歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

仕掛学って面白い

今回は、「仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方」(2016年)を読み、学問として構成要素を分解していたのがとても参考になったので、ご紹介します。

 

 

仕掛学とは

よくゴミを放棄される場所に「鳥居のオブジェ」「目のイラスト」を設置して放棄が減ったとか、「男性用トイレに的やハエのイラスト」を付けたら汚れなくなったとか、イソップ童話「北風と太陽」のようなやり方で人の行動を変える仕掛けを研究したものです。私の知っているものだと、自殺者が多い赤色の橋を緑色に塗り替えて自殺者が減ったというものも、この仕掛けに当たると思います。著者さんは仕掛けの定義として、以下の3点を挙げています。

  • 公平性:誰も不利益を被らない
  • 誘因性:行動が誘われる
  • 目的の二重性:仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる

 

 

仕掛けの要素分解

このような仕掛けを120件集めて、要素分解すると、以下のようになったそうです。(自分が理解しやすいように、一部本書と表現を変えています。)

仕掛けの構成要素

物理的トリガと心理的トリガを組み合わせが仕掛けの原動力であり、可能なら同時に組み合わせて用いる方が良さそうです。また、設置する場所(通勤・通学路や観光地など)によって、その行動を起こすハードルの高さや飽きやすさも検討しないと効果が減少してしまいます。

 

 

仕掛けアイディアを思いつく方法

こうなると、自分でも仕掛けを作りたくなりますよね。本書では発想法として以下の4つ紹介されていました。

  • 仕掛けの事例を転用する
  • 行動の類似性を利用する
  • 仕掛けの原理を利用する
  • オズボーンのチェックリスト

上記だけ読んでも何のことか分かりません。ご興味のある方は本書を読んだり、本書の著者である大阪大学経済学部・大学院経済学研究科の松村先生の研究室(シカケラボ)に行かれて研究されると良いのではないかなと思います。

専門家でなくても、仕掛けの事例を転用するのは簡単にできそうですし、あちこちで取り入れられています。目的別や要素別で検索できるアーカイブがあると便利だなと思いましたが、シカケラボHPには残念ながらありませんでした。Wikipediaみたいに世界中の人が登録する場所があると人々の役に立つし面白いだろうなと思いました。

 

 

まとめ

本書を読んで、仕掛けは世界を救うと感じました。無意識に働きかけて、いつの間にか街がきれいになったり、人々が健康になったり、皆がハッピーになる仕掛けがもっともっと広がると良いなと思います。

私も本書を参考に、息子たちが学校から持ち帰った不要なプリントを床に捨てずに片付けたくなる仕掛けを何か考案してみたいと思います。