歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

プラネタリーヘルス

今回は、 腸と森の「土」を育てる~微生物が健康にする人と環境~(2021年)を読みました。

 

 

微生物の働きや多様性の重要性、プラネタリーヘルスについて学んだので、整理しておきたいと思います。

 

 

地球は微生物の楽園

 

1gの土の中には100億~1,000億個、6,000~5万種ほどの細菌が暮らしており、海水1L中には、平均30億個のウイルスが存在しているそうです。地球はまさに微生物の楽園ですね。

 

人間の大腸には100兆を超える腸内細菌がいて、口腔内にも1,000億個もの細菌が、強い酸の海である胃にも1万個もの菌が暮らし、皮膚や泌尿器、生殖器にも、各1兆個程度の菌がいます。また、ネイチャー誌で発表された、2018年時点での人の遺伝子の数は2万1306個なのだそうですが、腸内細菌叢からは1200万個の遺伝子が見つかっているそうです。口から腸にかけては身体の外側とされており、人間の体も微生物の楽園の一部であるとともに、人には分解できない植物の中の多糖類(食物繊維などのこと)の分解を助けてくれる、共に協力する仲間でもあることが分かりました。

 

 遺伝子の数が約500倍!この数を見ただけで、人の遺伝子だけで人は生きていけないのだということ、微生物はヒトの先輩生命体であることを痛感します。

 

 

土壌の腐敗

 

植物の根を取り巻く微生物活性が高いエリアを根圏といいます。微生物にびっしり覆われた根圏によって、病原菌からガードてもらったり、病原菌と戦う免疫力を高めてもらったり、栄養の吸収をサポートしてもらったりして、互いにメリットを得ながら生息しているそうです。

これは、過去記事「菌のパワー」でも学びました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

土の状態が悪化して腐敗菌が増えると、根腐れが起きて、その植物は枯れてしまいます。良い土は菌の多様性が豊かで、酸素が十分に行き届いているので、フカフカです。

 

 

人間の腸内も同じで、健康な人の腸内は、腸内フローラと呼ばれるように、本来多様性に富んでいるそうです。善玉菌と呼ばれるビフィズス菌だけが多ければ良いというのは勘違いで、多様性が大事だそうです。腸の中で腐敗菌が増えるとおならが臭くなり、体調も悪くなります。腸内細菌の多様性が豊かで良い状態の時は酸素が十分に行き届いたフカフカのうんち、つまり、形が良く水に浮くうんちになり、おならも臭くないそうです。

 

土も人も微生物の多様性に支えられて生きているんですね。非常食のローテーションでカップラーメンを食べたらお腹が張ってゆるくなってしまったので、日持ちするからではなく、腸内環境のことを考えた非常食も考えないといけないなと思いました。

 

 

腸内環境と免疫

 

腸脳相関と言われますが、実際には、腸と脳だけのネットワークではなく、腸内細菌と脳、腸との相互作用を踏まえて、腸内細菌叢-腸-脳軸(MGB軸:microbiota-gut-brain axis)と呼ばれているそうです。腸は「第二の脳」とも呼ばれる独自のニューラルネットワークで、脳とは独立して動くことができます。

つまり、腸内細菌からの情報により、人間の免疫システム、ホルモン分泌、精神の働き、脳機能、代謝など、あらゆる全身のシステムが支えられているということです。

そのため、殺菌消毒剤や抗生物質の多用、食生活の乱れ、ストレスなどで常在細菌のバランスが崩れてしまうと、防御壁が破壊され、細菌や未消化の食べ物、花粉や化学物質などの異物が簡単に体内に侵入し炎症を起こしてしまいます。

 

本書には書かれていませんが、歯科衛生士による専門的口腔ケアがインフルエンザの発症率を低下させたという研究もあります。「体外」である口から腸にかけての細菌叢をコントロールしていくことが免疫に大きく影響するということだと思いました。

 

 

協生農法

 

本書では、ソニーコンピュータサイエンス研究所で論理化、研究、実践が行われている「協生農法(シネコカルチャー)」が紹介されています。生物多様性の減少と環境破壊の元凶になっている、耕起・施肥・農薬の使用を全面的に行わなず、畝をたて、果樹を植えて周りに様々な野菜や花の苗を植え、シダやコケを置き、さらに種まき(同時に7種以上)をするという方法のようです。

混生密生のジャングルのようなり、土壌の微生物多様性と活性を示す値のレベルも極めて高くなるそうです。アフリカの砂漠地帯でも成果をあげていて、慣行農法と比較して40~150倍の生産高を上げたというので驚きです。

 

やはり、人も植物も多様性を目指すべきなのだと思いました。特に幼いうちに多くの菌に触れることが大切で、経膣分娩や母乳育児は赤ちゃんが最初に菌に触れる機会です。確かに、帝王切開だった長男・次男(双子)に比べて経膣分娩+母乳で育った三男は全く病気しません!様々な細菌に触れるには、動物を飼ったり、土いじりやキャンプもいいそうですよ。

 

 

プラネタリーヘルスダイエット

 

人と地球を切り分けず、多様な生物が生かし合う自然環境を維持し、この惑星全体の健康を実現することを「プラネタリーヘルス」と言います。そして、この具体的な方策としての食事法が「プラネタリーヘルスダイエット」だそうです。

1日の食事のうち、半分は野菜やキノコ類、果物など。残りの半分を、全粒粉の穀物、植物由来のタンパク質(ナッツや豆など)、不飽和脂肪酸を含む植物油、それに、少々の動物性タンパク質と乳製品、デンプン質の多い野菜、砂糖などの添加糖分という割合だそうです。

できる気がしない(笑)と思ったら、和食の「孫わやさしい」を目指せば良いそうです。

 

世界のエネルギー摂取量の75%が、たった12種類の作物と、5種類の家畜動物で占められているということで、もっと多様性が必要です。

牛の飼育は環境負荷が高いと聞いたことはありましたが、日本の農畜産分野でのメタンガス発生源の第1位は稲作で、58.8%を占めるというのは初めて知りました。

 

地球にも人にも良い食事というのをこれからは考えていかないといけませんね。技術開発にも期待したいです。

 

 

まとめ

 

本書には歯周病菌と全身との関わりについてもかなり詳しく書いてあります。そして、土のこと、自然環境のことなどデータや研究をもとに詳しく書かれていて、とても勉強になりました。

過去記事「地底人」でもあったように、人間が地球の管理人としての役割があるのであれば、プラネタリーヘルスの方向性に向かっていかないといけないよねと思います。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

私はカフェオレが好きでよく飲むのですが、県産の牛乳と、アメリカ・カナダ産の大豆で作った豆乳では、どちらがプラネタリーヘルスなんでしょう…(*_*;? 案外難しいです。しかし、知ってしまったからには、少しずつプラネタリーヘルスな行動をしていこうと思いました。