歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

教育学×経済学

今回は、「「学力」の経済学」(2015年)がとても面白く、子育てに活かしていきたいなと思ったのでご紹介します。

 

 

 

 

「成績が芳しくない学生の祖母が亡くなる確率は50倍にも上る」

私も授業をすることがありますが、多くはないですけどやっぱりいますね。試験日の訃報(笑)

著者さんは教育経済学の先生で、経験談や感想に惑わされず、本書ではデータを用いた統計的分析から教育の効果について考えていきます。

 

 

ご褒美は必要?

「テストで100点を取る」といったアウトプットに対してご褒美をあげるよりも、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えたほうが効果があるそうです。

今まで漢字テストで100点取ったら100円ねなどと、完全に間違っていました…

 

 

ほめて育てた方が良い?

日本人は自尊心が低く、学年が上がるにつれて低下するのだそうです。だからといって、自尊心を高めるアプローチは成績低下につながるため、能力をほめるのではなく、努力、具体的に達成した内容をほめることが大事だということでした。

これは色々なところで言われているので、聞いたことがあります。

 

 

テレビやゲームはやめさせる?

それほど影響は大きくないけれど、長すぎると発達や学習への負の影響が出てくるそうです。テレビやゲームは1時間ならOKということです。…夏休みは、もう、壊滅的状況になってしまいました。

一方、テレビやゲームをやめさせても学習時間は増えずに結局別の遊びに走ってしまうことも分かっているので、○○を禁止するというのは、よく考えてする必要があるなと思いました。

 

 

家庭学習を増やすには?

「勉強しなさい」と口で言うのは効果なしであるばかりか、逆効果だそうです。家庭学習を増やすには手間暇かけること。横について一緒にする、勉強時間を守らせることが効果があったということでした。しかも、男の子なら父親、女の子なら母親の関わりが有効だそうです。

我が家の息子達が家庭学習できない訳が分かった気がします。両親でなくとも助っ人、例えば祖父母や塾の先生でもOKということでしたが、過去記事「塾の裏側」のように何十万円もかけるなんて、とてもできませんよ。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

 

友達の影響(ピア・エフェクト)

女子の多いクラスは学力が高いので、クラスメイトの学力も上がる傾向にあるそうです。また、自分よりも学力の高すぎる友人がいると、成績は下がるし、問題児がいても成績は下がってしまいます。習熟度別学級は学力を上げますが、あまり早期からすると格差が広がってしまうのだそうです。

女子が頭がいいというのは、医学部入試で問題になりましたね。結局のところ、自分よりも少し頭のいいグループにいると、頭が良くなるということみたいです。誰と友達になるのか、は大事ということですね。

 

 

人的資本投資の収益率

どの時期にお金をかけるともっとも投資効果があるのかというのが人的資本投資の収益率と呼ばれるそうですが、幼児期(小学校入学前)が最も高いのだそうです。しかし、幼児期に十分な教育をしてもIQは8歳くらいで変わらなくなったそうで、非認知能力が人生の成功において重要だったということだそうです。

後天的に習得可能な非認知能力には「自制心」、「やり抜く力」があるそうです。

 

 

非認知能力の鍛え方

では、どのようにして非認知能力を鍛えると良いのかと言うと、「自制心」は筋トレのように何度も実践させると良いそうです。「やり抜く力」は努力で能力は伸ばせると信じること、「勤勉性」はしつけにより習得できるということでした。

夏休みの宿題を最後にする人は飲酒、ギャンブル、借金、肥満のリスクが高いということで、私も小学校6年生まで8月31日に泣きながら宿題をしていた人間なので、耳が痛いです。

 

 

まとめ

本書は2015年刊行で、消費税が5%→8%になる頃の話でもちろんコロナ前なので、後半部分はあまり参考になりません。しかし、学力には家庭の資源と学校の資源の両方が影響を与えているため、行き過ぎた平等主義が格差を拡大させるという主張には一理あります。シングルマザーの我が家では家庭資源にも限りがあります。もっと小学校低学年のうちに手を掛けてあげればよかったと常に後悔しています。本当、子育てって難しいですね。