「陽明学」というものをご存知ですか?私は今回初めて知りました。古代中国発祥なのに、中国人に聞いても10人中10人とも知らないと答えるくらい、マイナーな学問のようです。
今回、「陽明学 生き方の極意」(1996年)を読んで、「陽明学」には現代でも通用する学びがあるなと思ったので、ご紹介します。
王陽明
いつものようにWikipediaで調べてみると、
王 陽明(おう ようめい、成化8年9月30日(1472年10月31日) - 嘉靖7年11月29日(1529年1月9日))は、中国明代の儒学者・高級官僚。
思想家として当時の朱子学に対して批判的し、陽明学を起こした。一方で武将としても優れ、その功績は「三征」と呼ばれている。(一部省略)
と書かれており、本書は王陽明と門弟たちとの問答を記録した「伝習録」から引用しながら陽明学について説明しています。
陽明学はどのようにして生まれたのか
儒教の始祖である孔子の時代から1,700年後の中国で「朱子」という人が、それまで断片的な記録の集まりだった儒教を体系的にまとめ、「朱子学(現代では朱子学=儒教と認識されている)」を作り上げました。その300年後、「朱子学」に異を唱えた王陽明が作り上げたのが「陽明学」になります。中国では急速に衰退し、日本でだけ細々と研究が進められてきたのだそうです。
陽明学では「知行合一」を重視する
「朱子学」では科挙試験に代表されるように、知識量を重視しました。しかし、陽明学では「知行合一」つまり、本当に知るということは、行動を伴うものである。行動が伴わなかったら、本当に知ったとは言えないと教えます。
これは、私も完全に同意します。本をたくさん読んでも、試してみるなど行動しなければ何の意味もないと常に意識しています。
「良知」(天から授かった素晴らしい素質)を発現しなさい
陽明学が目指す学問は「良知」を発現することに尽きるそうです。「良知」を発現することができれば、誰でも聖人のような素晴らしい人物になることができると教えるそうです。
ちょっとスピリチュアルな話とも通じますし、エニアグラムの考え方にも通じるなと思いました。一人一人違う、自分だけの素晴らしいところを知って伸ばしたり、自分の力を信じるというのは大事なことだと思います。
「それぞれの良知にもとづいてねばり強く実践し、人から嘲笑されようと非難されようと、賞賛されようと侮辱されようと、そんなことには一切とらわれないで、ひたすら良知を致すことにつとめてほしい」とも王陽明は語っています。
志を立てることが大切
志とは目標のことです。陽明学では以下の2つを出発点とします。
- 「志」を立てる
- やる気を出して心を燃焼させる
まさに稲森和夫ですね。やる気も外に出すものではなく、内に秘めた闘志を燃やすと良いそうです。やっぱり、「燃える闘魂」ですよね。
「事上磨練」_仕事を通して自分を磨け
本を読んだり、人の話を聞いたりすることだけが勉強ではない。いざというとき、自分を支えてくれるほんものの知恵を身につけるためには、仕事を通して自分を磨けという教えです。
実践のなかで身につけた知恵でなければ役に立たない、机上の空論だということですね。
過ちに気付いたら改める
孔子も「気づいても改めない。それがほんとうの過ちだ」と語っているように、陽明学でも自分の過ちに気付いたら改めなさいと言っています。
謙虚であれ
傲慢な態度は悪の始まりである。謙虚な態度で相手の意見に耳を傾けることが大事だという教えです。これは、真理だと思います。
まとめ
陽明学は儒教から別れて発展し、中国では衰退してしまったようですが、現代の私が読んでも勉強になる内容でした。「地行合一」もその言葉は使われていなくても自己啓発でよく出てくる内容と同じだなと思いました。
今後、自己啓発本で「行動が大事」と出てきたら、「あぁ、500年くらい前から陽明くんも言ってるあれね〜」と心の中で呟こうと思います。←これこそ知行合一(笑)