歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

電通独占

今回は、電通巨大利権 東京五輪で搾取される国民(2017年)と洗脳広告代理店電通:ドクター苫米地の脱「メディア洗脳」宣言(2012年)を読みました。

 

 

 

電通と言うと、給料が高くて仕事はブラックというイメージですが、地方に住む歯科衛生士の私には正直あまり関心のない存在です。しかし、本書を読んで日本の広告業界の異常性について学んだので、ご紹介します。

 

 

電通独占の仕組み

 

電通日本の広告費における売上高比率が25%を超えており、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの各媒体でシェア一位(2016年)だそうです。ググってみると、2023年2月24日に2022年の日本の総広告費が前年比4.4%増の7兆1021億円で過去最高だったという記事があり、日本の広告業界は今も昔も電通独占状態であると言えそうです。なぜ、ここまで電通が巨大化できるのかというと、日本の広告業界の特殊性が影響します。

 

  1. 世界的には一業種一社制が常識であるのに対し、多業種一社制が可能です。つまり自動車関係で言うとトヨタを担当していても、日産やホンダも担当できるということです。電通だけでなく、日本の法律上、広告業界はあらゆる業種のスポンサーを抱えることができます。

  2. メディア購入の窓口、CM制作、SP(セルフプロモーション)が同居しているというのも欧米には例がありません。通常、海外では別々の専門業者に頼まなければいけません。

  3. スポンサーのために広告枠を購入するメディア販売とメディアのために広告を売る機能も同居しているというのも稀なスタイルです。スポンサーのために広告枠を購入するはずが、代理店が持っている広告枠を都合よく埋めただけといった問題が生じるため、海外では禁止している国が多いのだそうです。

電通のイメージ図

 

スポンサーへの忖度

 

一社独占状態になると、テレビ局、新聞社、ラジオ局としては広告枠を埋めるために電通様」の言いなりにならざるを得ません。また、その資金源であるスポンサー様にも忖度した内容の番組を放送することになります。具体的な事例は本書に書かれていましたので、割愛しますね。ざっくり言うと、日本で報道されているニュースは疑ってかかるべきだよということです。

また逆に、広告主側も「電通様」に良い顔をしておかないとターゲット視聴者の全然いない広告枠しか提供してもらえなかったり、オリンピックといった規模の大きい案件では到底他社ではノウハウも人員もなく、遂行不可能という事態になります。

 

東京オリンピックでは後から談合が発覚し問題になりましたが、すべての実権を電通が握っていたことがそもそもの原因だと思います。本書の著者さんは、どちらも独占禁止法に違反しているので取り締まるべきだ!と主張していました。

 

 

視聴率操作

 

また、驚いたのは視聴率調査会社である株式会社ビデオリサーチとの関係です。電通グループは(株)ビデオリサーチの34.2%の株を保有し、役員を兼任している「持分法適用関連会社」ということでした(2023年3月30日提出の有価証券報告書より)。

過去記事コーポレートガバナンスで学びましたので、34.2%がどれだけ影響力のある数字かよく分かります。首根っこをがっつり掴まれている状態と言っても過言ではないでしょう。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

デジタル放送になってからは全数調査も可能なはずですが、相変わらずの標本調査で、調査しているのは国内で一社だけというのもどうなんでしょうね。苫米地氏も「これを見てしまったら「公正な視聴率調査をしています」と言われても、信じろという方が無理だ。」と書いており、私も同感です。まぁ今では、テレビの影響力は昔ほどではありませんけれど。

 

 

Facebookとの提携

 

また、電通と米国Facebook®社 日本での広告主向け「Facebook」活用マーケティング・サポートで業務提携」もちょっと怖いぞと思いました。業務提携したのは、2011年で今から13年も前の話です。

 

実は、フェイスブック社は2012年に無作為に選んだ約69万人のユーザーを対象に心理学の実験を行っているんです。具体的には、「ニュースフィード」と呼ばれる部分に表示する友人らの投稿を操作します。ポジティブな印象を与える投稿を減らすと、利用者自身の投稿もネガティブな内容が増え、逆にネガティブな投稿を減らすと、ユーザーの投稿ではポジティブな内容が増えたという結果だったということでした。

この研究は倫理に反しているとして非難を浴び、FB社は謝罪しています。

 

ケンブリッジ・アナリティカ社(CA社)がFacebookから得た個人情報を不正に利用して、米国の大統領選挙で共和党支持者を増やし、英国をEU脱退に誘導した、つまり裏で操っていたという話もあります。

 

Facebookソーシャルメディア最大と言われる30億人規模のユーザーを持っているため、多くの研究者が注目していますし、社内にも研究部門があります。日本人が秘密裏に研究対象にされていたり、電通に都合の良い情報操作が行われていたりするのかもしれませんよ。

 

 

大阪万博はどうなの

 

先述したように、東京オリンピックでは電通独裁で進められましたが、後から汚職や不正入札で逮捕者が出る事態となりました。では、大阪万博はどうなの?と調べてみると、やっぱり当初の委託先は電通だったのですが、五輪談合の影響で万博から除外されてしまい、大混乱みたいでした。(私はテレビを見ないので、世の中のニュースに疎いです。)

一社独占状態の悪影響がここにも出ていました。

 

 

まとめ

 

広告を一社が独占しているという日本の状況は、世界から見ると異様なんだなということが分かりました。何でもかんでも世界標準に合わせる必要はないとは思いますが、大阪万博でも明らかな弊害があると分かった以上、徐々に変えていくべきなんじゃないかと思います。

電通社員の平均年収は1,500万円を超えるみたいなので、商品やサービスのほとんどが広告代として電通に流れているんだろうなと思うと、何だかやるせない気持ちになってしまいました。