歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

エピクテトス

過去記事「アーノルド・ベネット」エピクテトスを読んでみては?とあったので、早速読んできました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

エピクテトス名言集」を読んで、勉強になったこと、考えたことをまとめたいと思います。

 

 

 

エピクテトスは、母親が奴隷であったため、生まれた時から奴隷として運命づけられていました。自身も奴隷として売られるも、ストア哲学を学び、奴隷から解放された後は哲学の教師となり、哲学の学校を開いたそうです。

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Wikipediaによると、

エピクテトスギリシア語: Επίκτητος, Epiktētos、50年ごろ - 135年ごろ)は、古代ギリシアストア派の哲学者。その『語録』と『提要』は、すべてのストア哲学のテキストの中でおそらくもっとも広く読まれ、影響力の大きなものであるといわれる。苦難の中にあって平静を保つことや、人類の平等を説いたその教えは、皇帝マルクス・アウレリウスの思想にも引き継がれており、ストア主義の歴史上重要な意味を持つとみなされている。

と書かれていますが、彼自身の著書はなく、弟子が書き留めたものが2千年の時を経て、今に残っているようです。

 

 

意志とは

 

エピクテトスは、一般的な原則として

なんぴとも他人の意志を支配することはできない。そして、善悪は意志の中だけにある

と言っています。その〈意志〉とは何でしょう?

「 誰それの息子が死にました」意志と関わりのないものであるから悪ではない

エピクテトスは、息子が死んだのは単なる事実であり、「不幸だ」というのは、各人が自分から付け加えたことだと述べています。

「 そのことで苦しんでいますよ」意志と関わりのあることだから悪だ。

「 その人は見事に耐えました」意志と関わりのあることだから善だ。

つまり、他人の周りに起きた事実に対して他人が善悪を判定しているだけであり、私(あなた)が他人の意志をどうこうすることはできないということを言っていると理解しました。

 

「他人の意志は支配できない」というのは、「自分の意志は自分でコントロールせよ」となります。

足が不自由なのは足の妨げとなるが、意志の妨げとはならない。

例え足が不自由だとしても、自分の意志でその善悪は判断できる、つまり、足が悪いからと言って悪だと自分で決めつけることはないということです。

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死は意志とは関わりのないものだ。捨ててしまえ。

さらに、誰にも死が訪れるという事実は変えることができません。そのような、自分でどうしようもできない事実は、いっそ脳内から消去しちゃえと言うのです。

身体も、手や足などの身体の一部分も、権力、財産、名声、官職、 栄誉、子供、兄弟、友人など、これらは全て自分のものではなく、わたし(あなた)の意志は病気にも死にも権力にもお金にも家族にも、もちろん他人にも支配されません。自由なのです。

 

お釈迦様は、生病老死の四つが人間の根源的な苦しみであると説きましたが、エピクテトスはそれらに自分の意志(人生)を支配されるなと言っているのかなと思いました。

 

 

すべてのものから利益を得ることができる

 

また、「すべてのものから利益を得ることができる」はとても好きな考え方だと思いました。

自分を罵る人は、私の辛抱し、怒らず、穏やかであるという性格を鍛えてくれる。隣にいる悪い人は、私の寛大で公正な性格を鍛えてくれる。貧乏や病気、仕事がないことも、有益なものになるのではないだろうかと言うのです。

どうして私はさらに外的なものに善や悪を求めねばならないのか。

目の前に起きる事実に対し善悪をジャッジしようとしてはいけません。自分の身に起きた出来事は全て自分の利益になるものであり、全て「ありがたい」ということだと思いました。

 

 

幸福に至る道

 

エピクテトスは、幸福に至る道は一つしかないと言っています。それは、意志とは関わりのない事は放棄し、なにものも自分のものだとは考えず、流れに逆らわず生きることです。ただ一つのもの、自分のものであり、何事にも妨げられないものに自分を捧げましょうということなのですが、これは、自分の〈意志〉のことかなと思います。自由意志と書くと過去記事「受動意識仮説」が心に引っかかりますが、マルクスアウレリウスの「自省録」が自己対話の記録だったことを考えると、自分の内なる声に従いましょうということかなと思います。

 

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続けて、目的をこのことと定めて書物を読み、そのように書き、そのように聞くことだ。とも言っており、自己対話だけでなく、他者の意見をインプットしたり自分の意見をアウトプットすることが幸福につながる道だよと言っていると理解しました。

 

 

まとめ

 

生まれた時から奴隷という身分で、自分の力ではどうにもできない事実が目の前にあったエピクテトスだからこその哲学だし、言葉だなと本書を読んで思いました。私の大好きなマルクス・アウレリウスに影響を与えた人物でもあり、エピクテトス自身も言っているように、他の人の書いたエピクテトスについての本も読んでみて、またブログに書きたいなと思います。