歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

日航機墜落事故

今回は、新装版 墜落遺体 ──御巣鷹山の日航機123便(2015年)を読みました。

 

 

 

 

Wikipediaを見ると、

日本航空123便墜落事故(にほんこうくう123びんついらくじこ)は、1985年(昭和60年)8月12日(月曜日)、日本航空123便(ボーイング747SR-100型機)が群馬県多野郡上野村の山中ヘ墜落した航空事故である。日航ジャンボ機墜落事故とも。単独機での事故、また運航する航空会社の責任による事故では世界最悪の航空事故である。

と書かれており、機体後部の圧力隔壁が破損し、垂直尾翼と補助動力装置が脱落、油圧操縦システム全喪失、操縦不能に陥り迷走飛行の末墜落し、乗客乗員524名のうち死亡者数520名、生存者は4名だったそうです。

 

 

身元確認班長

 

本書は当時、身元確認班長となった警察官が書かれています。真夏に起きた事故で、刻一刻と遺体の腐敗が進む中、締め切った体育館で行われた127日間の身元確認作業の様子について詳細に書かれています。

自衛隊による遺体の収集〕→〔検屍、身元確認〕→〔遺族に引き渡し〕となりますが身元引渡しには

一、確認の方法は着衣血液型指紋の三点が合致すること。(中略)着衣は他人の物が巻きつくことがあり誤りやすい。

二、遺族が間違いない、といってもそれだけでは引き渡しはしない。(中略)気が動転し、冷静さを欠いている遺族の心情を察して慎重に配意する。

三、警察庁の承認を得て引き渡す。

というルールもあり困難を極めました。

 

 

離断遺体

 

五体全てが揃っていた遺体は177/520体しかなく、離断遺体から身元を割り出す作業では医師だけでなく歯科医師も活躍しました。また、日赤看護師は土や枝葉などで汚れた遺体を洗浄し、さらしや三角巾で欠損を隠し、遺族の対面に備えたそうです。

屍体、屍臭が体質的にまったく駄目だ、という医師、歯科医師、警察官は、皆、色白、大柄、そして肥満タイプだったそうですが、何かあるんでしょうかね?

 

 

海外との違い

 

日本人遺族がせめて指の一本でもと遺体を探したのに対し、外国人犠牲者22名の遺族のほとんどはデス・イズ・デス(死は死である)魂は神のもとへ召されたのだと言って遺体の引き取りは断ったそうです。

日本人の遺体への執着は世界から見るとちょっと変なのかも知れません。

 

 

奇行

 

不眠不休の作業が続くと、スタッフの奇行が目立つようになります。鮭が泥にまみれて棺に入っていたり、手の形によく似ている木の根っ子を遺体と間違ったこともあったそうです。本人は全く覚えていないとのことですが、棺と棺の間の通路を蝶のように舞う医師がいたり、著者さん自身も真夜中に正座し、枕元で何かぶつぶついいながら何回も頭を下げている様子が目撃されています。

極限状態だったことが伺えますね…

 

 

まとめ

 

自衛隊の方の話や歯科医師の話を聞いたことがあったので、本書を読むのには結構躊躇しました。読んでみるとやはり辛い内容で、こうまでして身元確認なんてしなきゃいけないものなのか、と思いました。でもきっと、遺体をそのまま山に埋葬すると言っても批判が出るでしょうし、家族を探しに行って遭難する遺族が出ないとも限りません。

もう2度とこのような事故が起きないことを願うばかりです。