今回は、「孫子の兵法―考え抜かれた「人生戦略の書」の読み方」(2017年)と「超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール」(2021年)を読みました。
私は息子の名前に諸葛孔明の字名をつけるほど、三国志が好きなのですが、三国志の戦いでも兵法の教えを見つけることができます。現代の私にも役に立ちそうだなと思ったところをまとめたいと思います。
一、君主は、どちらが立派な政治を行なっているか。
二、将帥は、どちらが有能であるか。
三、天の時と地の利は、どちらに有利であるか。
四、法令は、どちらが徹底しているか。
五、軍隊は、どちらが精強であるか。
六、兵卒は、どちらが訓練されているか。
七、賞罰は、どちらが公正に行なわれているか。
以上の7項目の基本条件を吟味し、勝敗の見通しをつけます。戦わずして勝つことが最も良いですが、戦う時は勝利を見込める時しかしてはいけません。絶対に負けない準備をして、勝ちを確信してから戦うということです。
戦わなければいけない時の基本戦略は以下の原則になります。
十倍の兵力なら、包囲する。
五倍の兵力なら、攻撃する。
二倍の兵力なら、分断する。
互角の兵力なら、勇戦する。
劣勢の兵力なら、退却する。
勝算がなければ、戦わない。
第二次世界大戦の日本軍のように、負けると分かっていて突っ込むのは無謀であり、退却、降伏して機を待つということも大事だという教えです。これは、ビジネスでも言えそうですね。
君主を補佐する将軍との関係が親密であるのはもちろんですが、君主はよけいな口出しをしてはいけません。君主の口出しは、軍を危機に追いこみかねない事態を招くと兵法では忠告しています。
これもビジネスあるあるかも知れませんね。マイクロマネジメントは百害あって一利なしだと私も思います。
まずは、先に戦場に着くこと。そして、相手の作戦行動に乗らず、逆に相手をこちらの作戦行動に乗せることで主導権を取ることが重要です。敵の態勢に余裕があれば、手段を用いて奔命に疲れさせる。敵の食糧が十分であれば、糧道を断って飢えさせる。敵の備えが万全であれば、計略を用いてかき乱す。といった戦略になります。長期戦は兵も疲弊するので、勢いのあるうちに、短期で終わらせます。
つまり、相手の強みや弱みといった情報戦が要だということですね。間諜を使ったり、敵将を買収したりして相手の情報を得ることで、かなり有意に駆け引きできるようになります。ロシアとウクライナの戦争が長引いていますが、プーチンはウクライナの読みを誤ったとも言われていますね。
戦闘での原則は以下です。
一、高地に布陣した敵を攻撃してはならない。
二、丘を背にした敵を攻撃してはならない。
三、わざと逃げる敵を追撃してはならない。
四、戦意旺盛な敵を攻撃してはならない。
五、おとりの敵兵にとびついてはならない。
六、帰国途上の敵のまえに立ちふさがってはならない。
七、敵を包囲したら必ず逃げ道を開けておかなければならない。
八、窮地に追いこんだ敵に攻撃をしかけてはならない。
六、七、八はなぜ?と疑問に思うところですが、逃げ道を断たれた敵は、「窮鼠、猫を嚙む」勢いで反撃してくる恐れがあります。また、捕虜や敗国の兵は勝国の兵になることから、犠牲は最小限にして余計や恨みは買わないことが戦での原則なのだと理解しました。
基本を理解して実践できることは大事ですが、状況は刻一刻と変化します。
気──士気
心──心理
力──戦力
変──変化
これらを読み取り、状況を的確に判断して戦うのが勇将なのだそうです。
常に臨機応変に、正規の作戦と奇襲作戦を変幻自在に繰り出して、敵の弱点をつくことで勝利を得ることができるという訳です。何事も教科書通りにはいきませんよね。
中国では過去におびただしい数の兵法書が作られたそうですが、「孫子の兵法」は二千数百年も読み継がれ、様々な人に影響を与えたというのはすごいことだと思います。兵法なのでもちろん戦争の話なのですが、ビジネスでも応用できるし、人生にも応用できる内容だということがわかりました。今後は、「今の状況は、孫子の兵法的には〜だよね」とか使えたらかっこいいなと思います。