歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

百姓万歳

今回は、百姓レボリューション(2017年)を読みました。

 

 

私も、過去記事「日本の財政破綻は起きるのか?」で考えたようなことで、有事の際は自給自足する力が必要だと思い、去年からベランダと祖母の庭で野菜を作っているところです。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

最初の春は、色々と分からない事ばかりで枝豆もトウモロコシもあまり収穫できませんでしたが、今年の冬は人参、生姜、ホウレン草、ブロッコリーも無事収穫です。春は何を植えようかと今から楽しみに考えています。

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関東大震災財政破綻が起きたら

 

さて、本書はある日突然関東大震災が起こり、ほぼ同時にアメリカと日本が財政破綻したら?という状況を描いた小説です。

震災による建物の倒壊や火災に対し、財政破綻、つまり、公務員の給与が払われない(かも知れない)ということで人員が不足し、救助・消火・復旧作業は全く進みません。総理大臣は死亡し閣僚も皆海外に避難してしまった為、指揮を取る人もいません。

そして、とうとう東京は燃料、食糧が無くなり、近隣の農地では農作物が盗難され、死者が放置されたゴーストタウンと化します。無政府状態のまましばらくすると、地方も役場の職員と地域住民が協力して、自分たちで新しい仕組みを作っている状態になったということでした。アメリカでもエコビレッジが各地にできたようです。

 

 

百姓ビレッジ

 

主人公たちは、学生時代の友人を頼って栃木の百姓ビレッジに辿り着きます。そこは、循環型農業をされている共同体で、資本主義社会から脱却した新たな社会を作ろうとしているところです。全国各地にあるとはいえ、500名以上が一度に押しかけたため、ひとまずは避難者として受け入れたものの、共同体として一緒に暮らせる人を選抜することになります。

 

コロナワクチンやシェディングから逃れ、安全な食糧を手に入れるための避難村ができているようですが、具体的なことは知らなかったので、とても参考になりました。

 

〜行われていた内容〜

  • 自然農…雑草も刈らず、生態系の中で作物を育てる(コミュニティメンバーの食糧)
  • 有機農…お金を得るために行なっていた
  • 堆肥も手作り(人糞もEM菌をかけて堆肥化)
  • 鶏は放し飼い(採卵用)
  • 味噌、醤油は手作り
  • 燃料は薪
  • 移動は徒歩か自転車
  • 廃油で走る車あり
  • ソーラーパネルで発電し、インターネット接続
  • 物々交換

 

 

メンバーの選抜

 

本書では、「どのような人がビレッジのメンバーになれるのか」についてが大きなウェイトを占め書かれています。避難者の作業態度や行動を評価したり、ビレッジで活かせるスキルを考えたり、メンバー同士で議論させたり、リーダーが一人ひとり面談してその人がどのように変わらなければいけないのか気づかせたりしていました。

 

全ての人を受け入れることはできない。それは分かります。共同体内で役割を果たせる人が選ばれる。それも分かるのですが、身体が不自由だったら受け入れない、役割を果たさない人や役割を果たせない人が家族にいると受け入れないということになります。

そうなると、メンバーが怪我をしたり、歳をとって要介護状態になったらどうなるのだろう?メンバーの子どもが障害を持って生まれたらどうなるんだろう?と考えざるを得ませんでした。昔の村社会にあった「村八分」と同じことになります。

 

最終的に選ばれなかったメンバーは、他のエコビレッジで受け入れてもらったり、東京で新たな百姓ビレッジを立ち上げたりする(2へ続く)ようです。

 

 

まとめ

 

石油をベースにした産業構造、資本主義社会は継続できなくなる時が来る、どこかの時点で社会システムを変えなければいけないというのは私も考えていることですが、弱者を排除する社会は違うのではないかな、そんな世界は嫌だな~と思いました。

また、真面目で集団主義の日本人が1年経っても無政府状態のままでいるかな?ライフラインだけはどうにかして復旧しようとするのではないかな?と違和感を感じました。「包括的な統合された人間」を目指すというのもちょっとカルト的な感じがしてしまいます。

とは言え、有事の際にどんなことが起こるのか、何を準備し、自分はどう行動すべきなのかを考える上ではとても参考になる本だと思います。2、3と続編がありkindle unlimitedで読めるようですので、引き続き読んでみます。