

 

 

 

大日本帝国(帝国)は1941年に37年から続いていた中国との戦争を含めて大東亜戦争と名付けました。しかし、敗戦後、連合国軍総司令部GHQ)により「大東亜戦争」の呼称が軍国主義と緊密に関連するなどの理由で使用を禁じられます。

本書の中では「大東亜戦争」というファイルを開くと、当時のアジア諸国のリーダー達の顔と、彼らが語った戦争についての言葉がスライド形式で表示されます。そこには、歓喜と共に日本軍を迎えたという言葉が連ねられていました。

当時、アジア諸国はほとんどが欧米の植民地と化しており、アジア諸国の中で唯一欧米に対抗できた国が日本です。アジア諸国の視点から見ると、第二次世界大戦大東亜戦争の意味というのは違って見えるということが分かります。

 

 

原爆投下と終戦

 

広島と長崎に原爆が落とされましたが、実はトルーマン大統領の大統領記録に「原爆が使用されていなかったとしても、8月に終戦予定だった」と記されており、アメリカ側の5ツ星将軍の7人中6人は原爆の使用には反対の意思を表していました。事実、7/17のポツダム会議でソ連スターリンが8/15に日本に侵攻するとトールマンに伝えており、ソ連が侵攻すれば日本は降伏すると分かっている状況でした。

つまり、日本に原爆を投下を指示したのは、ただ「日本に徹底的なダメージを与えて屈服」させたかった、ついでに、せっかく完成させた原爆の人体への影響についてデータが欲しかったということになります。広島大学には原爆で死亡した人の内臓のホルマリン漬け(アメリカに送り、戻ってきたもの)がたくさんあるという話でした。

 

 

 

本書では、戦後に行われた東京裁判の異常性についても語られます。

「日本が提出した証拠のほぼすべての自動的無視、原告側の偽証罪は一切問われないというとんでもない設定など、とても公正な裁判と呼べるものではありませんでした。そもそも戦勝国が独立もしていなかった敗戦国を一方的に裁くという、前代未聞の〝私的リンチ裁判〟でした。
 東京裁判での十一人の裁判官はすべて戦争当事国からで、このうち、唯一の国際法の専門家、パル判事は、被告全員の無罪を主張しています。また、レーリンク判事は、箝口令が敷かれていたためにいえなかったが、国際法を執行するために彼らは東京に行ったにもかかわらず、国際法を徹底的に破ったのは連合国側だったと告白しています。また、勝者が敗者を裁く初めての試みは、所詮、無理な話だったとも──実際、東京裁判は、後日、世界中の国際法の専門家たちから厳しい批判を受けることとなりました」

しかし、日本人はこの東京裁判に対する世界中の専門家たちからの批判を知ることはなく、学ぶ機会もありません。心理学、メディア戦略、学術界への影響などなど巧妙な操作により認識や自己評価、誇り、他国との関係に至るまで、日本人の認識は歪められたのだということでした。

 

 

失われた30年

 

バブル崩壊後に続いた不況を失われた30年、もう今では40年とも言われていますが、実際、アメリカの株価がこの30年で9倍になったのに対し、日本の株価はずっと低迷しています。

本書では、日本経済がダメになったのは、失敗を認めたくない日銀や官僚と、彼らと利害関係のあるメディア、そして日本の力をそぎ落としたいアメリカの政治力によるものだと説明されています。そして、それを打破しようとしていたのが元首相ということです。

日本人全体がなんらかの洗脳やマインドコントロール下に置かれているのではないか?それを解明しようとして元首相は暗殺されたのではないか?と本書の主人公は徐々に気づいていくことになります。

 

 

まとめ

 

本書は、過去記事「世界を統べる存在がイルってよ」とは日本とアメリカとの見え方が違うなと思いました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

私も過去に「大東亜戦争」が東アジアの解放を目指して戦っていたというのを読んだことがあったので、歴史で学ぶ日本人像と違って、こちらの方が日本人らしいなと思ったのを覚えています。事実、過去記事「東南アジアから見た日本」親日国と書かれていたインドネシアでは、日本軍は正規軍及び准軍事組織を創設して訓練をしていますし、マレーシアでも植民地とはしないで、それぞれの民族の国語を普及させ、教育を行っています。

 

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歴史というのは、様々な人の目から見るようにすると、また違った一面があるし、一面的にみてものを語るのは危険かも知れないなということが分かりました。