歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

ナノカーボン

今回は、ナノカーボンの科学 セレンディピティーから始まった大発見の物語(2007年)を読みました。

すごいなぁと思って読んだのですが、そもそも基礎知識がないので、現在ナノカーボンがどのように使われているのかをネットで確認しながら整理したいと思います。

 

 

 

タイトルにあるセレンディピティですが、Wikipediaによると、

セレンディピティ(英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。

と書いてあります。
ナノカーボンの世界は、数々の偶然が折り重なって大発見に至ったのだということが、本書には時系列で書かれています。

 

 

 

最初に発見されたのは、フラーレンです。フラーレン炭素原子のみで構成されていますが、ダイヤモンドと違い、サッカーボールのような結合をした球形で、中が空洞になっています。Webで探してみると、実物の見た目はただの灰でした。炭素原子 60 個からなるフラーレン(C60)の直径はおよそ 0.7 ナノメートルだそうです。

 

フラーレンには、気体吸蔵、超伝導性、潤滑性、電気特性、触媒性などの性質が明らかとなっており、半導体の材料ナノマシンの潤滑剤として研究が行われていたり、スポーツ用品などに使われる炭素繊維複合材(強化プラスチック)の添加剤として用いられています。また、活性酸素やラジカルを消去する作用があるため、化粧品に用いられたり、遺伝子導入の運び屋やワクチンの応用として医療でも研究が行われているそうです。

 

 

金属原子内包フラーレン

 

フラーレンは空洞の構造をしているので、中に何か入るのではないか?ということでも研究が進み、金属原子が入れられることが分かっているそうです。ランタン、イットリウムスカンジウムなどが内包を確認できている金属です。フラーレンだけでもすごいのに、金属が入るとどんな効果があるのか…

 

 

 

さらに、フラーレンを作るときに出るカス(陰極堆積物)を電子顕微鏡で調べると、太さがナノメートルスケールで、チューブ状の、六員環がらせん状に配列している炭素物質が見つかりました。多層カーボンナノチューブの発見です。その後、単層ナノチューブの合成にも成功しています。

カーボンナノチューブはとても細い管なのに化学的に安定していて、機械的にも強靭(繊維方向の引っ張り強度はダイヤモンドを凌駕する)で、かつとても軽い(アルミニウムの半分)のが特徴です。蛍光管と組み合わせると極めて明るく長寿命になるため、大型ディスプレイに用いられたり、トランジスターの開発に応用されたり、シリコン半導体回路の1000倍以上の高性能であるため半導体への応用が研究されていたり、宇宙エレベーター構想にも寄与する可能性があるそうです。

 

 

ピーポッド

 

さらに、さらに、驚きなのが、このカーボンナノチューブにぴったりとフラーレンが並んではいるピーポッドも確認されているということでした。まだ実用段階には来ていませんが、フラーレンの中に自由に金属を入れ、チューブに並べることができたら、果たして何が可能になるのか、凡人の頭では想像もつきません。



 

まとめ

 

フラーレンの発見者はノーベル賞も受賞しています。このようなセレンディピティは資金が潤沢な大研究所ではなく、少数の研究者が個人的に行なっていた研究の中から生まれたのだということも分かりました。

このようなセレンディピティが生まれるような研究にも資金が届くような仕組みがあるといいなと思いました。