以前、「メタ認知」について書きましたが、メタ認知には2つの要素があることを学んだので、まとめたいと思います。
今回読んだ本は「他人の10倍仕事をこなす私の習慣」(2004年)です。
著者さんは、精神科医なのですが、年間50冊以上の本を執筆したこともあるそうで、とにかく半端ない仕事量を日々こなされている方のようでした。
そんな著者さんが仕事の生産性を上げるためにおススメすることの一つが、メタ認知的に自分の能力特性を分析することです。自分が何に強くて、何に弱いのかを知る、つまり、「己を知る」ということですね。
メタ認知には、「メタ認知的知識」と「メタ認知的活動」の2つの要素があり、これを日常的に使うことができると、頭のいい人や仕事のできる人になれるということですので、以下に説明していきたいと思います。
メタ認知的知識には、人間一般にまつわる知識と自分にまつわる知識の2つがあります。
人間一般にまつわる知識とは、「人間の推論は感情に左右されやすい」や「同調圧力によって自分の考え方が左右される可能性がある」といった人間の認知バイアスに関するような知識や、「几帳面で真面目な人は冒険できない」など血液型占いなどに書かれているような、人間の性格特性にまつわる知識になります。
自分にまつわる知識としては、「自分は何が人より得意で、何がが苦手なのか」や「自分の知識量は客観的に見て多いのか、少ないのか」といった自分の能力や知識に関するメタ認知的知識です。
これらのメタ認知的知識を持つことで、自分を知るヒントになるのだそうです。
己を知るためには、一般的な人間に関する知識と、自分自身を客観的に見た知識の両方から自分を考察できなければいけないということが分かりました。
さらに、メタ認知的活動までできなければ、メタ認知ができているとは言えない訳ですが、メタ認知活動にも、自己モニターと自己コントロールの2つがあるそうです。
自己モニターは、「今、気持ちが落ち込んでいるから、考え方がネガティブになっている」や「この分野にチャレンジしようと思っているけど、基礎的な知識は十分あるのか」など、自分を絶えずモニターするということです。自己モニターはメタ認知的知識がないとできないと思いました。
そして、自己コントロールは、自己モニターをした結果、「自分は理解力が悪い」と感じた場合に「であれば、簡単な入門書から読んでみよう」といった具体的行動に移すことを言います。自分自身を知るだけではただの頭でっかちであり、行動を起こすことでメタ認知を活かしていると言えるのだということがよく理解できました。
自分の特性や何をすべきかについて考えることは必要ですが、メタ認知を自分が行動しないことの言い訳に使うのは避けなければいけません。ある段階が来たら行動に移し、目の前の仕事をきちんとこなすことが大切だと著者さんは述べます。
「できないこと」だけでなく「できること」「得意なこと」を同時に探して、得意分野を効率的に使って目標を達成する方法を考え、即実行し、成果を残すというのは、優秀なビジネスマンそのものだと思いました。私も自分自身のことだけでなく、息子のこともメタ認知して、的確にアドバイスできるようになりたいです。
メタ認知は俯瞰的に自分を見つめることだと単純に考えていましたが、本書を読んで、行動を起こさなければ本当にメタ認知を活かしているとは言えないということが良く分かりました。以前SNSで見かけた、どこかのお寺の掲示板の、言行不一致「言っていることではなく やっていることが その人の正体」という言葉を忘れないようにしたいです。