今回は、「基礎から身につく「大人の教養」 「野口体操」ふたたび。」(2022年)を読みました。
私は本当に体が固くて、もちろん前屈では手が床に全く届きません(笑)開脚も90度くらいしか開かなくて、高校生くらいから腰が悪いのも悩みです。
本書を読んで、気持ちよく、全身の筋肉の弛緩と緊張を使いながら固い体を柔らかくできそうだなと思ったのと、マインドフルネスや瞑想のように自分の体内感覚に集中していくところがいいなと思ったのでご紹介します。
Wikipediaによると、
ということで、本書の表紙を見ても分かる通り、東京藝大で体育を教えていた先生です。
野口は戦時中、短期現役兵(5ヶ月)を優秀な成績で終え、陸軍伍長に任官されて高崎の尋常小学校に奉職します。さらに、全国最年少(21歳)かつトップの成績で高等師範卒業と同等の資格が得られる国家検定試験に合格します。
佐野尋常小学校では体操を指導し、鉄棒の大車輪、跳び箱の上からの後方宙返り、逆立ち歩きができる児童生徒を数多く出し、かつ、落ちこぼれを出さない指導が評判となります。昭和18年には高度な体操指導が認められ、群馬師範学校の教官に、昭和19年には国立の東京體育専門学校(終戦後は教育大学体育学部)の助教授に抜擢されました。
野口は戦後の民主主義にふさわしい体育教育であるとして、体育指導要綱に創作舞踊を含むダンスを導入する草案を文科省に提出し、導入されました。野口自身も東京體専でダンスの授業を担当したそうです。その後、東京藝術大学に転任して、野口体操を考案することになります。

創作ダンスの生みの親だったんですね!私は高校生の時、クラスの創作ダンスで県大会まで出たんですよね〜懐かしい。
鞭は、固い→やわらかい/太い→細い/重い→軽い/という構造をもつことで、亜音速が生まれます。進もうとする鞭の先端は、方向をかえられると、いちばん遠いところを最速のスピードで通過するため、〝カマイタチ〟と同じく一瞬だけ真空状態が生じて、あのヒュンという音がでます。

人間のからだは、基本的に鞭の構造でつくられている。したがって動きにおいては、方向をかえるところが鍵となる。
野口体操では、直接仕事をするところに余分な力が加わると、感覚がにぶくなり正確さが失われると考えます。そこで、末端には余分な力を入れずに、伝えられて動く「鞭の原理」を生かした動き方を身につけるように指導したのだそうです。
そして、そこに自らの重さで強力な破壊力をもつハンマーの動きを加えます。鞭とハンマーの切りかえをリズミックに行う動き、つまり、弛緩と緊張のコンビネーションに自重を加えた動きが野口体操の根幹になります。
また、緊張を取り去ったリラックス状態の筋肉は、どんなに筋骨隆々であろうと、液体的なふるまいをみせます。野口は、このような液体的な状態が、生きている人間のからだの基礎感覚であると考えました。
筋肉に大きな力を加えずに、やさしく触れるだけの野口流マッサージ法を編み出し、本書では2人で行う「寝にょろ」「腕にょろ」「肩のぷるぷる」「ふくらはぎぷるぷる」が紹介されています。
ゆすられる人がきもちよく感じられる強さがポイントで、肩こり、腰痛など凝り固まった筋肉に効果がありそうです。
本書を読んでやってみた、一人でできる体操をひとつだけご紹介します。YouTubeも見ながら他の体操も行いましたが、とにかく見たことない動きで(笑)真似すればできるようなものではないです。これは、体内感覚(筋肉の緊張や弛緩、張り、痛みなど)を感じながら徐々に掴んでいかなければいけないものだと思いました。
上体のぶら下げ
腰痛症予防に効果のある、ハムストリングと大殿筋のストレッチになる体操です。

①足を腰幅に開いてまっすぐに立つ
②腕はぶら下がったまま、左右の足の裏に交互に重さを乗せ換える
③腕だけでなく、からだ全体に揺れが生じるまで繰り返す
④腰を後ろに引き、軽くゆすりながら、へその下→みぞおち→胸→肩→首の順に上体を降ろしていく
⑤ほとんど腰が上を向いたら、首の力を抜いて頭をぶら下げ、左右に体の重さを乗せ換え続ける
⑥膝を曲げるのをきっかけにして、上体を起こす
⑦骨盤を少しずつ回転させながら、へその下→みぞおち→胸→肩→首の順で滑らかに起こす
⑧最後に首から頭を起こして、最初の姿勢に戻る
野口三千三先生が行っている写真では、肘まで床につきそうなほど体が二つに折れ曲がっているのですが、私は固いので腰は全然上を向かないし、指先ですら床に届きません。しかし、ゆらゆらしていると痛いところが徐々に変化して、手が床につくくらいには伸びました。終わると体がポカポカして、とても気持ち良かったです。丁寧にゆらすのが良さそうです。
この体操を続けたら、体が柔らかくなりそうです。呼吸が大事で、ヨガに似たポーズもありますが、ゆらすという点が違います。
野口は優れた体操指導をしましたが、その指導により運動能力を上げた教え子の多くは、少年航空兵や少年戦車兵に志願し戦死しています。体育教師として戦前・戦中にやってきた体育は本物であったのかと悩み、問い続け、人間は地球の上に存在する生物の一種であることを出発点とし編み出されたのが「野口体操」になります。
そんな思いにも心を馳せながら、ランニングの前の準備体操として実践しようと思います。
