歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

新渡戸稲造「4つの貯蓄」

今回は、新渡戸稲造逆境を越えていく者へ(2011年)を読みました。

 

 

 

旧五千円札の顔

 

本書は、旧五千円札の顔である新渡戸稲造氏の過去の著作から「苦難の時をいかに生きるか」をテーマに再編集したものです。新渡戸稲造といえば、武士道の著者でもありますね。

 

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ちなみに、現五千円札は樋口一葉、新五千円札は津田梅子で、皆さん女性が社会で活躍する土台を築いた方々です。unlimitedでこの方々の本も探して読んでみようと思います。

さて、新渡戸稲造はクラーク博士とは入れ違いだったものの、札幌農学校の二期生として学んだキリスト教徒です。山下太郎の先輩に当たります。

 

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今回は、新渡戸哲学の中で私が良いなと思った「4つの貯蓄」についてまとめたいと思います。

 

 

第一:金銭の貯蓄

日本人は金銭の貯蓄をいやしいと軽蔑するところがあるが、自分の子孫が他人に迷惑をかけない程度の蓄財は必要だと説きます。新渡戸稲造は学生時代、一週間分の小遣いをもらうとすぐに菓子を買って使ってしまい、その後は風呂にも入ることができなくなるような散財タイプだったそうです。しかし、同級生や学生を見て、貯蓄心のある人は考えが計画的で、頼み事をしてもきちんと終わりまでする、頼りがいのある人物であることに気づいたと書かれています。

 

議員の不正にも言及しており、「自民党の不正議員さ~ん、新渡戸稲造の本は読みましたか?」と言いたいですね。政治家には3つの要素「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」が大事なんて言われますが、そんなものより第四の貯蓄で述べる「徳の貯蓄」が大事ではないですかと思いました。

 

 

第二:体力の貯蓄

 

日本人は遠い将来を考えるのをよしとしない傾向があります。「どうせ人間は死ぬのだから」酒を浴びるほど飲み、放縦な生活を繰り返すと、死なずに半病人になった時にとても残念なことになるよと忠告しています。一日に十人前の仕事をするよりも、十年かかって十人前の仕事をするぐらいに考え、それに相当する体力を養いなさいということでした。

 

新渡戸は北海道の氷点下の日でも毎朝冷水を浴びることを欠かさず行っていたそうですよ。「朦朧として物がはっきり見えなくなるほどであった」というのは、ちょっとやり過ぎのような気もしますが…。体力の貯蓄には毎朝冷水を浴びるのもおススメだそうです。

 

 

第三:知識の貯蓄

 

少し学ぶとひけらかしたくなる人が多いけれど、「能ある鷹は爪を隠す」というように、知力のある者はむやみとこれをひけひけらかすことはしません。災難にあったときなど、機会を見て知識を使用するべきであり、知力の蓄積には良書を読み、有益な話を聞き、自分以上の人と交わり、時には黙想して心に得たことを心の蔵の中に深く入れるようにすると良いそうです。

そして、知識の貯蓄よりいっそう大切なのは徳の貯蓄だということでした。

 

蓄えた地力が、いつ何時必要になるかは分かりません。しかし、絶対に役に立つ時が来るので、目先の必要のために得る知識ではなく、教養を身につけよと言っているのだと理解しました。

 

 

第四:徳の貯蓄

 

善行は職業、財力、社会的地位、身体の強弱に関係なく誰にでもできますが、善だけを毎日行うことは不可能です。多少の善いことをしても、同時に多少の悪をするものなので、悪をしてしまったと自暴自棄になるのではなく、差し引きして善が多ければ良し、毎日続けて徳を積むことが大切だと説きます。

徳は名誉にもお金にもなりませんが、失う恐れもねたまれる恐れもありません。それどころか、心は晴れ晴れとして、楽園のような快楽すらあります。新渡戸は4つの貯蓄の中でこの徳を積むことが一番大切であると言っており、人生に最も大事で欠くことのできないものはそれぞれに備わっていると言います。つまり、「他人のせいで出来ない」という言い訳はできないよということですね。

 

人は多少の悪はするもの、差し引きしてプラスならOKというのはとても心が楽になりました。私も徳を積みたいとは思っていますが、やっぱり運転していて横道から出てきた車に譲れなかったり、息子に言い過ぎてしまう時など悪を積むときがあります。徳を積めなかったと自責するのではなく、差し引きプラスならOK!と気楽にいきたいと思いました。

 

 

まとめ

 

本書では順境と逆境の話など、このほかにもとても勉強になる内容が書かれています。さすが5千円札の肖像に選ばれる人物!だと思います。私も4つの貯蓄のうち、第二の貯蓄(体力:過去記事参照)と第三の貯蓄(知識:本ブログ)は実践中なので、徳の貯蓄を意識して生活していきたいと思いました。お金の貯蓄はボチボチ頑張ります(笑)

 

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