今回は、「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(2017年)を読み、なるほど~と思ったので、自分の購買行動についてジョブ理論で考えてみたいと思います。
ジョブ理論とは
本書には、
ジョブとは、特定の状況で人あるいは人の集まりが追及する進歩である。
と書かれていますが、いまいちピンときません。
消費者が商品を購入する時やサービスを利用する際に達成したい目的を「ジョブ」と呼び、「機能」「社会」「感情」の3つが複雑に絡み合っていると考えます。
そして、以下の5つの問いに答えることで、ジョブを具体化できるようになるということです。
- その人が成し遂げようとしている進歩は何か
- 苦心している状況は何か。誰がいつどこで何をしている時か
- 進歩を成し遂げるのを阻む障害物は何か
- 不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか
- その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、その解決策のためにトレードオフにしてもいいと思うものは何か。
なぜあの時買ったのか考える
では、ジョブ理論に照らして、なぜあの時それを買ったのか、振り返って考えてみたいと思います。
①クレジットカード
ある日、銀行窓口で振込をしていた際、銀行員のお姉さんに「当行のクレジットカードを作らないか?」と言われ、「作ります」と即決したことがありました。そこで、この状況を5つの問いに照らして考えていきたいと思います。
- いつでも無料で自分の口座からお金を引き出したい
- 平日仕事をしているので、土日にお金を引き出すことが多いが、手数料がかかる
- 土日の引き落とし手数料に苦心、平日は仕事でなかなか銀行やATMに行けない
- 仕事中に時間を作って銀行やATMに行く、または仕方なく手数料を払う
- 土日に無料で引き落とせるのなら、クレジットカードを新しく作っても良い。さらに、携帯代金をそのクレジットカード払いにしても構わない(どうせ払うものだから)。
土日の引き落とし手数料無料が私にとって達成したい目標「ジョブ」でした。銀行員のお姉さんは通帳の内容から私のジョブを的確に見抜き、クレジットカードを作ることで私のジョブがいかに達成できるかをプレゼンしたということが良く分かります。私にとって満足な結果であり、不満は微塵もありません。お姉さん、ありがとう!
②ソファー
ニトリで大型ソファーを買ったのですが、金額も高く、かなり、かなり悩んでの購入でした。こちらはまだ若干不満が残っていますので、検証したいと思います。
- 安全で快適なソファーでくつろぎたい。
- ソファーのベースが折れていてぐらつくし、ガムテープと結紮バンドで修復しているが、尖った部分があって何度も子どもが怪我している。
- 4人座れるサイズ、テレビ台が低いため背もたれが低いもの、家で映画を見るとき足を投げ出して見たいので、簡単にソファーベッドにできるもの、子どもが汚すので、カバーが簡単に付けられるか、合皮で拭きやすいもの、分解できないもの(ソファーの背もたれやマットが外れるなどすると子どもが外して遊ぶため)、値段をすべて満たすものを探すこと、今のソファーをどう処分するのか
- とりあえず、壊れた部分を修理して使っている
- 大型なので、配送をしてくれて、不用品を回収してくれるならば、3の条件が一部満たされなくても許容できる。
ちょうど配送無料だったためニトリでソファーを購入する(雇用する)ことに決めました。しかし、現在以下のジョブを持っています。
- 安全で快適なソファーでくつろぎたい
- 背もたれが取り外しできるクッションだったため、常にクッションは子どもに外されてしまっている。また、クッションをつけるとソファーの高さが高くなるため、ダイニングからテレビが見えにくい。合皮で拭けるのだが隙間に子どもがゴミなどを押し込んでいるのが不満。サイズが合わず、洗えるカバーもつけられない。ソファーベッドにできるのだが、その分座面の強度が弱く、設置に来られた方にこのタイプのソファーはよく座面が割れるから、絶対にソファーの上でジャンプしないようにと言われた。子どもがジャンプして、座面が割れて使えなくなるのが心配(購入時に説明して欲しかった)。
- 最近買ったばかりなので、買い替えは金銭的に難しい
- 別のクッションを背中部分に当てて使用している。隙間に詰め込まれたゴミは取り除く(結構大変)、ソファーの上でジャンプしたりしないよう常に注意をしている(以前もベースが折れたので今回も時間の問題?)
- 今のソファーを下取りしてくれるなら、新たなソファーを検討したい。
子ども(男の子)がいる家庭って、ソファーの悩みが多いのではないでしょうかね。飛び跳ねたり、汚したり、尖ったものを刺したり、カッターで切ったりと予想外のことをしてくれます…。私のジョブは、「安全で快適なソファーでくつろぎたい」それだけなのですが、それを満たすソファーは現状、見つかっていません。
まとめ
ニーズではなく、ジョブ:顧客は何を達成したいのか?で考える。これは、歯科でも当てはまる考え方だなと思いました。顧客(患者)にインタビューするにしても、どんなものが良いですか?ではなく、購入するまで(歯科医院に来院するまで)、そして購入後(来院後)のナラティブなストーリー(物語)を聞く。そのような視点で顧客(患者)ジョブを理解することが大事なのだと分かりました。
利益追求の資本主義ではなく、顧客のジョブを満たす資本主義はいいなと思いましたので、ジョブ理論で考えるというのを今後の習慣にしていきたいなと思います。