Winnyってご存知でしたか?
私は「Winny 天才プログラマー金子勇との7年半」(2020年)を読んで初めて知りました。
こちらも知りませんでしたが、映画化されて、公開中のようです。
映画を見るご予定の方は、以下はネタバレになるのかも知れませんので、お読みにならないようお願いしますね。
Winnyとは
Peer to Peer(P2P)技術(複数の端末間で通信を行う際のネットワーク方式の一つ)が使われたファイル共有ソフトで、2002年に金子勇が開発しました。
まぁ、私も本書で初めて知ったので、詳しいところは分かりません(笑)
著作権裁判
Winny自体は2ちゃんねるで開発されたファイル共有ソフトですが、2003年にWinnyネットワークで映画を公開した者とゲームを公開した者が逮捕されました。
その後、2004年に開発者の金子勇が著作権法違反幇助の罪で逮捕され、Winny事件と呼ばれました。
本書は金子勇が無罪を勝ち取るまでの弁護士の奮闘を描いた小説ですが、著者さんはこの事件を担当し、弁護団の事務局長をしていた弁護士さんであり、一緒に戦っている気持ちになって読みました。
弁護士の本音
本当に弁護士さんが書かれたのかな?と思うくらい、臨場感豊かで、笑いどころも満載の小説で、内容はシリアスなのに、どこかおかしくて引き込まれました。特に面白いなと思ったところをご紹介します。
「オタクシャツや」
チェックのシャツを着て、あくびをする様子を見てつぶやいた、金子勇に対する主人公の第一印象です。ファッションについては後半にも出てくるのですが、金子勇は天才よろしく、服に興味がなかったようです。
裁判所は「令状の自動販売機」
日本の刑事司法が大変アンフェアであることを表現した言葉です。弁護士さんの本音が出てしまっていますね。
「あのシャチハタ男をどうにかしろ!」
シャチハタ男とは、警察・検察の書類に何でもサインしてしまう金子のことを表現しています。どんな調書に署名しても、裁判所で正しいことを喋れば、裁判官は自分のことを信用してくれるはずだと思っていたために何にでもサインしてしまったようです。
サインをする際は気を付けないといけませんね。
主任弁護人
ドラマとかでもよくある証人尋問において、弁護士が大げさに驚いてイケてる尋問を展開していると、主任弁護人から「弁護士が勝ち誇った感じなのは、裁判官のイメージが悪いよ」というメッセージが届きます。
若手の弁護士の尋問中にえぐい揺さぶりかける、ひどい主任弁護人なのである。
に笑ってしまいました。
また、ピンチの状況下で京都地裁に「蔓延」を信用できないと認めさせた伝説の尋問を行ったのも主任弁護人で、
未だに自画自賛している。
のだそうです。
弁護士さんのナルシストぶりというか、プライドというか、仕事に対する熱意が垣間見え、面白いなと思いました。
まとめ
WikipediaでWinnyを検索すると、かなり警察寄りの表現で書かれていて、無罪判決であったことも書かれておらず、本書との相違に驚きます。
金子勇さんは無罪判決の後、2013年に亡くなられたそうです。本書冒頭のひろゆき(2ちゃんねる開設者)のコメント、
金子さんがいれば、日本で開発した技術が世界で使われて、世界中からお金が入ってくるみたいな世の中にできたかもしれなかったんですけどね。
がボディーブローのように効いてきますね。