歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

シグナルの影響

昔、韓国に友人と旅行に行った記憶がありますが、今の韓国って人口10万あたりの自殺者数が日本を超える学歴重視社会で、出生率も0.78(日本は1.26)ととても若者が生きにくい国なんだろうなというイメージです。

今回読んだ本は、「SIGNAL 10億分の1の自分の才能を見つけ出す方法」(2021年)で、教員エリート家系で長男として期待されて育ち、難読症のために受験に失敗し、一度は自殺を試みようとした韓国人の著者さんが書かれた本になります。

 

 

 

 

シグナルとは

本書にはシグナルの定義は書かれていませんでしたので、私の解釈で説明します。

シグナルとは、言語的・非言語的を問わず他者から自分に向けられたまたは自分自身が信じている価値観や固定観念のようなもので、プラスのシグナルは信頼、期待、プラスの評価など、マイナスのシグナルとしては差別、偏見、思い込みなどです。

本書では、プラスのシグナルに気付き、マイナスのシグナル(ノイズ)を除去することで才能が開花する例を多数紹介しています。

 

 

一点突破

ノイズの除去方法としてまず挙げられているのは、一点突破です。1つのことに集中し、とことん突き詰めることで才能を開花させることができるそうです。

特に面白かったのが、古生物学者のロバート・バッカ―とジャック・ホーナーの話です。バッカ―はシグナルを無視してティラノサウルスの骨だけに一点集中し、多くの血管があることに気付いて恒温動物ではないかと考えました。一方、ホーナーは先天的な難読症で7回も大学から退学勧告を受けたにも関わらず、様々な大きさの恐竜の化石をその恐竜が生息していた環境の中で発見することに一点集中し、「マイアサウラの群れの巣」を発見しました。そして、「一部の恐竜は雛の育児に積極的に参加していた」ということを明らかにしています。

両者はティラノサウルスの足は速かったのか、遅かったのかでも意見を対立させ、それに勝ったホーナーは映画「ジュラシック・パーク」シリーズで監修を務めたそうです。ホーナーはバッカ―そっくりな科学者がティラノサウルスに食べられるシーンを監督に頼んで入れてもらい、それを見たバッカ―は大喜びだったというのですから、本当に2人ともノイズに影響されない人物だということが分かります。

 

 

肯定的シグナルを生み出す

もう一つの才能を開花させる方法は、肯定的シグナルを自分で生み出すことです。心理学者のアブラハム・マズローは、私たち自身が自らを平凡だと思いこみ、偉大な夢を抱こうとしない姿を「ヨナコンプレックス」と呼びました。「人間は自身の弱みと同じくらい強みも恐れる」ため、夢を実現することを恐れ、ただ一日一日をどうにか生きていくだけで満足してしまうのだそうです。

そこで、「なぜ○○をするのか?」という問いを自分に問いかけ、個人的な目的以上の”WHY(理由)”を見つけるよう勧めます。そうすることで、退屈で苦痛な”HOW(過程)”にも耐えることができるということでした。

 

 

仲間の存在が大事だと思う…

本書では、ビリオンダラークラブの企業経営者の名前がズラリと書かれ、世界に名を馳せた企業のCEOの1/3が何らかの学習障害を持っていると主張していますが、私は仲間の存在が大事だと思うな~と思いながら読んでいました。

もちろん、ノイズに影響されずに一点突破できる能力がその人物を成功に導いていることは間違いないと思いますが、過去記事「IQが20違うと…」で学んだように、そのような人物を支える、社会や人とつなげるコミュニケーション能力の高い人が側にいたからこそ成功できたのではないかと思うのです。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

まとめ

本書は韓国で20万部のベストセラーだということですが、韓国の若者たちの生きづらさを表している本のような気がしてしまいました。生きていると様々なノイズにいつの間にか自分の価値観を操作されてしまいますが、「○○でなければならない」を一つ一つ検証して、本当の自分は何をしたいのか問いながら生きていきたいなと思います。