歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

行動遺伝学

今回は、日本人の9割が知らない遺伝の真実(2016年)を読みました。

 

 

過去記事「言ってはいけない」でも似た内容を学びましたが、改めて遺伝的影響の大きさと日本の教育への違和感を感じたので、まとめたいと思います。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

行動遺伝学

 

著者さんは元々、強固な環境論者だったそうです。「才能は生まれつきではない」「人は環境の子なり」という思想に傾倒し、遺伝によらない能力、環境によって決まる能力があることを証明するために行動遺伝学を学んだそうです。

ところが、過去の論文を読み、自分でも双子研究をするにつれ、ほとんどすべての心理的側面には遺伝が無視することのできない大きな影響を与えていることが分かったそうです。著者さんも、

行動遺伝学のもたらす知見とは、遺伝的な差異によって人を差別するためのものではありませんし、人の才能がすべて遺伝で決まるといっているのではありません。

と述べている通り、取り扱いや断定的な言い方には注意する必要があります。

 

 

学力と遺伝

 

さて、一母親として、1番気になるのが学力ですが、「頭のよさ」はもちろん遺伝の影響を受けます。特にIQと関連するのが頭頂葉と前頭葉の結びつきであり、この二つが同期して働いている人ほどIQが高いことがわかっているそうです。

そして、青年期のIQの個人差は、遺伝54%、共有環境19%、非共有環境27%によってつくられているそうです。遺伝の影響がずいぶん大きいことがわかりますね。学業成績も、遺伝の影響が50%以上あり、一般知能と同様に共有環境の影響も見られ、遺伝の影響力は成長とともに徐々に上がるのだそうです。大体12歳くらいから遺伝の影響が大きくなってくるということで、中学・高校くらいで感じていた私自身の感覚とも一致します。

つまり、家庭における親の子育ての仕方は子どもがどう育つかにあまり影響を与えていないと考えられるということです。何ということでしょう!

 

 

教育の質と遺伝

 

また、面白かったのが、よい学校に通い、教え方のうまい先生に出会うことの影響についてです。個人の特性合った教育は、確かに成績の向上に寄与していたのですが、教育環境の影響というのは、どうやら一過性のようなのです。著者さんの実験では、終了して2カ月後に再度テストをすると、教え方の違いは消えてなくなり、遺伝の影響だけが残っていたというのです。

偏差値の高い大学と低い大学に別れ別れに通うことになった一卵性双生児で収入を比較すると、差がなかったということで、息子達がどんな学校に行くかにこだわる必要はないんだなということも学びました。

 

 

日本の教育制度

 

現在の日本では小学校から高校まで、基本的にすべて学年制で運営されていますが、能力には大きな遺伝的差異があるのですから、これほどナンセンスな制度もないといっていいほどです。

私も常々思っていたことです。人間のあらゆる形質に遺伝が大きな影響を及ぼしていることがわかっているにも関わらず、学年制で進級していく日本の教育には、違和感しかありません。

我が家の双子は4月16日が予定日だったにも関わらず、3月に破水し、1つ上の学年になってしまって本当に、本当に苦労しました…。三男が7月生まれで何でも守備よくこなすので、尚更、あの時…という思いが一層強くなります。

教育が一部の人にしか与えられないときは、能力や知識の個人差は、その教育を受けたか受けなかったかという環境の差で説明される割合が大きいと言えますが、あまねく教育の行き届く現代の日本では、遺伝的な差が顕在化していると著者さんも述べています。

 

 

個人には当てはまらない

 

さて、これまで遺伝的影響の大きさについて考えてきましたが、これらは、集団レベルの話であり、統計的にそういう傾向があるということです。個人に当てはまることはできないということも忘れてはいけません。

我が家にも一卵性の双子がいて、来年は受験生です。恐らく違う学校に行くでしょう。でも、将来、同じくらいの収入の仕事につくのかと言うと、それは分からないわけです。

 

 

まとめ

 

日本の同調圧力には良い面もありますが、学校の学年制に関しては、完全に子どもの成長を妨げていると思います。一律のスピードを強いる今のシステムでは、遺伝的に備わった「伸びる時期」や「個々の特性」が無視され、救われるはずの才能が埋もれてしまいかねません。

本書を読んで改めて感じたのは、「遺伝の影響を認めることは、諦めることではない」ということです。村上先生も言っている、遺伝子の可能性、エピジェネティクスもあるし、50%を「も」と捉えるか「しか」と捉えるかだと思います。

 

そして、特に以下の学びは子育てに活かせる知見でした。

• 子どもの成績が振るわないことを「自分の育て方のせい」と責める必要なし!

• 無理に偏差値の高い学校へ押し込むのではなく、本人が居心地よく過ごせる環境を優先すればOK!(結果は変わらない)

 

「みんな違って当たり前」という事実を、エビデンスとして説明してくれる本でした。

 

ぺにょは、ココナラで歯科イラストを描いています!⇓⇓チェックしてね☆