少し前から知ってはいたのですが、今年は家庭菜園も始めるので、ダンボールコンポストをベランダでやってみることにしました。
ピートモスとくん炭を混ぜて水を加えた単純なものです。毎日生ゴミを入れて混ぜていますが、まだ分解している様子はなくて。もっと暖かくなってから始めた方が良かったのかなぁ…
そんな中、今回は「奇妙な菌類 ミクロ世界の生存戦略」(2016年)を読んで面白かったので、ご紹介します。ここで言う菌は、キノコなどの真菌です。真菌と言うと、歯科衛生士の私はカンジダ・アルビカンスを1番に思いつきますが、世界には実に様々な菌がいるようです。
共生する菌
植物と共生する菌(菌根菌)では、菌糸と根の部分で栄養をやり取りし、持ちつ持たれつの関係にあるそうです。 しかも、より多く栄養をくれる植物にはたくさんお返しすることも分かっています。
昆虫と共生する菌には、菌を養って幼虫の餌にするキクイムシや菌に葉を分解してもらって菌糸を食べるハキリアリなどがいるそうですが、シロアリの卵に擬態してお世話をさせる菌もいるそうです。シロアリには全くメリットはないというのだから、したたかな菌もいるものですね。
アリをゾンビにする菌
オフィオコルディセプスという昆虫寄生菌に寄生されたアリは、木の上の決まった道から外れて歩き回り、突然痙攣を起こして地面に落下した後、近くの低木の北側でかつ地表から25㎝の位置で葉脈に噛みついたまま死を迎えるのだそうです。ゾンビアリの墓場は菌の成長に適した環境で、やがてアリの頭の付け根からキノコが伸びてくるとか…恐ろしい…
木材を分解する菌
段ボールコンポストでは生ごみを菌が分解してくれますが、木材に含まれる難分解性のリグニンやセルロースなどを分解する菌もいるそうです。本書の著者は木材腐朽菌の研究者であり、生物進化史上、このような菌の登場が現在の陸上生態系の姿を決定づけたと述べていました。
岩をも砕く菌
地衣類は岩に付着し、生長によって岩の表面を物理的に削るだけでなく、有機酸によって科学的にも風化を促進すると言われているそうです。また、菌根菌も土の中に菌糸を巡らせて、鉱物に穴を開けてしまうのだそうです。
プラスチックを分解する菌
無酸素状態でもポリウレタンを分解し、そこから栄養を得て生育できる菌もいるそうです。マイクロプラスティックの問題などに一躍買ってくれそうですよね。
ジェットエンジンの燃料を餌にしてタンクに穴を開ける菌
まさか、という感じですが、燃料の主成分である炭化水素を栄養源として生長し、アルミニウム泊を溶かしてしまった菌までいるのだそうです。プラスティックばかりか、人類の英知である飛行機に穴を開けるなんて、菌のパワーは本当にすごいです。
まとめ
私はハウスダスト持ちなので、家の中のカビとは因縁の間柄なのですが、本書を読むと、スギ花粉を抑えたり微生物農薬の研究が進んでいることが分かりました。私も今回のダンボールコンポストを機に、菌と仲良く共生していきたいと思います。