今回は、「人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」(2017年)を読みました。
地質学と言えば、中学生くらいの時に花崗岩とか岩石の種類を勉強したくらいで、何で石の種類なんか勉強するんだろう?、正直つまらないと思っていました。しかし、著者さんの説明がすごく分かりやすくて、ぐいぐいと話にのめり込んでしまいました。地質学についての考え方が180度変わるくらい、とても面白い学問だなと思いました。
氷期と間氷期
地球は常に太陽の周りを公転し、地球自身も自転しているわけですが、ミランコビッチ理論によると、地球の公転軌道の離心率の周期的変化、自転軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動という3つの要因により、日射量が変動する周期があるのだそうです。それにより、地球の気候は大体10万年サイクルで温帯地方まで氷河に覆われるような「氷期」と温暖になり氷が溶けて海水面が上昇する「間氷期」を繰り返しています。下記サイトの動画が分かりやすかったので貼っておきますね。
氷期が終わり間氷期に入ると、数十年で5~7℃気温が一気に上昇し、安定した温暖な気候になるのだそうです。平均気温が5〜7℃上がるというのは、東北が九州になるようなものです。
一方、間氷期が終わり氷期になるときには気候が大きく乱れることも分かっているそうです。異常気象が頻発し、干ばつや長雨などが起きます。マヤ文明の崩壊も氷期の異常気象によるものではないかということでした。
水月湖
これらの事実は、氷河や湖の底にたまった泥を使ってそこに堆積した化石や花粉などを地道に分析することで明らかになります。現在世界の地質学における標準時計は福島県にある水月湖で採取された年縞堆積物によるもので、過去5万年分にもなるそうです。
水月湖にまつわるストーリーもと~っても面白いので、興味のある方は本書を読んでみたり、検索してみて欲しいです。
温暖化と氷期
さて、最終氷期は約1万6千年前に終わり、現在は本来であれば次の氷期に突入し、気候が暴れ、相対的に気温が下がる時期に相当するのだそうです。諸説ありますが、人間が温室効果ガスを放出することで次の氷期を先延ばしにしていると考える研究者もいるそうです。
実際に異常気象は世界中で頻発していますよね。人間の影響がどの位地球に影響を及ぼしているのかは計り知れませんが、地球全体の周期に照らし合わせると、今の異常気象は起きるべくして起きているということになります。
狩猟採集と農耕
人類は氷期には狩猟採集で生き延び、間氷期に入ってから農耕を発展させたのではないかということでした。昔は人の数も今のように多くありませんし、乱れた気候でもその時々で採れるものがあり、無ければ移動できたでしょうから、あえて農耕はせずに狩猟採集で生き延びていたというのは理にかなっています。
世界の人口増加と食料不足が問題ですが、氷期に入れば、現代の技術をもってしても多くの地域で農耕は通用しなくなり、劇的な生活の変化を経験しなければならなくなるのではないかと思いました。天候不順による長期的な不作で人類は激減するでしょうね…。
まとめ
地球から見ると、人間はなんてちっぽけな生き物なんだろうと思いました。間氷期に入った途端、爆発的に数を増やし、技術を発展させ、温室効果ガスを排出し、次の氷期を遅らせようと奮闘しているというのを想像するうち、虫を飼いその様子を観察する人ような目線になってしまいました。
地球規模で考えると、これからはますます気候は乱れ、異常気象が起きる可能性があります。食料不足によりこれまでの生き方はできなくなるかも知れないということを知ると、子ども達には臨機応変に生き抜く力を持たせたいと強く思いました。今度初・キャンプ(庭キャンプは経験済み)を計画していますが、もっと自然を知り、自然と共に生活できる術を子どもと一緒に学んでいきたいです。