今回は、「ゼロからわかるブラックホール 時空を歪める暗黒天体が吸い込み、輝き、噴出するメカニズム」(2011年)を読んで、ブラックホールについて全然知らないことばかりだったので、まとめたいと思います。
ブラックホール:これまでのイメージ
私はこれまでブラックホールは「ホール」と言うくらいなので、黒くて何でも吸い込む「穴」のようなものだと思っていました。宇宙のどこかにブラックホールがあって、鳴門の渦潮や蟻地獄のように、近づきすぎると吸い込まれて、別の次元に飛ばされてしまう、そんなイメージです。
過去記事「時間は存在しない、今を生きる」でブラックホールでは時空が歪み、時間が止まってしまうということを学びましたが、「はぁ、そうなんですね…」という感じの未知でよく分からない存在です。
ところが、本書を読んでみると、脳がバグるくらい、全然イメージとはかけ離れたものだったというのが分かりました。
ブラックホールは小さな重い星
詳しいことは本書をしっかりと読んでいただければと思いますが、ブラックホールは「穴」ではなく「小さな星」なのだそうです。太陽のような恒星が燃料を使い果たすと、自分のの重力でどんどん収縮し、白色矮星というものになりますが、太陽の10数倍以上の大きな質量の恒星が燃え尽きると、重たいままに小さく小さく圧縮されて(半径6400kmの地球を半径0.9cmにするくらい)、光すら脱出できないブラックホールになるのだそうです。
ブラックホールって小さな星だったんですね。相対性理論により時空が歪み、光も脱出できない暗黒天体のため、その星自体を観察するのはとても難しいそうです。
ブラックホールは光り輝く
そして、ブラックホールの周りは光って見えるのだそうです。それは、周囲の恒星からガスがブラックホールに吸い寄せられ、摩擦で光り輝いて見えるからだそうで、太陽の100万倍の明るさで光ることさえ可能なのだそうですよ。ガスの渦はガス円盤と言われ、薄っぺらくスリムだったり、ドーナツのように膨らんだり、スーパーコンピュータを使って色々とシュミレーションをしているということでした。
確かに、ブラックホールで画像を検索すると、何か渦巻いて光っていますよね。そこはホールっぽいです。
銀河の中心は巨大ブラックホール
過去記事「太陽は緑色!?」にもあったように、私たちの銀河の中央には巨大なブラックホールである「クェーサー」があるそうです。
クェーサーは最初、天体だと考えられていましたが、銀河の100倍の明るさで輝きながらもそのサイズは銀河の100万分の1というのは、巨大なブラックホール以外考えられないと話でした。
およそすべての銀河の中心部に超巨大ブラックホールが存在することが分かってきているそうで、小さなブラックホールはもっと沢山あると考えられています。
小さなブラックホールは蒸発する
ブラックホールは最後、どうなるのか?は、車椅子の物理学者ホーキング博士が発見した「ホーキング放射」で説明されます。相対論と量子論を組み合わせることで初めて理解できる現象だということで、簡単ではなさそうです…。
「エネルギーと質量は等価である」というアインシュタインの有名な公式E=mc2(エネルギー=質量×光の速度の2乗)だから、ブラックホールからエネルギーが放出されれば質量は小さくなるので、やがてなくなる(蒸発する)までしか分かりません。ブラックホールから放出されているというジェットについては、完全にお手上げです(笑)
とにかく、「ホーキング博士すごい!」ということと、「E=mc2」はDr.STONEで主人公の千空が自分の服に血で描いてたやつ〜!という部分に1人で感動していました。
まとめ
小さい頃は、ブラックホールに吸い込まれたら鏡の国のような別世界に行くんだろうと何故か恐れていましたが、生きている間にブラックホールに吸い込まれることはないし、もし吸い込まれたとしてもブラックホールの手前でとっくに死んでいるなということは分かりました(笑)。
最近もWeb記事でブラックホールが自転していることが観測で明らかになったというニュースが流れていましたが、物理好きにはたまらない、謎も多くて面白い分野だと思いました。日本人の研究者が増えるといいなと思います。