今回は、「霊視の人 神事編」(2023年)を読みました。
天狗様などの神様に導かれ、日本中の神社などを旅している3人組のお話でした。ひとりは霊視に優れた女性(旅を通して力が強くなっている)、もう1人は神事や歴史に詳しい研究家、そして、旅程を考えたり会話を録音したり、記録係といった感じのメンバーです。
高等な神様は、こちらが尋ねても名乗ったりはしません。自分は〇〇の神であるぞ!なんて言うのは、低級霊で間違いないのだそうです。
また、天照大神のような大きな神様は、個々人の幸運・不運などをどうにかするために働かれているのではありません。日本全体や地球規模の、はるかに大きな役割をもって働かれているため、例えば、伊勢神宮で自分の望みを願うのはナンセンスになります。
「あなたは天照大神の加護を受けている」なんて言われたら、詐欺師か、低級霊に騙されている霊能者だということですね。
では、私たちの願いはどの神様が聞き届けてくれるの?と言うと、現在暮らしている土地の産土様(うぶすながみさま)にお願いすると良いのだそうです。 今では氏神様や鎮守様も産土様と同じ意味で使われています。
また、産土神様は高位の神様と通じるための窓口にもなっているため、まずは地元に根づいている産土様、氏神様の神社に参拝して、それから三の宮、二の宮、一の宮といった順番で参拝するのがマナーなのだそうです。
形だけで神様のいない神社やその逆もあるそうで、コンクリートでできた神社からは神様は出ていかれるみたいですよ。
自分の住む地域の産土神様を調べないといけませんね。お願いだけでなく、ちゃんとお礼参りもしましょう。一族繁栄を願うと、後世がお礼参りをしないことで問題が起きるため、自分の責任の範囲で、1代限りの繁栄を願いなさいと言うことでした。
御先祖様の霊は、神様ではありませんが、子孫のことに心を配り、なんとかよい方向に導こうと働きます。
浄化している先祖霊は、子孫をバックアップし、大難を小難に、小難を無難にしようとしてくれますが、未浄化の状態で苦しんでいる霊の場合は、子孫に救いを求めてすがりついてくるそうです。どうか自分の存在に気づいてほしい、この苦しい状態から救ってほしいと伝えるためにすがってくるということで、そのような浮かばれていない祖霊を救いあげることも、祖霊から魂を受けて生きている子孫の務めのひとつなのだそうです。
「御利益をいただきたいなら、先祖供養に勝るものなし」
ということで、先祖供養が大事なのだということでした。
旧暦の10月10日に、全国のやおよろずの神々が出雲大社に集まるという言い伝えに由来して行われる「神迎神事」というものがありますが、ここで言う「神迎え」は、お稲荷様など、神様を自宅に迎えることのようです。
本式で神迎えをするときは、事前に禊を済ませ、服は全部白装束で調え、下着なども全部新品にしなければならないのだそうです。何かの用事のついでに神迎えをするなんて、もっての外です。
また、神様は人の息を嫌うので、家の高いところにお祀りし、日々の参拝作法などをしっかりと守らなければいけません。
覚悟もなしに御利益を求めて神様を家にお迎えするなんて論外、触らぬ神に祟りなしだそうですよ。
本書を読んで、神様の世界は上下関係が厳しいな〜と思いました。修行僧が天狗になった話では、元人間は下っ端にしかなれず大変なのだと言う話でした。となると、産土神様を探す際は、人神様を祀っている神社ではなく、神様を祀った神社を探した方がいいのでしょうね。明治政府による神仏分離令と修験禁止令という悪法のために、宿から神社に衣替えをしたような神社もあるそうで、ちゃんと神様のいる神社を知っておく必要があるということが分かりました。