歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

保健指導に使える話

今回は、いくつか読みためた本の中で、歯科衛生士が歯科保健指導に使えるかもしれない知識をまとめていきたいと思います。

 

 

やる気スイッチ

 

1冊目は「脳科学が解き明かした 運のいい人がやっていること」(2024年)です。

 

 

本書によると、脳科学的には「やる気スイッチ」がすでに見つかっているそうです。大脳基底核にある「淡蒼球」と呼ばれる部位で、大脳基底核は行動の開始と終了に関与しています。中脳の黒質という部分のドーパミン神経がスタート地点であり、大脳基底核と大脳皮質の間のループ回路を回っている間は運動を続けます。停止機構は2つあり、予測した報酬が得られた時のドーパミンと、大脳皮質(理性)による緊急停止です。「淡蒼球」はこのループ回路の中継地点にあり、脳のやる気スイッチを入れるためには、何かしら行動を始める、つまり、この回路をスタートさせる必要があるということでした。

確かに、部屋の掃除をしようと思っても重い腰が上がりませんが、「机の上だけ」と動き始めるとやる気スイッチが入るというのはありますよね。保健指導においても、最初は小さくていいので、とにかく行動を始めるということを意識してもらうと良いかも知れません。

自分が意図した行動が、自分の思い通りにできたという小さな実感の積み重ねが報酬になるということでした。

 

 

 

話のわかりやすい人

 

次は、「保険営業のチキンスープ」(2020年)です。

 

 

営業という仕事は、興味のない人に行動変容を促すという点で、歯科保健指導と通ずるものがあると常々思っています。本書に書かれている「話の分かりやすい人」というのが、医療職にも言えるよねと思ったので、以下に引用します。

1つ
話のセンテンスが短い人。

2つ
専門用語を使わない人

3つ
たとえ話、比喩表現が上手な人

これは納得です。学生さんに保健指導をさせると、必ずと言っていいほど、この3つを指導することになります。また、伝えたいことを本当の意味で理解できていなければ、説明はできないと思います。自分が言ったことが相手にどう伝わっているのか、その言葉が相手にどんな角度で刺さっているのかというのを意識するだけで、ステージが変わってくるというのも、ぜひ意識したいポイントだなと思いました。

 

 

フォッグ・ビヘイビア・モデル

 

最後は、「DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方 テクノロジーとの「健全な距離感」を見つける」(2025年)です。

 

 

行動変容を引き起こすために必要なのは、「動機づけ(Motivation)」「能力(Ability)」「プロンプト(Prompt)」の3要素であるという、フォッグ教授が提唱するモデルが、フォッグ・ビヘイビア・モデルです。これら3つが揃ったときに最も行動変容が起こりやすいということで、テック企業も採用しているそうです。

①動機づけ

人々が動機づけられる要因には、「感覚」「期待感」「帰属意識」の3つがあります。

「感覚」では、ゲーム要素を取り入れてユーザーの行動を定量化し、達成感や挫折感を体験させます。「期待感」では、ストーリーテリング(成長や克服の物語を設計)、好奇心の喚起(限定情報など)、選択肢の提供、希少性の強調を取り入れます。「帰属意識」では、相互関係の構築、ノスタルジーの活用、社会的評価の可視化を行います。

②能力

行動するために必要な能力やリソースのことであり、時間、お金、身体的努力、心理的努力、そして習慣(ルーティン)の5つです。テック企業では、簡略的でわかりやすいといった「シンプル化」の戦略をとっているそうです。

③プロンプト

プロンプトとは、ユーザーに何らかの行動を促すアクションのことです。プロンプトには「ファシリテーター」「スパーク」「シグナル」の3つがあり、動機づけと能力の関係性に応じて使い分けるのだそうです。「ファシリテーター」は、高い動機づけがあるにも関わらず能力が低い場合に用いられるもので、「クリックするだけ」やリマインドなどで行動を促します。「スパーク」は、能力は高いが、動機づけが弱い場合に用いるもので、キャンペーンなどです。「シグナル」は、動機づけも能力も高い場合に用いる、未読を赤表示にしたり、友達のログイン状況を示すなどの簡単なものです。

 

こちらに関しては、WEB上で沼らせるテクニックといった感じですが、確かに〜と思い当たる節がありませんか?プラークフリーの歯面を体験してもらったり(感覚)、目標PCR値(歯面に付着するプラークの割合)を決めてもらって(選択)クリアしてもらったり(達成感)、その人に合わせた清掃用具を提案したり(能力)と、応用できるのではないかと思いました。

本書には、他にもWEBで沼らせる理論やテクニックや認知バイアスがたくさん載っていますので、気になる方は読んでみてくださいね。

 

 

まとめ

 

「過去と他人は変えられない」

これは、私の座右の銘ですが、他人を行動変容させるのが保健指導になります。つくづく、これは大変なことだよねと思います。感覚で動く人、理論的に説明されると動く人、先生に言われると動く人、褒められたい、叱られたいなどなど、その人のタイプに合わせて、指導者側が変幻自在に変わる必要があるのかも知れません。

「相手の行動を変える」という難題に、私たち自身が知識を増やして、楽しみながら「変幻自在な指導」にチャレンジしていけるといいですね。

 

ぺにょは、ココナラで歯科イラストを描いています!⇓⇓チェックしてね☆