歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

キャンセルカルチャー

今回は、世界はなぜ地獄になるのか(2023年)を読みました。

 

 

キャンセルカルチャーというものを学び、そうだよねーと思い、考えさせられたので、整理しておきたいと思います。

 

 

キャンセルカルチャー

キャンセルカルチャーとは、特定の個人や企業が社会的に好ましくない言動や行動をした際に、SNSなどを通じて不買運動やボイコットを呼びかけ、社会的に排除しようとする動きのことです。本書では小山田圭吾東京2020オリンピック・パラリンピックに関する開会式の楽曲辞退やポリコレ、東京森美術館で開催されていた会田誠の個展騒動などを取り上げ、「社会正義」や文化的背景について説明しています。

 

 

日本語

 

日本語では、「上か下か」だけでなく、「内か外か」が決まらないと、どのような言葉づかいをするかを正しく選択できない。

確かにそうだよなと思います。日本語では、内輪の人間には、たとえ目上の者であっても敬語を使ってはならないというルールがあるそうです。

さらに、「課長もそう申しております。」では、丁寧語を使うことで聞き手(外の人)へりくだっている一方、「課長も本当は違うことをなさりたいようなんですが」では、課長に対して「なさる」という尊敬語を使い、課長を外の人へおいやって、聞き手を内輪に引き込んでいます。

確かに難しいですね。こう難しくなると、学校で「平等」を教えられてきた若者が使いこなすのは困難であり、たとえ誤用であっても、できるだけ丁寧に言っておこうということになります。その結果、「させていただきます」や「よろしかったでしょうか」「かしこまりました」のような敬語のインフレが起きているということでした。私も学生の頃、「よろしかったでしょうか」は間違っていると指摘されたことがあります。著者さんは、日本語の複雑な敬語システムでは、グローバル空間の人間関係に適応することができないため、こうした身分制を前提とする悪しき慣習を一掃する必要があると述べます。

私としては、「敬語警察」みたいにうるさく言わず、日本語が若者の間でどう変化していくのかを興味をもって見守るくらいで良いのではないかなと思いますけどね。

 

 

傷つけられない権利

 

心理的安全」ばかりを要求する雪のように傷つきやすい世代を「スノーフレイク世代」と言うそうですが、これはアメリカの話だけに限ったものではないと思います。デジタルネイティブの若者、いわゆるZ世代は、うつ病や自殺の割合が多く、傷つきやすいそうです。さらに、大学側も学生を過剰に保護しようとして状況をさらに悪化させています。学生をお客様として扱い、善意と保身によって、学生の気分を害する恐れがあるものを過剰規制するようになったと主張する研究者もいます。

がん患者のケアなどで用いられるトータルペイン(全人的苦痛)という概念では、「痛み」は「本人が痛いと言っているのだから痛いのだ」として取り扱います。しかし、うまく言葉にはできないのですが、これら若者の傷つきやすさを「本人が傷ついたと言っているのだから…」として取り扱うのは危険なんだということが本書を読んで分かりました。

過去記事「子育てのモヤモヤ」で書いた部活の副顧問の退任事件のように、過度に若者の傷つきやすさを守るのは私も良くないのではないかと思っています。

 

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まとめ

 

科学技術を手にした私たちは想像を絶するほどの豊かさと快適さを実現しています。しかし、ユートピア(自分らしく生きられるリベラルな社会)が実現したからこそ、キャンセルカルチャーのディストピアが生まれたのだということでした。つまり、重箱の隅をつつくような不平等に目を向けて文句を言うのではなく、目の前にある豊かさと快適さに目を向けて幸せ実感すればよいということではないかなと思います。

小林正観さんの言うように、幸と不幸は生卵構造なんだと思います。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

今の豊かな世の中に生まれて幸せだな~と思って生きたいなと思いました。

 

 

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