歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

アクティブ・ノンアクションの落とし穴

今回は、リーダーシップの旅~見えないものを見る~(2007年)を読みました。

 

 

過去記事「自分のコア・バリュー」と同様、リーダーは自分を見つめ直す中で、どう生きたいのか、何をしたいのかを明確にしていくことが大事であるということなのですが、リーダーになろうとしてリーダーになるわけではないと説明します。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

リーダーの分類

 

本書では、リーダーを以下の3タイプに分けています。

  • 「自然発生的なリーダー(emergent leader)」
    例)火災発生などの緊急時に、バケツリレーを仕切る人が自然に現れる
  • 「選挙で選ばれたリーダー(elected leader)」
    例)市長、知事、国会議員など
  • 「任命されたリーダー(appointed leader)」
    例)社長や本部長クラスから部長、課長といった管理職

 

そして、特にエマージェント・リーダーについてキング牧師ガンジーがその例であり、なろうと思ってなるものではないと説明します。

 

 

リーダーシップとは

 

エマージェント・リーダーは、自然発生的に生まれます。

本書の前半では、

リーダーシップとは、私たち一人一人が自分自身と対峙し、「見えないもの」を見ようとして一歩を踏み出し、旅を歩む中で人からの共感を得て、結果としてリーダーになる現象だ。

ということを丁寧に説明していきます。

 

 

つまり、リーダーは「見えないもの」を見て、あるいは見ようとして、新しい世界をつくり出し、人々の価値観や感情に訴え、共感・共鳴を得て、賛同者・支持者のネットワークを広げていき、人々の内在的な意欲に基づく自発的な行動を誘発し、同じ方向へ向かって歩みをともにするということです。

 

 

倫理的に正しいリーダー

 

そう考えると、ヒトラーは偉大なリーダーであったということになってしまいますよね。これに対してはホリエモン事件をあげ、日本の経済界にも政界にも中堅にリーダーがいない、もう一段ステージを上がり、社会全体をリードするまでには今ひとつ至らないと苦言を呈します。

 

リーダーがリーダーのステージをもう一段登るためには、最初は大望、夢、志、プロフェッショナリズムもしくはエゴや劣等感であった原動力を、「自分が先頭に立つから人がついてくるのではなく、人が後押ししてくれるから自分が先頭に立てる」と認識を転換させる必要があるということでした。つまり、利己→利他(渾然一体となった利己と利他)ということです。

 

 

稲盛和夫を例に説明していることは自明ですよね。

 

 

リーダーシップとは生き様

 

中年が夢を見て、リーダーシップの旅を歩み出すことは、現実にはそれほど容易ではありません。立ち止まり、自分と対峙し、自分のこれまで来た道を振り返る機会をもつこと自体が難しいと著者さんは述べます。

さらに、組織の中で「できる」と評価されている人ほど「不毛な忙しさ(アクティブ・ノンアクション)」の落とし穴にはまってしまっているとも指摘します。毎日を多忙に過ごしているにもかかわらず、本当に必要で意義があり、真の充足感をもたらしてくれる何かについては、まったく達成できていない状態ではないですか?ということです。

 

これにはドキッとして、私の感じていた「何か違う」はこれだったんだ!と分かりました。私は3月末で10年以上勤めた職場を退職したのですが、完全にアクティブ・ノンアクションの状態で、自分の本当にしたいことは何だろう?定年まであと20年、今のままでいいのだろか?という思いが止められなくなり、思い切って起業(スモール・ビジネス)してみようと決意したんですよね。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

まとめ

 

泉房穂さんが明石市長をやめる前に書かれた本社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ(2023年)を読んで、この方こそこの本で書かれているリーダーだなと思いました。

 

 

殺害予告を受けたり、命を狙われるのもエマージェント・リーダーには宿命のようについて回ります。特にX(旧ツイッター)を始めてから支援者もアンチも増えたようですが、それでも発言し続ける泉さんのことは応援したいなと思っています。聴く力があるとか言って、全く国民の話を聞かない人ではなく、このような方が総理大臣になれるといいのになぁ…なんて考えてしまいました。