今回は、「【新装版】 あなたを宗教はどう助けてくれるのか」(2021年)を読んで、いかに自分が世界の宗教に対して無知だったのかを知りましたので、本書で学んだ内容を整理したいと思います。
(本来の)キリスト教
- 三位一体説(神とイエスと聖霊とは一体である)
イエスは人間であり神である、キリストの母(マリア)も神? - 予定説
あるのは神の意志のみ、人間は神の意志のままに行動すべし
人間の意志は認めない - 考え方
「福音書」が最高経典
「イエスは主であると口で言い表し、神はイエスを死から甦えらせたもうたと心で信ずるなら、あなたは救われる」…信仰のみが救済の条件であり、法律や規範(戒律や倫理道徳)はない
物事の倫理規範は内面にあるとされ(労働は救済だと念じて行うことが大事)、行動や修行は必要としない - キリスト教の罪
神への反抗(原罪に根本的原因がある) - 到達目標:永遠の命
イスラム教
- アッラーのみが神の一神教
モーセ、キリストは預言者であり、神ではない
マホメットは大天使ガブリエルから発信されたアッラーの教えを「コーラン」として発信した発信者(最後の預言者)である - 考え方
経典は「コーラン」で、宗教戒律、社会の規範、国家の法律が一致する
モーセ五書も福音書も聖典であるとは認めている - イスラムの罪
最大の罪は偶像崇拝
(アッラーは寛大なので)お酒を飲んだり異教徒をだましても罪の意識は案外軽い
守るべき規則は多いが、抜け道も多い - 到達目標:天国
今世で善行を積み、禁欲生活を送ると、肉体を持って蘇り、天国(緑園)に行ける
緑園は恐ろしく肉感的、官能的で全ての欲望(男性のみ?)を満足させる場所
聖戦(ジハード)で死んだ者は、生きて天国に行くことができる
(本来の)仏教
- 法前仏後
絶対的なものは法(dharma)、道徳法則のようなものだけであり、これを悟った者が仏となる - 考え方:因果応報
大変な修行と善行を積まなくては悟りを開けない
まだ悟りに達していない衆生(生き物)は、死に変わり生まれ変わって、六道に転生する(六道とは、天道、人間道、修修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)
衆生が死んだとき、業(生前の行い)がよければ、より上の道に生まれる - 仏教の罪
煩悩 - 到達目標:永遠の死・涅槃
輪廻転生からの解脱、無になること
まとめ
本書を読んで、著者さんがイスラム教が完全な教義を持ち、人々の生活のすべてが矛盾なく連関していると言われるのが良く分かりました。本来のキリスト教や仏教から様々な宗派に分かれていることも理解できましたし、過去記事「中東で何が起きている?」でも学んだように、イスラム教もシーア派とスンニ派に分かれて対立しているところを見ると、宗教というのは時を経るにつれて本来の形から変質していくものなのだろうだなとも思いました。