歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

工学系_失敗を予想する

成功した人のハウツー本よりも、失敗に関する本はいつも学びが多いなと思います。

今回読んだ本は、「失敗は予測できる」(2007年)です。

 

 

 

著者さんは、東京大学工学部の研究者でもともとは企業のエンジニアをされていたそうです。本書は、エンジニア目線の失敗について書かれている点も多いのですが、本書を読んでみて、参考になった、今後気を付けようと思った内容についてご紹介します。

 

かもしれない

自動車の免許更新で「かもしれない運転」をしなさいと教わったことのある方もいるのではないでしょうか。2006年のシンドラー製エレベーターの事故では、カゴが上昇し開いたドアとの間で人が挟まれたのですが、上昇に対する安全装置が欠落していたそうです。また、同年に流れるプールの排水溝に女児が吸い込まれた事件でも、戻り配管の保護柵は水圧があるからとしっかりとした固定がされなかったために、外れてしまっていました。

どちらも想定外の事故と言えるのかも知れませんが、一方向だけを考えるのではなく常に逆方向についても「かもしれない」と思って考えるべきだと分かりました。

 

事件は現場で起きている

大きな事故では、とりわけコミュニケーション不足が起きているそうです。1962年の常磐線三河島駅での列車衝突事故では、誰かが電車の停止連絡をするだろう考えた結果、誰も連絡をしていなかったのだそうです。また、遠方にいる上司に報告し、上司が判断するという流れも危険です。踊る大捜査線ではありませんが、「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!」と現場にいる人が判断することも大事で、正社員、非正規社員、親会社、下請け会社などの枠を超えて常に報連相する必要があります。

言うのは簡単ですが、やるのは難しいのかなと思います。皆が同じ気持ちで働けたら良いですよね。

 

責任者処罰よりも責任者交代

日本はとかく事故が起きても責任者は続投して、後から処罰されることが多いようですが、もし事故が起きてしまったらさっさと責任者を代えた方が良いそうです。事故後は責任者が気力を失って判断が鈍くなり、鬱になってさらにまとまらなくなる危険があるとのことでした。

謝罪会見

当事者目線では視野が狭くなりがちですよね。私も息子のことになると気力を失い、判断が鈍くなりがちです…誰かしばらく代わって(笑)

 

普及・啓発よりも第三構成要素の検討

「○○に気を付けましょう」といった普及啓発はほとんど意味がなく、失敗回避のための第三構成要素を整える方が良いそうです。たとえばフューズがそうです。機械的に失敗しない、または、失敗しても被害が出ないようにすれば事故にはなりませんね。

以前読んだ本の中にあった「マニュアル化する」という方法も効果的だと思いました。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

まとめ

南海トラフ地震が起きる「かもしれない」と言われて久しいですが、周りの人達に聞いてもあまり対策をされていないのに驚きます。可能性を考え出すと不安が膨らんでそれ以上考えるのも嫌になりますが、そこで考えるのを辞めずに、できる対策を可能な限り準備してしまうと、ヨッシャ来~い!という気持ちになりますのでおススメですよ。失敗から学んで、気持ちもラクに生きたいですね!