今回は、「人生最後の禁煙にする最高のメソッド:簡単に禁煙できる知的禁煙術の決定版」(2017年)を読みました。
私はタバコは吸いませんし、家族にも喫煙家はいません。じゃあ、なんで読んだの?ということですが、歯科衛生士には『禁煙指導』が求められるんです。教科書も禁煙指導についてのページが増やされていて、国家試験にもよく出題されます。
本書は、実際にベビースモーカーだった著者さんの実話をもとに、絶対にタバコをやめるための方法、失敗しないためのテクニックが詰まっていて、とても勉強になったし、禁煙指導の際にも役立つ内容だったので、まとめておきたいと思います。
教科書的禁煙指導は、変化のステージモデルをもとに行います。無関心期には情報提供、行動期には全ての喫煙道具を捨てるなどとなっていますが、実際にタバコを吸わない私には、喫煙者の方の気持ちや感覚などが全く理解できないんです。そんな私にも、行動期にはどのくらいの決意が必要なのかよく理解でき、禁煙指導をする際の良いヒントがたくさん詰まっていたので、歯科衛生士こそ読んでほしいと思う本でした。準備期の患者さんに読んでもらうのもいいと思います。
あなたが本当に禁煙できない理由は「本心から禁煙したいと思っていないから」
禁煙を二度成功させた著者さんによると、禁煙する理由が「人や環境を起因にしている」場合は、失敗するそうです。例を挙げると、たばこ代が上がったから、職場が禁煙になったから、子どもが生まれたからなどです。一方、「本当に自分のため」なら成功するそうです。こちらは、医者に禁煙しないと死ぬと言われたなどでしょうか。
私の父は、私が生まれる前までたばこを吸っていたそうですが、私が生まれてやめたそうです。この場合、愛する子どもには健康に育ってほしいと心から思い、親としての責任としてやめるという、「自分が本当にそうしたい」と思った理由があったということです。父を誇らしく思いますね。
自分を軸とした禁煙する理由が見つかったら、いつ始めるのかということですが、月曜日の朝一から始めるというのは、成功率1%未満の自殺行為だそうです(笑)ここは、患者さんにしっかりとアドバイスしないといけませんね。
最も適したタイミングは、長期休暇(正月休みを除く)の前日の就寝前だということでした。朝起きて、どれぐらいまで「たばこを吸わずにいられるか」が勝負であり、睡眠時間が入ることでアドバンテージが生まれます。
さらに、教科書通りではありますが、始める前には喫煙に関するすべてのものを処分してもらいます。未使用品でも高価なものでも、一切廃棄、もしくは譲渡売却しましょう。さらに、ヤニで汚れた室内や車内を完璧に掃除するのもおすすめだそうです。職場のデスクや車、クローゼットに入っている服のポケットの中などにも喫煙グッズがないか確認するのも大事ですね。
禁煙に失敗した際のペナルティーは、病気で禁煙しなければならない場合を除き、必ず用意してもらいます。まずは、周囲の人に宣言すること。これは教科書にも載っています。そして、金銭的ペナルティーも用意します。本当に「痛い」と思う金額を設定し、罰金として奥さんに支払ったり、友人におごったり、寄付したりしても良いですし、事前に信頼できる相手に渡して、三か月後に禁煙できていたら返してもらうというような方法でもOKです。

弱いペナルティーでは効果がありませんので、ボーナス全額とか、1か月分の給料とか、本当に痛みを伴う金額を設定しましょう。
禁煙を始めて、特にツライと感じるのは、3日目と1週間目だそうです。
3日目というのは、ちょうどニコチンが抜けて身体的欲求が高まる時期です。この時は、イライラ、手の震え、やる気が出ない、身体がだるいなどの禁断症状が出ます。ドーパミン、セロトニン不足によるもので、たばこ以外でドーパミンを出す方法を考えておくと効果的です。
1週間目は精神的依存によりたばこを吸いたくなる時期です。口寂しい、手持ち無沙汰、間が持たない不安などでついついたばこを探してしまいます。しかし、著者さんによると、「吸いたい」という気持ちが続くのは15秒だけだそうです。なので、吸いたい欲求が襲ってくるたびに、そのつど15秒乗り切ればよいということでした。
たばこを吸いたいと思ったときの対処法は、本書にいろいろ載っていますので、患者さんに合わせて事前に相談しておくと良いと思います。へ~、そんなことで吸いたい欲求がおさまるんだ!と思ったのが以下です。
「喫煙イメージング呼吸法」

たばこと同じ太さの棒をくわえ、目を閉じて、いつものたばこを吸っているイメージで吸って吐いてを繰り返す方法です。吐き出すときには、「口から煙が出ている」ことをリアルにイメージすると良いそうです。
「なんちゃって禁煙作戦」
禁煙=永遠にたばこをやめるとは考えず、とりあえず「1回お休み」ぐらいの気持ちで吸いたい欲求を抑える方法です。あと5分、あと10分、あと1時間と禁煙時間を延ばしていくうちに、吸いたい欲求のピークを抜け切ることができるということでした。ポイントは、今を意識することで、未来を見てはいけません。
〇 1時間25分も禁煙できた!
✖ あと45分で禁煙2時間だ!
本書を読んで、たばこをやめるというのは、本当に辛く大変なことなんだなと思いました。絶対にやめる、今回限りでやめると本当に決意できた人でなければ、禁煙を成功することは難しいんだなということが良く分かりました。
教科書的には、行動期になったら~と書いてありますが、歯科衛生士として「本気の」行動期にまでどうサポートするのか、というのが大事だなと思います。半端な気持ちで禁煙を始めても成功できないばかりか、万年ダイエッターのように、いつも禁煙すると言って失敗することを繰り返すうちに、自己効力感を低下させてしまうという危険もあります。本書を読めば、良いアドバイスができるだけでなく、本当に禁煙を成功させられるんじゃないかと思いましたので、気になった方、禁煙したい方はぜひ読んでみてくださいね。
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