歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

睡眠に関わる脳内伝達物質「オレキシン」

過去記事むずむず脚症候群の新仮説でも書いた通り、私は不眠に長いこと悩まされております。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

ビタミンEを飲み始めてからは本当にむずむずが起きなくなりましたが、夜中に目が覚めるのは今でもしょっちゅうです。それでも、昼間に眠くなることはあまりないし、2日も眠れないと翌日は朝までぐっすりなので、そこまで日常生活に支障はないのですが。できれば、毎日朝までぐっすり眠りたいものです。

 

今回は、睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか(2017年)を読んで、睡眠における科学的なことを学んだので、まとめておきたいと思います。

 

 

睡眠は命がけ

睡眠中は無防備で活動できないため、もし、睡眠を必要としない生物がいたとしたら、今頃地球を支配していてもおかしくありません。しかし、イルカは水中で泳ぎながら眠り、渡り鳥は飛行中に眠ります。進化の過程で、睡眠の方法は進化させても、眠ることを省く生き物は現れませんでした。私たち生物は、命がけで眠ると言っても過言ではありません。

 

 

レム睡眠

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠がありますが、レム睡眠中の脳は起きている時と同じかそれ以上に活発に動いているそうです。しかし、視床での情報伝達が遮断されているため眼球は動いても、身体は動きません。夢はレム睡眠か浅いノンレム睡眠の時に見ますが、「怖い」「楽しい」などさまざまな感情をともなうものが多いそうです。

 

 

睡眠・覚醒に関わる神経伝達物質

睡眠と覚醒はシーソーの関係だそうです。睡眠視索前野の睡眠中枢(GABA作動性ニューロン)と、脳幹の覚醒システム(モノアミン/コリン作動性ニューロンは、相互に拮抗しあっています。覚醒に関わる神経伝達物質には、ドーパミンノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニンヒスタミンなどがあり、睡眠に関わるものとしては、GABAや著者さんらが発見したオレキシンという物質が深く関与していることが分かったそうです。

 

 

オレキシンの働き

脳内伝達物質オレキシンは、覚醒の維持を手助けしていることが明らかになりました。「覚醒が必要な時」、つまり、オレキシンが作用するのは、気持ちが昂るとき空腹時です。

オレキシン作動性ニューロン視床下部外側野に存在し、モノアミン作動性ニューロンを興奮させ睡眠中枢の働きを抑制しますが(覚醒)、エネルギーが十分で、危険もない状態であれば睡眠中枢がオレキシンとモノアミン作動性ニューロンを抑制して睡眠に傾くということです。

ナルコレプシーとは、突然眠ってしまう病気ですが、「覚醒を必要とする場面」なのにオレキシンが欠損しているために、覚醒を適切に維持することができないのだそうです。

また、メラトニンが睡眠に関わるとよく聞きますが、こちらは体内時間を調整している物質のため、直接的に睡眠と覚醒に関与するのはオレキシンなのかなと理解しました。

 

 

食欲と睡眠の関係

また、オレキシン作動性ニューロンは、レプチンによって抑制され、グレリンによって興奮することも明らかになっています。つまり、食欲の制御システムとも明確な関連をもっていたと言うわけです。

お腹がいっぱいになると眠くなったり、夜中空腹で寝られなくなるのは、オレキシンによるものだということですね。

 

 

まとめ

覚醒と睡眠のシーソーにおいては、「睡眠システム」が重く、「覚醒システム」の方が軽いため、覚醒には大きな力を必要とするのだそうです。人間は基本眠っていたいけど、オレキシンが働くことで、昼間に覚醒を維持しているのだということが分かりました。

私の脳は、オレキシンが頑張りすぎなのかもしれません。私のオレキシンちゃまは、朝・気持ちが昂るとき・空腹時のどれだと勘違いして夜中に覚醒させているのでしょうね。